壁紙が剥がれ落ちていく
鱗のように、枯葉のように
ポロポロ、ポロポロと
私は何になりたかったんだろう

その答えは
崩れゆく壁紙の向こうに
隠れているのかも

男はじっと立ちつくして ....
小高い丘に
鉄塔が立っている

周辺の家々に
電気を送る為なのだろうが
今はもう使われていない

住む人も絶えた
この地域には
もういらなくなった

このあたりに
ポツリポツリ ....
ポコポコ、ポコポコ

草なびく大地のどこかから
打ち鳴らす太鼓の響きが
聞こえてくる

訪れる春の気配に小躍りした若木が
己を縛る土のくびきから引き抜いた足で
刻むステップのように、軽 ....
目覚めの薬

始めたくない一日
ベッドの脇のギター

黙らせた目覚まし時計から
バトンタッチされたテレキャスター
僕にやる気を出させようと
甘い声で囁きかける

僕は布団の中から手 ....
そのビー玉の中に
小鳥が住んでるよって言ったら
少女は指で弾くのをやめて、
目を細め、陽の光に透かして
覗き込むようになった

そのボールの中に
昔亡くした筈の子犬が
隠れてるよって言 ....
優しさには牙をむき、
肩にかけてくれた毛布を切り刻み
寒い風の中怖い顔して笑う君が
ノイズ交じりのブラウン管に
白黒で映る

苦しみに
飽きることはない?
野の獣となった君の心 ....
散らかった部屋を掃除したら
埃を被ったガラクタの下から
顔を出す思い出が一杯

浜辺に打ち上げられた
ペットボトルの溺死体みたいに
塩辛い記憶を吐き出した

僕は年老いた若者
時の目 ....
沢山の偽物をつぎはぎして
自分という人形を作り上げた
糸と針で縫い合わせた、
建前と奇麗事のパッチワークを

ああ、
何も変わっていない
疑いを知らない、無垢な心を
この世界に差し出し ....
一人、
部屋にうずくまりながら
深い海溝に墜落していく
そこには冷たい水のかわりに
闇だけがある

孤独、果てしない孤独
膨れ上がる世界と
縮んでいく自分

エゴに押し潰される自画 ....
僕は一枚の紙

美しい物語が綴られるはずだった紙
だのに、その表面は虚しい無地のまま
降り止まない雨に打たれて
溶けだしてる



ある晴れた日、道行く人々が
ふいに風に舞う紙に変 ....
 
潮の満ち引きのような周期性を伴って、人々の感情が私の周りに波となって渦巻く。

例えるなら、私は砂浜に転がっている無数の二枚貝の一つだ。
灰色の雲の群れが、草を食む野生馬の群れのように ....
静寂は海

途方に暮れた作曲家が
ペンを投げだし
付く吐息

白紙の五線譜を
群れ成す音符が泳ぎゆく
虚しい幻

目を閉じて
内なる海を前に
立つ

足元に打ち寄せる
水 ....
 深く蒼い秋空に
 一筋、また一筋と
 白い傷跡が
 泡立ちながら引かれていく

 暗い海溝にも似た
 幾壽にも奥まる天蓋の懐
 ある晴れた日、小高い丘に寝転がり
 青草のにおいを味わ ....
今日は週一回の休日。家でまったりしながらこれを書いている。

 今の職場には、Kさんという先輩がいる。
 僕より二歳年上で、とても仕事ができる女性だ。
 物流の現場では、日々クライアントからの ....
君は行ってしまった

一度背中に翼が生えたら
羽ばたかずにはおれない鳥のように
遠い所へと飛び立っていった

きっと、その心は
この地上に縛りつけておくには
余りにも自由すぎたのだろう ....
命をそまつに扱うのは、命の価値を知らないからだ。
それは、究極の無知だ。
力による勝利は、人間性の敗北だ  移りゆく事象に
 普遍性を見出そうと
 あなたは時を凍らせた
 記憶という名の冷却剤で

 汗ばむ肌に下着を貼り付け
 冷えた板張りの床の上
 道に迷った子供となって
 膝を抱えて座 ....
 私たちが
 自分を創り終えるのは
 いつなのだろう

 たとえば、
 どこかの建物の一室で
 最後の息を一つ吸い
 そして、吐き

 その胸の鼓動が
 ついに沈黙する時
 あな ....
 干しかけた洗濯物
 風の一吹きに掬い上げられ
 みんな地べたに、落ちちゃった

 シャツにトランクス、靴下にパジャマ
 着古した心から、思い出の沁みを洗い落として
 まっさらに漂白したっ ....
 真っ白な紙を見て
 僕は、こう考える

 ここでは、
 何にでもなれる
 どんな事でも出来る
 どんな世界にも行ける

 なにかを
 創造するということ
 言葉を通じて

  ....
 論理というのは
 ギアボックスみたいなもの
 私たちの心に構築され
 その行動を、司る

 でも、
 スチールの
 箱の中に押し込められた
 小さな歯車の数々が
 錆びつき、牙が欠 ....
 彼は詩人を
 気取る者

 内なる黄金を仄めかす
 持たざる者の、負け惜しみ

 だが
 言葉の剣が錆びついて
 振り回す手つきも憶つかず
 悪戯に、心の生傷を
 増やすだけ
 ....
 綴じられた手紙の様に
 君の心を読むことができない

 それを
 どうしても知りたい

 僕のことを
 どう思っているのか

 今、自分が
 ごつごつした
 隕石に変身して
 ....
 夏祭りの帰り

 土産もない手を
 ボッケに突っ込み
 田舎道を歩いていた

 暗い山影と
 遠ざかる喧噪

 鈴虫の声と
 小川の水音が
 草葉の陰から
 呟くように
  ....
 海の大さを知るためには
 一滴の水を
 見詰め直さなければならない

 と、老いた亀は言った

 波打ち際で遊ぶ
 他人の子供を
 呆然と眺める
 僕の足元で

 亀はそう言っ ....
 ある少年がいた

 何処かに
 旅に出たくても

 そう簡単には
 身動きのならない
 身の上で

 金もないし
 健やかでもないし
 勇気もないし
 運もない

 ない ....
 手を付けないでおこう
 自分という作品に

 決めつけないでおけば
 何にでもなれるだけの、柔らかさが
 人の内側には、まだ残っている

 手を付けないでおこう
 描きかけた自画像に ....
 薔薇の花が一輪
 掌に横たわっている

 棘だけが未だ鋭く
 チクリと私の皮を刺す

 死して尚
 痛みを与える
 美しさ

 庭仕事を終え、
 麦藁帽を脱いで
 額の汗をぬ ....
 遠く離れた
 名も知らぬ君に対して
 愛を感じるための
 口実なんてない

 人類みんな
 兄弟、姉妹だから、なんて
 そんな標語も、白々しいだけで

 だって
 兄弟げんかも度 ....
まーつん(261)
タイトル カテゴリ Point 日付
壁紙自由詩6*18/4/13 11:04
鉄塔自由詩5*18/4/4 11:25
春の太鼓自由詩6*18/3/25 20:56
目覚めの薬自由詩3*18/2/11 16:39
優しい殺し屋自由詩318/1/29 21:23
不幸の天才自由詩218/1/21 19:36
千の色に染まる水自由詩318/1/21 14:37
人形だって泣けるんだ自由詩218/1/3 21:38
空き缶の自画像自由詩717/12/30 9:21
僕は一枚の紙自由詩10*17/10/22 22:01
閉じた貝と空気の接点自由詩317/9/28 17:41
五線譜の海自由詩017/7/7 0:52
命の航跡自由詩216/8/31 19:49
kさんのこと散文(批評 ...6*16/2/3 11:59
一欠けらのパズル自由詩415/9/29 10:02
無知について自由詩4*15/9/22 23:42
勝利とは自由詩7*15/9/22 23:07
凍らない水自由詩12*15/1/25 9:26
人間の完成自由詩18*14/10/6 18:43
洗濯物と秋の風自由詩15*14/9/23 18:55
お日さまの絵自由詩11*14/9/10 23:22
錆びついた歯車自由詩12*14/9/8 21:00
立ち止まる子供自由詩10*14/9/7 14:19
ただの女自由詩12*14/9/5 18:51
火の河の畔で自由詩8*14/8/23 12:10
亀の教え自由詩15*14/8/8 12:10
嘘つきの星のもとに自由詩16*14/8/5 18:12
風の彫刻自由詩8*14/8/3 11:31
指輪と石自由詩11*14/7/30 11:42
包み紙自由詩11*14/7/24 15:20

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