母がぼくの肩に交じり
ぼくはぬるいお茶をこぼす
夢をも一度
ハ行に注ぎ入れて
湯気を吹き
そっとすする

ほら お食べ
銀のお椀に
盛り切れないほど いっぱいの
夢だよ
飲みきれ ....
この窓から
杉の梢の 老いた枝が何本も
風で揺れているのを見た
生きてるみたいだった いつも

枝の間を透かして
鈍く光る雲と 色あせた青空が
微塵になっていた
昨日がまた昨日みたいだ ....
天皇陛下が
なんか
自分の考えを(生前退位とか)
言っていた
すげえな
天皇陛下は
天皇陛下っていう
日本の今の
役職を
やっているんだけど
その役職をやっていて
ああいう発言を ....
いや
ちょっと
日本に不満があるので
不満があるっていったら
中国とか 北朝鮮に行けって
言われた
中国 いいかも
いやかも
北朝鮮
いいかも
いやかも
よくわかんないけど

 ....
雨が降るような降らないような
少し 降る ような
降らないような
雨が
砂丘の砂が乾いているような
すこしは
変わっていない ような (そうか)

祭りの陰で
トイレで
しゃがみこ ....
ポケットに
なまりでできたどんぐりをひとつ入れて
川沿いの道を歩いた
地表が
ルーレットみたいにぐるぐる回る朝
僕は ポケットに
色の褪めた赤いどんぐりをひとつ入れて
長い川沿いの道を歩 ....
近所にスーパーができたので
ひとりぼっちで買い物に行った
自動扉を中に入ると
アナキストとすれ違った
笑ってやれ アナキストを

さあ 渡ろうじゃないか
どこへ
どこへともなく
いつ ....
小さな嫉妬の粒を
指先でつまんで丸めてみる
日暮れて家へ帰ろうと思うのだが
行く先が知れない

たくさんの人たちが
出立する暮れ方の川辺の
薄れていく土手の向こう
たわんでいくぼくの背 ....
ジェットコースターだぜ ゴー
どこへでも行くぜ ゴー
くるくる回る五色のライトと
考える前にともしてしまった誤植のライトと

ジェットコースターだぜ ゴー
ゆらゆら揺れる 夕暮れの小枝と
 ....
わたしたちは小さな生き物です
(小さな生き物)
どの程度かというと
気にさわるほどの

空き缶の下 おっと
踏まないように ちょっと
たたらを踏む 
あなたのつま先にさしさわるほどの
 ....
僕たちは食べないと生きていけないから
何か食べないと生きていけないから
農薬の入ったキャベツや
防腐剤たっぷりのおにぎりなんかを
たくさん食べる
昨日久しぶりに
たまごかけご飯を食べた
 ....
ゴムまりみたいに跳ねる少女
丸くて
黒くて
そして
薄いドアの深い溝の内側に住んで
朝の下駄箱の重い軋りを軽く弾いて
ゴムまりみたいに跳ねる少女

歯ブラシを銜えて笑う
マスクをつま ....
三月の冷たい空
人のない荒野のへりに
胸を反らして 風を呼んでみた
新たな扉が鳴るかと見えたが
風はちっとも答えなかった

すぐに答えは
あると思った
脇腹の かすかな痛み
だが
 ....
時は忍び足で通りすぎる
それを知ったのは
先週の水曜日

ぼくは疲れて
回転する部屋の椅子に座った
それから
頬に手を当てて眠った

ひたひたと階段を下りる足音
屋根裏の空を
飛 ....
今年はようやく
雪が画面いっぱいに降ってくれて
忘れた言葉たちみたいに
固く積もってしまった
一足二足
歩くとよみがえる
ぎぎぎぎ
ぼくの埃まみれの靴と靴は
古い苦い音をたてた
わか ....
たいがいが
こずるいうそやごまかしで
その手つきがばれそうになったときの神頼みです
目を瞑って
神に頼んで突っ込む
無責任極まりないお願いです

子供は神頼みなんてしないのです
腹が減 ....
昼下がりの雨の中で
ザクロが割れる
唇に指を立てて
ぼくは泥を踏んで歩く
それから 傘を振る

とても暑かった(その部屋は)
死にゆくものも
生き行くものも
ひどく暑い
後ろの席で ....
かあさんの右腕にぶら下がって
見上げるのは好きだな
両足
なんかもう 引きずっちゃって
かあさんも笑うから
お前は泣くけど
そんときは後ろ足で こっそり
蹴とばしてやるから

かあさ ....
向こうの林の梢の上に
三角からすを止まらせて

昨日のぼくの ろくでなし
あしたに恃む すべもなし

雲にまかれた梢の陰に
三角からすを潜ませて

(三角からすっていうのがいるんです ....
風呂場の排水溝に
退散する泡たちにまぎれて
私の恋が吸われていく

私は両手で恋

と叫ぶが

お前が遠くで
あまりに 手を振るものだから
窓枠も ワイシャツも
追い付けないく ....
春。白い陽が田んぼを巡る
  水を濁らす影の下を
  小さな蛇が逃げる

夏。雑草が炎のように燃え上がる
  草草を分けてゆく胸のあたり
  葉先より高く虫が跳ねる

秋。抜き取られた ....
投票が終わって家に帰った
家に帰って
冷めた朝の味噌汁に火をつけた
火のついたように連呼される
統一地方選挙の候補者の名がもう聞こえなくなったので
冷たくなった朝の味噌汁に火をつけた

 ....
雨上がり
子どもたちが庭に出る
水溜まりから
ヒカリガソラへ

地面を踏む
薄くて固い地面の底に
ヒカリノトイキ
広がる濡れた

  白鷺が半弓のように佇み

カズエちゃん
 ....
もうすぐ学校は終わりになる
十何回目かのチャイムが鳴って
生徒たちは むやみな言葉を散らばして
風が 折れたラケットを転がして
そしてもうすぐ学校は
終わりになる
終わりだよって 誰か 言 ....
水が集まる
眠らない真夜中のドアに

水道の蛇口が少しゆるんでる
しずくを跳ねている
泣いている 恋人の砦


水が集まる
朝日に映える信号の一列

三階建てのビルの裏に
水は ....
仕事帰りの車の中から
電車が見えた
透き通る電車が
色彩を翻して川を渡る

うなだれて椅子に沈む女が
透けて見えた
腰より低く頭を垂らす女が

線路の遥か向こうに
燃え盛る森の感情 ....
雨上がり 狭い公衆トイレを出て
銀光りするジャングルジムを抜け
噴水が青空を蹴り返す広場に至る

水の町の夕暮れ
細い水路に図書館は沈み
長い船が坂の途中に停泊する

熱さ除けの茅のす ....
昨日のことはよくわからないけど
明日のことなら思い出せそうな

シャンプーみたいな朝です

高校生は修行者のように林間に列をなし
小さな耳に枯れ下がるイヤフォーンと
丸い掌に膨れ上がるケ ....
少し離れた椅子に座って
家族の談笑を聞く
妻の伸びた髪 子どもたちの長い脚
ぼくの指先に 笑うニーチェ

汚れた携帯ストラップが揺れて
家族に笑顔がこぼれる
振り向く妻 立ち上がる子ども ....
山峡から雲がほどかれて
青空の薄い隙間に流れ込んだ

寺の境内のジャングルジムの上を
白球は大きく弧を描いて巡り
泥田の中に澄んだ影を潜ませ
その影の中にぼくらは遊んだ
風は風のように木 ....
オイタル(209)
タイトル カテゴリ Point 日付
母がぼくの肩に交じり自由詩7+*16/9/21 18:16
この窓から自由詩416/8/21 21:21
ええと2自由詩216/8/15 0:24
ええと自由詩116/8/14 23:58
雨が最近 降りません自由詩216/8/14 21:15
ポケットに自由詩116/5/5 10:00
近所にスーパーができたので自由詩316/4/10 14:27
小さな嫉妬の粒を自由詩516/3/26 22:05
ゴー自由詩116/3/24 22:32
わたしたちは小さな自由詩13*16/3/21 17:18
僕たちは食べないと生きていけないから自由詩2*16/3/17 10:54
恋する少女自由詩3*16/3/13 21:33
人のない荒野のへりに自由詩4*16/3/12 23:06
時は自由詩515/12/29 23:38
理不尽に引き裂かれる靴の二人自由詩115/12/29 21:03
神頼み自由詩215/12/19 23:14
ザクロのように自由詩7*15/12/4 23:38
かあさんの自由詩5*15/11/30 23:24
三角からす自由詩9*15/11/28 22:23
自由詩2*15/11/23 22:23
とおくなる自由詩7*15/5/17 5:56
投票が終わって自由詩2*15/4/28 6:21
雨上がり自由詩4*15/4/25 18:45
学校が終わる自由詩2*15/3/8 19:52
水町自由詩2*14/12/7 21:31
家へ帰る自由詩514/11/3 19:45
水の町自由詩4*14/10/28 22:35
昨日のことはよくわからないけど自由詩6*14/10/18 20:02
少し離れた椅子に座って自由詩5*14/10/14 23:55
ぼくたちは静かに遊んでいた自由詩3*14/10/12 0:34

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 
0.1sec.