膿を垂れ流す虫歯が疼き
よく眠れない夜が明け
飯も食わずに布団の中で
丸まったまま

飛び去りかけた夢を
手繰り寄せようと目をつむるが
縄と編まれたお日様の光を
首に掛けられ
新たな ....
結局、生きるしかないのだ
という諦めの言葉が
泡となって水面に浮かび、弾けた。
そう、言葉はいつも弾けて
行方知れずになる

かつては
胸の奥の熱い火が
水のような心を沸かせた

 ....
言ってはいけない言葉がある
振り子のように揺れている
あなたの胸の内側を

言ってはいけない言葉がある
渇いた喉を塞いでる
吐き出されるのを待ちながら

想いは蜘蛛の糸
あなたは捕ら ....
叫ぶように笑う 君の癖に触れて
押さえつけられた 涙の気配に気づく

いつもはしゃいで 明るい君がふと見せる
深い影の中 手を伸ばしてみたくなる

悲しい記憶を乗り越えてく
空を飛ぶより ....
銅、リチウム、カリウム
これらの金属は
ある種の状態で
炎に炙れば燃え盛るが

緑、紅色、薄紫という風に
それぞれが、違った色合いの
火を吐き出す

情熱が
その上昇気流が
人の ....
1

晩夏の夜、郊外。
棟を連ねる家々の窓明かりが
街路に光を落としている

そこを、通り過ぎる人影が一つ
彼はうつむきながら
こんなことを考えている

…人は互いに繋がりあって ....
「なぜ人は誰かを傷つけるの?」
 と、娘が問いかけてきた。それは、私が常日頃胸に抱き続けている疑問でもあった。

「それは、自分が傷つくことを恐れているからだよ」と、私は答えた。
 春の ....
 僕は歳をとった。

 もちろん生きとし生けるものすべては、常に老いているわけだけれど、ある時から、肉体はそれ以上成長することをやめ、ゆっくりと衰え始める。空に放ったボールが高く高くあがりながら、 ....
私を、ここに居させてほしい。
ここが、好きなわけではないけど、
一番手近な場所だから。

何者でもない私を
どうか、踏みつけないでほしい
権利も義務も見えない目で
ただ、空を見上げている ....
赤は一番派手な色
身体の内をめぐる色
目立たぬように歩みを運んでも
一皮むけば飛び散る血潮
命の滾る熱の色

だから、
冷たい振りなどするな
表情を捨てた仮面を被るな
撫でれば悶え、 ....
いつか
そのうえで踊るため
香ばしく腐りゆく土を
踏み固める

汚れていく裸足が
大人になっていくようで
誇らしい

肌に刺さるほど近い景色を
押しのけると、それは霞みがかり、
 ....
覚束ない手で握った
透明な定規を
まっさらな星の肌にあてて
まだオムツを付けた子供たちは
ぶつぶつ言いながら
線を引く

柔らかく上下する面を
よちよち歩きを覚えた足が
飛ぶ暇も ....
時は贈り物だ
どんなに惨めで
苦しい時であっても

なにやら知った風な顔をして
そう言い切るのは、
愚かなのかもしれないが

小さな無人島に立って
ヤシによく似た一本の木から
毎夕 ....
壁紙が剥がれ落ちていく
鱗のように、枯葉のように
ポロポロ、ポロポロと
私は何になりたかったんだろう

その答えは
崩れゆく壁紙の向こうに
隠れているのかも

男はじっと立ちつくして ....
小高い丘に
鉄塔が立っている

周辺の家々に
電気を送る為なのだろうが
今はもう使われていない

住む人も絶えた
この地域には
もういらなくなった

このあたりに
ポツリポツリ ....
ポコポコ、ポコポコ

草なびく大地のどこかから
打ち鳴らす太鼓の響きが
聞こえてくる

訪れる春の気配に小躍りした若木が
己を縛る土のくびきから引き抜いた足で
刻むステップのように、軽 ....
目覚めの薬

始めたくない一日
ベッドの脇のギター

黙らせた目覚まし時計から
バトンタッチされたテレキャスター
僕にやる気を出させようと
甘い声で囁きかける

僕は布団の中から手 ....
そのビー玉の中に
小鳥が住んでるよって言ったら
少女は指で弾くのをやめて、
目を細め、陽の光に透かして
覗き込むようになった

そのボールの中に
昔亡くした筈の子犬が
隠れてるよって言 ....
優しさには牙をむき、
肩にかけてくれた毛布を切り刻み
寒い風の中怖い顔して笑う君が
ノイズ交じりのブラウン管に
白黒で映る

苦しみに
飽きることはない?
野の獣となった君の心 ....
散らかった部屋を掃除したら
埃を被ったガラクタの下から
顔を出す思い出が一杯

浜辺に打ち上げられた
ペットボトルの溺死体みたいに
塩辛い記憶を吐き出した

僕は年老いた若者
時の目 ....
沢山の偽物をつぎはぎして
自分という人形を作り上げた
糸と針で縫い合わせた、
建前と奇麗事のパッチワークを

ああ、
何も変わっていない
疑いを知らない、無垢な心を
この世界に差し出し ....
一人、
部屋にうずくまりながら
深い海溝に墜落していく
そこには冷たい水のかわりに
闇だけがある

孤独、果てしない孤独
膨れ上がる世界と
縮んでいく自分

エゴに押し潰される自画 ....
僕は一枚の紙

美しい物語が綴られるはずだった紙
だのに、その表面は虚しい無地のまま
降り止まない雨に打たれて
溶けだしてる



ある晴れた日、道行く人々が
ふいに風に舞う紙に変 ....
 
潮の満ち引きのような周期性を伴って、人々の感情が私の周りに波となって渦巻く。

例えるなら、私は砂浜に転がっている無数の二枚貝の一つだ。
灰色の雲の群れが、草を食む野生馬の群れのように ....
静寂は海

途方に暮れた作曲家が
ペンを投げだし
付く吐息

白紙の五線譜を
群れ成す音符が泳ぎゆく
虚しい幻

目を閉じて
内なる海を前に
立つ

足元に打ち寄せる
水 ....
 深く蒼い秋空に
 一筋、また一筋と
 白い傷跡が
 泡立ちながら引かれていく

 暗い海溝にも似た
 幾壽にも奥まる天蓋の懐
 ある晴れた日、小高い丘に寝転がり
 青草のにおいを味わ ....
今日は週一回の休日。家でまったりしながらこれを書いている。

 今の職場には、Kさんという先輩がいる。
 僕より二歳年上で、とても仕事ができる女性だ。
 物流の現場では、日々クライアントからの ....
君は行ってしまった

一度背中に翼が生えたら
羽ばたかずにはおれない鳥のように
遠い所へと飛び立っていった

きっと、その心は
この地上に縛りつけておくには
余りにも自由すぎたのだろう ....
命をそまつに扱うのは、命の価値を知らないからだ。
それは、究極の無知だ。
力による勝利は、人間性の敗北だ
まーつん(274)
タイトル カテゴリ Point 日付
ダンシング・フィンガーズ自由詩023/2/18 12:36
自由詩1*22/12/2 18:12
言ってはいけない言葉自由詩322/10/8 22:28
空を飛ぶより難しく自由詩122/8/29 3:59
炎と花の色自由詩4*20/8/10 11:05
血栓(1)自由詩020/8/10 9:58
ある疑問散文(批評 ...120/5/24 13:12
ボール散文(批評 ...120/3/22 10:07
私の居所自由詩320/3/21 8:56
熱の色自由詩120/1/19 10:43
踏み固める自由詩419/2/23 7:24
星の鼓動自由詩618/6/4 11:51
時の果実をかじる夜自由詩3*18/5/6 13:29
壁紙自由詩6*18/4/13 11:04
鉄塔自由詩5*18/4/4 11:25
春の太鼓自由詩6*18/3/25 20:56
目覚めの薬自由詩3*18/2/11 16:39
優しい殺し屋自由詩318/1/29 21:23
不幸の天才自由詩218/1/21 19:36
千の色に染まる水自由詩318/1/21 14:37
人形だって泣けるんだ自由詩218/1/3 21:38
空き缶の自画像自由詩717/12/30 9:21
僕は一枚の紙自由詩10*17/10/22 22:01
閉じた貝と空気の接点自由詩317/9/28 17:41
五線譜の海自由詩017/7/7 0:52
命の航跡自由詩216/8/31 19:49
kさんのこと散文(批評 ...6*16/2/3 11:59
一欠けらのパズル自由詩415/9/29 10:02
無知について自由詩3*15/9/22 23:42
勝利とは自由詩6*15/9/22 23:07

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