あなたからわたし、そしてふたり
かんな




(あなた)


これから約束の
場所に向かう
どことなく意識をして
きっちりとした服装
風が強い
声が運ばれていく
彼女が例えばまだ
私を愛してると言っても
もう何も変わらないのだろうか


(わたし)


席について彼を待つ
ひたすらに恋できた二十代とは違う
愛してるの重みは
渋みまで帯びはじめている
いったいどれ程
得たのか、失ってしまったのか
そんなことは分からない
それでも


(ふたり)


西陽が差し込む
ふたりが隣り合わせで席につく
カクテルを頼む
うつくしい酔い
これほど相応しい夕暮れもないのに
さよならさよ、ならさよなら、さようならと
言ってしまえば、


()


トランプをした
負けた方が思い出をひとつ話した
あるいはドミノをやった
崩した方がこれからの話をした
空気が
いつか贈り合ったバラの花束の香りで
充たされるようだ
再びの夜に眠りにつくのか
抱き合うのか



(わたしたちはいまだ傾いている)



自由詩 あなたからわたし、そしてふたり Copyright かんな 2016-08-09 14:55:34
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