したためて君に
あの日の夕日の孤独について
しるした
水平線で区切られたような
関係性はまじわるのか
まじわらないのか
小石がいくども波にけずられて
きらきらした砂になるよう ....
十代の恋は幼く
大人びた香りがした
あの夏の日暮れの
夜が落ちてくる手前の街を
指を絡めて歩いた
あなたの指は
ほそくしっとりとして
引かれるまま道を歩く
足取りはひどくゆっく ....
貝がらが君の右の手から放たれて、しなだれた花びら一輪を左の手から掬った。泣いてしまう前に話そう。潮の満ち引きのこと、涙の渇く早さのこと、月の光の明るさと甘さのこと、君との足あとのこと、私の .... 暗がりに恋情を隠す
心音が落ちてゆく
水の階段を登り下り
君の肌の質感に流され
簡素な語彙に抗えない
私の内部の熱源に点される
愛にも似たようなもの
鍵はそのままにして
綺 ....
君のうなじが
白くうつくしいので
ことばを失くし


つつじ柄の着物に
雨が落ちてくる
そっと和傘をひらく
しぐさに湿り気が帯びる


 四つ辻まで
 ご一緒しましょう ....
ブランデーを喉にながす
こくりと飲み込んだうつつは儚い
床にぶちまけたこころの黒さは
いつのまにか天井になり
わたしを覆い隠した、ほし、星のようだ

眠れずにひとの温もりだけを ....
カタン カタカタタン
夜が鳴く音がする
君とのセックスはゆっくり熱をもつ
スローモーションの恋で

気づくと空は夜を
ワイングラスに注いで飲んでいた
ぬるま湯に浸かり
君の ....
夏が終わりかけている。海を見ておもう。
寂しいような、青春の種火が消えるような気がする。

私はいつまでも視線を下げなかった。足元を見ればきっと、
夢に溺れてしまうからだ。持っていたペ ....
マリ男は夜に孤独だった
まだ趣味はある
写真が好きで
朝焼けと夕焼けにシャッターを
押すことを繰り返していた
一人旅をよくした
数少ない友人たちは家庭を持ち
それぞれに
関 ....
雨は綺麗だ
ひどくやみ上がった空はうつくしい
衣服が濡れて透ける
心までが裸になるのだ

終わり欠けの虹を見る
どこへいく
どこへいってもスマートフォンは繋がる
恋人からは逃げ ....
目覚めると光が降り注いだ
何ものも 邪魔しない
うつくしい朝焼けに
私の心はじりじりと音を立て続け
どこまでも形を失いそうだった

昨晩は
正しくない言葉が
海に捨てられて ....
マリーゴールドの香りが染み込んで大気を少し重たくする

ひらく花びらのかずとアスファルトに落としてきた恋のかず

麦わら帽子が風で飛んでいった先にトンボがふわり秋の気配

君と手を繋ぐと空 ....
(あなた)


これから約束の
場所に向かう
どことなく意識をして
きっちりとした服装
風が強い
声が運ばれていく
彼女が例えばまだ
私を愛してると言っても
もう何も ....
明かりの少し落ちた町で暮らしていたとき
身近にいる友だちと会うことがなにより恐ろしかった
だからこの街に引っ越してきたときに思った
あの人もあの人も果ては両親さえももう誰もいないのだと
 ....
「食べる」

早朝から釣りに行った夫が、すずきを一匹釣ってきた。
君は大喜びして、おさかな、おさかな、と言った。
水面をパシャパシャとのたうち回った姿はまだ想像できないかもしれない ....
朝起きる。
新聞配達のバイクがハーモニィを奏でて
ポストに投げ込まれる
合図はわたしをきちんとコーヒーへと導く。
隣でしっかり布団に収まる夫に
声をかけるとううーんとうめいて夢に戻ってしまっ ....
ためらい、とまどい、こい、きみのずぼん、
はちぶんめまでいかない、このもどかしさ、
わたし、あなた、きょりかん、てをつなぐ、
そのあせばんだ、かんかくさえも、しゃつ、
らむね、ごく ....
ほんっとバカだったよな
羨ましいくらい自由で
でもなにかを抱えてて
時おり寂しい一面を覗かせてた
そういうところに弱かったんだ
遊んでいるようにみせて
誰より努力してて気づかせなくて
 ....
きらきら
という絵本を
君に読み聞かせるのだけど
結晶の写真がきれいで
君のお気に入り
ひとつ 指さして
パパ! と言う
ママ! ととなりの結晶を指さす
次々に 結晶が
 ....
きみ、はじく、つめ、のおとまで、あゆみよる

 しずかにないた ひぐらしのこえ

よるまではだまっていようこいなのか

 くちびるとじる くらやみのなか

わたし、から、だきし ....
涙をミルク瓶につめると海に流れる
浮くとか浮かないとかは
もんだいではない
夜の水面にぴか、るような愛なのか
恋なのか杞憂なのか
わたしの、恋情などほうっておいて

ロシアの夜空 ....
手のひらに真珠をのせ
なめらかに海に流す
一連の動作は帰ることを意味する
君を待って
長らく浜辺で時を過ごした
捨てられたボトルや
流れ着いた流木と共に
私はもう待たない
 ....
夏ってなにかな
ビールだね
へえビールってなんだろう
たとえばこれ以上ないやつで
シメイブルーだね

 世界一うまいビールだとおもう。
 とくにマグナムの3年熟成もので状態が ....
戦いがはじまれば
君は何と戦うのだろう
ゴジラであれサイバー攻撃であれ
何と戦っているのかさえ知らされず
戦う日々が来るんだろうか
蜩が鳴いているから
この、
暑い夏を思うのかもしれ ....
小雨日和に
涙がひとつぶ落ちると
空き箱に海が広がり
折られた便箋が繊維の波をつくる
皆が別れを見出だす
手先を冷たく潤す
水はしわを消さない
刻まれていく訪れに感謝し
なくす ....
穏やかな日々を
カップに入れて朝を飲み干す
苦みや甘みを口にふくむ
めぐるという
気づかない音色に耳をそばだてる
あれから

かわらないものを撫でる
空を切りわける風に
 ....
きらきらと
ひかるピンクのすみれの
しあわせを願うきみのまなざし
誰にでもあって誰にでもないもの
さがしてさがして
たどり着く束になったひかり
すべてから
とき放たれたような ....
ゆうぐれに
訃報がふたつ
覚えたてのことばを使う
無駄な行間を埋める
雷鳴がとどろき
過去に幕を引こうとする
落としてきたものと
忘れてきたものとはちがう
ついばんだ死につ ....
爪先で
地面をタップする
日常にひそむショートカット
生きることに憧れる
若いというエネルギーが
エコモードへと移行する日々に
時代へのアイコンを作りだす
流されていてもいい ....
まよう
答えを探している
息子とじゃんけんをする
勝っても負けても
答えを見つけることの間違いを
教えられる
あいこでしょ!

障がいについて
伝える日がくること
世の ....
かんな(292)
タイトル カテゴリ Point 日付
海に届くまで自由詩3*17/6/20 18:14
遠い日の透かし雨自由詩7*17/6/16 23:22
もう君の声も聞こえないほど自由詩4*17/6/6 18:43
トイレの鍵自由詩3*17/5/28 22:18
つつじヶ辻自由詩9*17/5/24 12:54
夜に落ちる自由詩216/9/27 9:17
night moves自由詩2*16/9/10 16:54
夏の片隅にいた自由詩216/8/30 14:59
夜のスーパーマリオ自由詩2*16/8/24 11:52
雨やみ上がり虹のハシまでいと電話するすると吐く恋人のサギ自由詩10*16/8/20 20:56
綺麗な言葉だけを身に付けて世界を歩けばいい自由詩4*16/8/16 13:43
いま 繋がらない自由詩2*16/8/10 11:14
あなたからわたし、そしてふたり自由詩2*16/8/9 14:55
あの町とこの街自由詩4*16/8/5 15:24
息子という君自由詩9*16/8/4 9:37
ハピネス自由詩7*16/8/1 9:41
しちぶんめの夏自由詩3*16/7/29 8:49
君のことを書くのはこれでおしまいにする自由詩12*16/7/27 11:50
ちいさな詩人自由詩9*16/7/22 13:22
きみ、はじく、自由詩0*16/7/21 16:20
涙をミルク瓶に自由詩4*16/7/21 12:55
恋を流して自由詩4*16/7/16 21:35
VR海岸自由詩5*16/7/5 18:01
それが永久の眠りだということを自由詩4*16/7/3 19:51
せんいの波自由詩5*16/3/23 12:50
春を飼う自由詩2+*16/3/11 12:26
ピンク色の菫の花束自由詩4*16/3/9 15:14
ふゆが終わる自由詩6*16/2/27 21:25
タッチパネルの恋自由詩5*16/2/17 21:52
グーはチョキに勝つ自由詩6*16/2/10 13:55

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