静けさが鼓膜に当たる
しとん。と打ちつけるひとりの音
風に耳をつけるたびに聴く
傍らに佇むような誰かの鼓動

暗やみを角膜が吸い込む
ひたん。と拡がるひとりの気配
窓辺に佇むと街灯が眩し ....
ねえ、さよならをしよう
後ろ向きに流れるメロディ
誰かが世界のしあわせを歌うよ

アスファルトを強く蹴る
自分ってなにか
求めすぎて自販機で炭酸飲料のボタンを押す
すべてが泡となって足元 ....
朝が来ると鏡の前でこい。を頭の中で漢字に変換をする。雑踏を歩くと踵が痛い、世の中に埋没する生き方を足し算し続けると、私は空を見上げない、結局地面を見下さない。黒板の文字がぼやけて、目を細めると現実 .... かけてはいけない。
おさらがかけたらつかえない。
かけるひとは
かけてしまうことで、
かけそうなこころを
おとしてはいけないのです。
朝日を小瓶に捕まえて
蓋をしめて逃さない
泣き出した夜に雨が降る
綺麗すぎて汚くて正しすぎて間違いで
かけがえのないものを掛け違えるまいにちに
夕陽を虫籠に入れる
幼い記憶を餌にして
孤 ....
しろく印した約束
違えないようにと
丁寧に付箋をはがす
いつかの夏のはじまり
まちあわせを繰り返すきせつ
出会わないやさしさ
みどりに染まるかげを
ひたすらに踏みしめてあるく
 ....
あさ、
と呟いたことばを
ひと呼吸おいて窓辺に置くと
射し込むひかりに反射して
きらきらとひかる

うとうととする
あさ、のとなり
クロワッサンがやさしい匂い
ぼおばる月のかけらが
 ....
水面にキス、をした波紋の先に血液が流れる事実が愛しい、見上げる、あげる、ね。あの星々から落ちた涙と身体に雨が滴り落ちる、夏の夕ぐれ。何もない綺麗もない汚いもない、陽射しに目を細めて少しだけ君が小さくな .... 母が静かに佇み
やわらかな星々に横たわると
夜が落下する速度で
慈しみと憎しみが揺れ動く
母の季節が訪れるとき
夏と冬が行き来して
子どもたちは春と秋を奪い合う


「あんたは身 ....
やさしい
やわらかいものばかりに
触れてしまっていると
ひりひり、ひり
とした痛みのあるものを
抱きしめたくなる
不安や安心やそういったことに
関係するのかもしれない

宇宙や星や月 ....
とがった先に
やさしくあるわたしの、本質
何度折れても
頑なに再生する、じんせい
歩く足のふとももに
太く根ざす、わたしの信念が
いつか土に帰るときも
刻んできた言葉たちが
生きつづけ ....
降り注ぐ雨が
掴み切れず指をすり抜ける
落として来たもの
空がやけに広い朝焼け
終わりなのか
あるいは始まりなのか

レールを走る列車のようには
うまく進まない生き方を
けれど今を精 ....
生命線をなぞる
左手のひとさし指でいちど君と
出会った気がした真昼に
やさしく訪れるように降る雨が
こころに刺さる氷柱を一欠片ずつ
溶かしていく夜に冬が泣く
何度も読んだ小説の
一行 ....
愛を置き去りにした冬が
過ぎていく窓辺でカーテンが
揺れて夜をなびかせる

きれいな思い出を詰め込んだ
ハードディスクで再生した今を
忘れないように上書きする

切なさがひどく滑稽で
 ....
もうすぐ
トンネルだね。
息子がつぶやく
車内は空調がきいてあたたかい
帰路を走るフロントガラスに
ちらちらと落ちる雪

しろいね。
冬が深まるたび
吐く息が白くなる
 ....
降り始めた雪が
肩先に触れるとき
人々は誰かに愛を告げ
別れを告げる
手のひらで溶ける冬
生きることからも
死ぬことからも逃げられない
吐く息がもう白い
ひらひらと落ちる結晶を
 ....
薄っすらと
はった氷を割る
秋が終わる音がする
霧がかった紅葉の
空がまだ青い
辿る記憶の先に
肩車をする夫と
肩上のわが子
手を振る
生きることとは
悩み過ぎ去ったあ ....
目を覚ました
しとしとと音がしている
しずかな朝の、
雨音の音階を調律するひとがいる
誰だ。
調律師は物憂げな顔で指先を動かす
ふと音がなめらかに
なったかと思うと
その指先は ....
冬のはじまりを
ことばにしたくなった
ときすでに、

むかし話のように
ふり続くゆきのような、
文字のられつ

呼ばれなくなった
なまえを口ずさむように
くり返し、くり ....
ことばが寒さから抜け出し
たいようを追いかける夜に
睡眠剤をウイスキーで呑む

景色はしろく記憶だけ鮮明で
墨汁で色濃く書いた文字さえ
どこか儚い冬のきろくになる

突然の ....
さかさまのきみがいて
ぼくはめがはなせなくて
てんきよほうはあめだったのに
そらはいつのまにかはれていて
きづかないのはぼくだけだった
うみとそらのちがいをきいた
きみのなかにみえたの ....
はがされたばかりの空が、海が。詩へんをついばんだカモメのくちばしを読めばことばはなく、この街は。木洩れた庭先に女の子が水やりをする、ひかりに水をあげているの、と首を傾げる。チグハグなあいがまっ ....  空は何色?

君にたずねる私は幼い頃をおもい出していた

 今は青色だね。
 暗くなると黒色だよ。

率直な感性がすこし眩しくて
私のこころがほぐれていく気がした

 ....
共に過ごし
波のように
恋のごとく
ゆらいだ歳月の不確かさ
と確かさの、

月が半月で
表裏のよう
相反するおもいの
春めいた
花びらが落ちる、より
忙しく接吻し

 ....
もう、盆を迎える
年のはじめに亡くなった
祖母のことをおもう
弔いとは何なのか
酒は酌み交わせないから
話を汲み交わして
そうやって
いっときの
なぐさめのように
祖母の生前 ....
私は泣いた
君という海の波打ち際で

不器用さを
愛おしさから
短所に変化させたのは
慣れすぎた歳月と
甘えすぎた気もち

海辺に向かって
手を繋いだ瞬間を
覚えてい ....
揺らぐ逃げ水に夏が透きとおる
容赦のない日射しに
深く被った帽子を右手で押さえる
アスファルトが反射した熱
吸い込んで汗ばんだシャツ
歩くたびすり減る靴底に
地面との摩擦熱を感 ....
ことばに小さなドリルで穴を開けていく。覗くとことばの裏側が見えるので試しにやってみて欲しい。小学生や中学生の夏休みの自主課題に合っているかもしれない。ことばを選ぶのが難しかったら、分厚い辞 .... 帰省した
ほんの気まぐれに
親に顔を見せた
ひどく暑い夏の折
来月に盆を控え
年のはじめに世を去った
祖母を思った
居場所なく
結局仏間でくつろぐと
線香の匂いが
また ....
君がいう
髪のびたねと
風がなびいて
会えない日々を梳かしていく


君は遠い季節に
住んでいて
いつも変化に遅れて気づく


この夏
君が気づく頃
私は黒髪を
 ....
かんな(292)
タイトル カテゴリ Point 日付
ことばだけが夏に欠ける自由詩719/7/24 16:58
さよなら。あなたの細い右腕自由詩419/7/6 21:30
No spring chicken自由詩3*19/6/30 7:31
かける。自由詩119/6/24 21:36
夕陽の虫籠自由詩1019/6/21 19:46
まちあわせとやさしさと夏の呼吸自由詩719/6/18 18:39
はじまりを脱ぐ自由詩6*19/6/6 22:11
夏を投げる自由詩3*19/6/3 17:15
母の季節は夏と冬自由詩7*19/5/21 9:26
息づく自由詩3*19/4/18 9:30
ほね自由詩12*19/3/20 15:15
虹がきれいだから少し泣いてみたい自由詩3*19/3/16 21:11
はじまりは揮発していつしか空が曇る自由詩12*19/2/20 13:04
あなたの隣にわたしが座る自由詩2*19/2/12 18:58
夜をたぐる自由詩5*18/12/24 8:47
やさしい匂い自由詩4*18/12/14 17:49
やさしい音自由詩7*18/11/17 17:35
雨の日と月曜日は自由詩10*18/3/21 12:08
はじまりをことばにしたくなった自由詩5*17/12/2 18:14
薬を酒で飲む自由詩13*17/11/27 21:54
すなどけいのこい自由詩3*17/11/22 22:45
のっぺらぼうの街自由詩4*17/10/11 14:17
空は何色自由詩3*17/10/4 19:53
ゆらぎ自由詩4*17/8/26 15:12
はなす/ひきよせる自由詩1*17/8/11 16:35
波打ち際で泣く自由詩11*17/8/9 11:12
逃げ水、打ち水、この夏、自由詩2*17/7/28 17:10
キリモミングフィールド自由詩4*17/7/24 19:08
自由詩12*17/7/13 13:34
髪のびたね自由詩1*17/7/10 18:20

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 
0.07sec.