傷口に染みるレースのカーテン
それはもう記憶という結晶が
穴だらけだから光を通して
埋めようとする誰かの言葉で

白い沈黙に乗せた身体は
人間を忘れ自然を聞いた

鳴き声だけで寄り添っ ....
いつの時代も白い蝶は飛ぶ

記憶の境目チクチクと縫って
軌道を見ている夜が好きだった

置き忘れて来た大事な言葉を
腕時計のリューズで巻き戻す

微笑みのようなそれは涙だ

甘い匂 ....
日焼け止めクリーム
塗らなかった
焦がされる夏を
自転車で転ぶ

クラクションひとつ
拾ってしまえば
ここはもう安全な
場所じゃない

夕陽の中に
扉を見つけて
また明日という ....
ジャケットを着ると
黒いフレームに
収めた笑顔が
飛び散らぬように
抱き締めたくて
背筋が伸びる

真っ直ぐにただ
空を目指すのは
鳥だけで良いと
僕は思うんだ

胸のスクリー ....
体の中心
へそで立っている

光を集めて
放つ力が
ベルトの奥で
動き出す瞬間

繋がれていた
生命の尻尾を
振るようにして
歩いてきたから

離れていても
感じることの愛 ....
大事なことを
言わずに別れる
そんな癖が付く
消える変化球

指に挟むのが
指なら良かった

言葉の画鋲で
心を留める

動かないように
風は遠慮しろ
光が通る
レースのカーテンで
作られた道を
あみだで下る

当たりはなく
はずれもない
同じ場所に
並んでいるブランコ

影絵のような
小さな乗り物で
この身体を
縛り付ける ....
針に通すと
真っ直ぐに伸びる
一人分の道

玉結びしたら
輪っかを走る
二人分の道

横を見た時は
君にいて欲しい
永遠はダイヤモンド
じゃないよ

ポケットの中の
白いハンカチが
背筋を伸ばして
指先に当たる

アイロンをかけて
くれたあなたに
出会えたような
手触りを感じ

地図がある ....
花びらの重なる形
赤ちゃんを包む
毛布のようだ

大事に守るよ
光の道で
泣いたり笑ったり
元気な姿

今は眠りなさいと
魔法を掛ける
甘い香りが
瞼を落とすよ
窓は人の瞳を
光らせる
カーテンを閉めて
置くのはきっと
命の合図を
外に隠すため

ガラスを通して
伝えたい気持ち
雨が降ったら
傘を書くでしょう

踊る二人に
言葉を与え ....
ひとりになると
宙ぶらりんだ

信じることも
期待することも

釣り糸を垂らす
時間を抜けて

餌だけ食べてる
イージーな暮らし

誰かの海が
側にあった頃
心の動きを
 ....
涙がボタンの
穴を塞いで
シャツが脱げない
夜もあっただろう

こぼしてしまえば
青い影になる

冷たい微笑み
氷のリンクを
滑るだけじゃなく

光沢のある
白い生地に当てた ....
哀しみが三度
黒く焦げた後

喜びは二度
白く光ったよ

残りの哀しみが
次の喜びと
出会うまでは

少しだけ人を
好きになりたい
時計の針みたいな
たんぽぽは
指で触れてみて
巻き戻せるかな

過去の出会いや
未来の透明を
ささくれが沁みる
花びらを揺らし

長針も短針も
待たない今

僕だけの
タイ ....
何かを失くした
そう思った時
吹き抜ける風は
自由で良いな

押していくだけの
背中を眺めて
明日は休もう

季節の区切りが
心を人にする

穏やかな朝も
荒れ狂う夜も
立 ....
新しい家の
象徴だった
大きなシャンデリアと
集う家族

時は流れて
バブルが弾けると
付けることさえ
躊躇った明かりを

キャンドルに灯し
静かに燃やす

私にとって
残 ....
今は詩に浸る
心が固い

消しゴムやスポンジで
擦られて
そのカスや泡で
見えなくなった

とても大切な人が
生まれた
朝を想像する
自分を愛し

何かを分かち合う
歓びの ....
歩いて来た
砂浜に落とした
貝殻のベッドが
受け止めるもの

薄い体に
透ける光の道
星の嘆きや叫びを
映し出す

心のバリアを
外した時に
初めて輝く
命の呪文

人が ....
空へと向かって
伸びる手の先は
まだ開く前の
蕾を留めた
ボタンみたいな
小さな王国

掛け違えることなく
咲く花を
手紙に添えて
送るほどピュアな
時代を思えば

今や写真 ....
桜散りゆく偶数の月に
解き放たれし夏の日へ進む

理由があるとすればあまりにも
陽射しが見事に肌を光らせた

両腕をくすぐる生ぬるい風
袖を切ったのはいつだったっけ

みんなの意識は ....
都会に出た日は格好付けながら
踵を踏まれず歩きたかったし
一発で止まるタクシーが好きだ

車の窓に映る夜景は多分
いつか燃えなかった
花火のように明るい顔で
さよならを言うよ

飛び ....
流した涙や
赤く染まる血が
透明になるまで
過ごした時間

ありがとうは
一億人の心を
結ぶ羽根だって
みんな知っている

ギュッと守られた
お弁当箱よりも
偏ることのない
 ....
遠く離れても
砂漠の熱を辿って
くっ付く磁石のような
心でありたい

いつも一緒に
いられる喜びを
僕たちはきっと
手放したから

パンの耳で作った
檻の中に
君を置いた朝
 ....
枕は白い
消しゴムのように
青い瞼を
ぼかしてしまうよ

体温だけが
夢から続いて
寝返りを打つ度に
感じている

着替える前の
パジャマが心地よい

差し込む
光の中で笑 ....
頭の上に
王冠を乗せる
例えそれが
幻だとしても

春の日向を
掴めるだけでもう
靴紐の長さが
短くなる

旅人の靴が
動き出すまで
たくさんの爪が
剥がれるように

桜 ....
今日は少しだけ
穏やかな風

ブラウスの白い
襟がとんがって
羽ばたいてゆくよ
大地を蹴って

新しい生活を
求めながら
その羽根に
何を乗せるのだろう

宛て先のない
手 ....
机の上に
飾られた花が
あの子の代わりに
水を飲んでる

だからこの手で
花瓶を洗って
新しい水を
届けたかった

もっと生きられた
はずなのにという
あの子の居場所に
投げ ....
愛が美しい
言葉で語られ
手帳に書く時間も
ないくらい

肉体が支配する
頃にはもう

正しいレシピを
忘れたような
クリームシチューの
中にいるから

熱くて皮膚が
敏感 ....
稲妻を見た
同じ木の下で
あみだくじの
当たりみたいな形

二人の間に
透明な線路

導かれるのは
初めてなのに
全てを知ったような
低い声が

鼓膜を震わして
こみ上げる ....
ミナト 螢(983)
タイトル カテゴリ Point 日付
洗礼自由詩019/7/11 11:07
自由詩219/6/13 16:46
熱帯夜自由詩219/6/4 17:14
夏の歌自由詩219/5/24 19:59
太陽自由詩119/5/17 8:42
キャッチボール自由詩119/5/8 19:14
空中自由詩219/5/4 11:36
自由詩119/4/26 20:56
ホームスイートホーム自由詩319/4/24 19:42
チューリップ自由詩119/4/22 15:38
今昔物語自由詩119/4/20 20:39
波紋自由詩019/4/18 10:53
ドライフィニッシュ自由詩019/4/17 10:46
自由詩119/4/15 19:45
春の歌自由詩219/4/14 11:52
風の人自由詩219/4/12 14:00
電球自由詩119/4/11 10:34
自由詩019/4/10 19:11
プラネタリウム自由詩219/4/9 10:44
自由詩019/4/8 14:54
恍惚自由詩119/4/3 19:51
夜のパレット自由詩219/4/2 13:23
ハンカチ自由詩419/4/1 14:39
蜜の星自由詩119/3/31 12:41
自由詩019/3/30 12:54
開花自由詩519/3/26 20:24
白鳥自由詩219/3/25 20:57
公式自由詩219/3/22 20:32
正気自由詩819/3/21 20:10
運命の人自由詩419/3/20 20:49

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 
0.09sec.