果てしない一群の墓標が

ここに夢を綴じている

今、私に見つめられたそれらも

かつては何かを、彼ら自身が見つめていただろう

たった二つの

魂のかけらめいた瞳の ....


それでもいい

遠い足音の偬しみも

かわした言葉のすべてが いつか跡形もなくても。

ぼくらの中にだけ積もってゆく

  ただ、それだけ、であっても。

純度の高いまだ ....
何モ言ワナイデイルわけでもないのに
アナタはまだ聞き慣れてもクレナイ

ヤサしくてヤワらかくて 
包まれて火傷する

陽射しのような眼が照らす

ワタシの奥の冬を

イマを失った ....
花でもない なんでもない 碧き苔

土に落ち 
ひっそりと咲く

世に咲く何ものであっても
わずかに命をたたえ

一瞬の音が残される

今朝は雨だった
乙女のような爪の軒先に 
 ....
唇が羽ばたいて美しい言葉を吐くとき
肺が搾る情熱の{ルビ泡=あぶく}は音をかき鳴らす
心臓の歯車が{ルビ描=か}きなぐる視界のそのずっと奥まで
背中を押し続ける真実が、今キリキリと君に発火する
 ....
『悪魔の舌 PART2』


五月始めの或晴れた午後のことであった。
3時を少し回った頃、私はただ何となく
空を見上げて、ぼぉっとしたまま、無心な
状態でいたと思う。突然、スマートフォン
 ....
孤独な指先を
そっと浸すように
冷え冷えとした土の中から
上に向かって堕ちてきた
それは
生えだした 
うねり

しなやかに燃えて 落ちていく曲線のむこうに
求めてやまなかった影があ ....
 祈りは、行為の種だという


 伸び出た行為の葉陰には きっと


   きみの祈りの花が咲いている



 祈りが 行為の種 ならば

 
 行為が 祈りの花 だから
 ....
 花はみずからを

 最もか弱い葉であると思って散り

 多くの葉は我が身こそ
 
 逞しい花であると思いつつ繁る

 樹はそれを黙って哀しみながら

 春が花を愛で 秋が葉を罰す ....
  
答えてよ新宿

馬鹿馬鹿しいくらいに

線路が無数に重なって

枝毛だらけの細胞分裂


ヌケガラの街を

駆け巡り 人は どうやって

行きたい場所に辿り着く

 ....
+

プラナリアにとてもよく似たあなたも普段はありふれた両生類として
揺らめいている。〔時折〕爬虫類の要素を尖らせて、眠るのを怖がり
泣いていた〔けれど〕頭の中では真っ先に哺乳類の細胞を一つだ ....
束の間の輝きが水面に射すと

魚は 眠らない営みにリラリラと

言葉を浮かべ

手に取ろうと揺らめく影を砕いて

その光の枠を抜け出したまま

ほんの夏の終わりの方まで滑ってゆく。 ....
動かなくなったきみの

頬が笑う

「冷た過ぎやしないか」

そう、遠くから伝えてみる

アノ
 澄んだ温もりは

いま
 灰色の何処に熔けてみた

   のか・・・

 ....
すぐお腹がすいてしまうな(・・・)
と(思ったら)、

もう そんな時間になってた

ちょっと時間ができると

寂しくなってしまうのに

 時間を忘れつづけることはできない。

 ....
 

【全国‐同姓同名辞典】によれば、
 栄えある1位は、
 田中実さんである。
 鈴木実さんは、惜しくも3位。
 せっかく名前が実であっても、
 苗字が田中と鈴木で大違い。
 どうせ ....


街にある異郷に独り
Gaudi は私と同じ夢をみる

見つめ続ける螺旋の渦に
マグマの足どりは溶けて

故郷に横たわる公園に独り
面影と一緒(とも)に眠る

荒海を越えて辿 ....
***
「さすらい人の夜の歌」
     (ゲーテ原作/ハァモニィベル跳訳詩)


山は死んだように眠っている

樹々も呼吸を止めたまま、ピクリともしない

頬を撫でながら過ぎていく ....
静かに激しく揺れる夜の詩人よ
なぜこんなにも闇を否定するのか
私の中の
この何かが
凍りつくこともゆるさずに
『九月四日。まるっと』

    (作詩 ハァモニィベル / 原作 渚鳥)

   


この机の足下に

私の工作用の材料が入ったカゴが一個 ある。

それは 一人の人間の訪れ ....
哀しみは、この駅の1番線に到着し、9番線から出るという。無人駅は、待つ人は疎らで、降りる人ばかりがやたらに多い。1番線にやって来る列車は日に何本もあるが、9番線からは滅多に出て行くことがない。俺はそん .... .

 伝言:〈先に、宇宙に居ます〉


2つの宇宙が語り合っている
互いの法則を探り合っている
何処までも飛びつづける
卵のような艇内に閉じ籠められて
一輪の華
がお互いに咲いて ....




背を向けて一人の男が寝ている。
一言の口も利かず、黙って、
かなり前から ずつと、
長い ながい時間
心はうたっているのかも知れない 
新しい悲しみを

そして
南極 ....



触れるほど壊れてしまいそうな
手のひらの小石を抱いて


形にならない呼吸のかけらが
何処かへふかくおちていく


まどろみを蹴りながら


泳ぎつづけていく夜、
 ....


 

どぼんと
水面のまぶた
開いて


揺れる呼吸の
ただいま と おかえり





喪失の臭い


幼子の瞳に隠れんぼする
木製の掌はうつつ

 ....



骨のかけら
唇に
あてがい


言葉は
君の髄まで
浸る


解釈は数え切れない
指をさしむけて
分割できぬまま日常を配置する


夜は
数え切れない
 ....
雲のなかを行く鳥も
目を開いたまま
プールの中の子どものように
夢を凝視していた


よく見えもせぬまま
あの日もいまも
部屋の中で遥かな空を行く


誰かが描いた街を
い ....


初めての旅をした
魅力に富んだ表紙のついた 本の
扉を開けるように
それは 始まったわけではなかった

足を引き摺り ひと気のない
トンネルを歩くように
それは まだ終わらない ....


足音がする
 足音だけが 
北側の
庭の隅を過ぎる

犬が吠えたてる
 犬が頻りに
遠くの犬もつられて
吠える


枕もとの時計は
まだ
静かだ


浴室を出 ....
Only to Fail


こんな題名の小説が一冊
ほら目の前にあるだろ

いや、小説ではないな、漫画だ
これは。

原っぱの草野球で
大リーグボールを投げている
 ....
      ――その右手の残酷は、あの左手の歓びである。


  ロマンティックな挽き肉



きみは、いま静かに床について居て
もうすぐ死んでしまうのだと、してみよう。でも、悪く思わ ....
ハァモニィベル(196)
タイトル カテゴリ Point 日付
自由詩2*18/12/28 22:11
冬の夜の自由詩9*18/12/20 17:38
視えない場所へ自由詩4*18/11/2 20:36
花でもなく[group]自由詩1*18/5/24 20:29
羽撃く唇[group]自由詩2*18/5/19 2:57
『悪魔の舌 PART2』[group]自由詩018/5/14 15:20
悪魔の舌[group]自由詩018/5/12 20:31
祈りある人へ[group]自由詩2*18/5/10 2:47
  渦 自由詩5*18/4/27 10:17
答えてよ新宿自由詩2*18/4/25 20:56
1カンデラの未来自由詩2*18/4/20 20:39
束の間の自由詩5*18/4/16 22:17
INVESTIGATION自由詩2*18/4/11 7:07
おなかと時間の関係式自由詩1*18/4/8 19:04
道順[group]自由詩1*17/10/6 17:45
旅愁[group]自由詩1*17/10/3 13:16
旅人の夜[group]自由詩1*17/9/30 4:16
 『蝋燭』[group]自由詩3*17/9/22 21:41
『九月四日。まるっと』[group]自由詩3*17/9/22 21:38
無人駅 ~ジョバンニ発、カンパネルラ行~[group]自由詩3*17/8/19 22:16
伝言 〈先に、宇宙に居ます〉[group]自由詩6*17/8/13 3:21
  未完のソルテ[group]自由詩1*17/7/15 19:54
書けない詩の書き方について[group]自由詩1*17/6/13 12:08
楽車 DanーJiri[group]自由詩017/6/12 9:57
黙唱[group]自由詩2*17/6/8 21:21
「ぼくの二本足」[group]自由詩1*17/6/8 21:15
さりげないソネット#2自由詩4*17/4/12 2:45
さりげないソネット#1自由詩3*17/4/9 14:11
Only to Fail[group]自由詩1*17/2/4 18:35
《ロマンティックな挽き肉》[group]自由詩3*17/1/27 21:48

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