十一月十七日、前日まで杉林の除伐を行っていたのだが、その作業をいったん中断し、ブナの植え付け作業を開始した。あらかじめ秋口に植え付け面積を刈り払っておき、そこに一・五メートル間隔でブナの稚樹を植え付 .... 複雑な小路が入り組んだ先に
ほんの小さな広場があって
そこに君の住むアパートメントがある

夢しか見えない君を訪ねる
思い切り太っていて
あらゆることに考えが歪曲し
君はすっかり君でなく ....
 2020-10-26 一〇月二十五日、三時に起床しそのまま厨房に入った。単独行者の朝食が五時だったので、余裕を持って作業するためには早起きをする必要があった。とは言っても、グリルで魚を焼き、厚焼き玉 ....  八月中旬から十月初旬まで、延べ十二日間の登山道や古道整備に出向き、そこそこの賃金を得た。夜明け前にヘッドランプを照らし、山道に分け入る時の締め付けられるような嫌な感じを幾度か重ね、ようやく解放された .... キジバトがアスファルトのすき間の
塩化カルシウムを求めてやってきては
車の気配に飛び立つ
その柔軟で頑強な胸筋は
うすく乾いた空気を捉えては
スノーシェードの向こうへと飛んでいく
その屈強 ....
泳ぎ疲れた川魚の 
ため息が水面にうかぶとき
十月は訪れる
他愛もない 言葉のくずを散りばめて
だれもいない山道の清水に流してしまおう

季節は傾斜し 黙り始める
そのはざかいに ぼくた ....
 明け方に雨は上がり、比較的安定した天気予報であることを確認し家を出た。しかし、誰もいない登山口には未だ霧雨が降り、いやおうなしに雨具を着ることになる。この暗黒の迷宮に向かうような心境というのは、言葉 .... とてつもなく深い闇がやってきそうな夜
私たちはたがいに嘆き悔やみ
とりもどせない時間を語った

テレビはあいかわらず五月蠅い番組だらけで
MCの甲高い声だけが鼻についた

声帯をナイフで ....
 「本日、登山道の除草をしています。御注意ください」、と、コピー用紙にマジックで手書きしたものを車のサイドガラスに貼り付けたのは朝の五時五〇分。その後今季初の登山道の除草に分け入った。
 八月中に廃 ....
 

心なし風はためらいながら
言葉の破片を引き連れて
鬱蒼とした森へと向かう

真実は青く沈み
均された虚像は
幼気にしずまりかえる



ブルー
光沢のある青い魚が
 ....
 網戸の向こうには、山岳の稜線と薄明るい空がはざかいを浮きだたせている。草むらではコオロギなどの虫の音が、凌ぎやすい朝のうちにと盛んに音を紡いでいる。朝の涼風が頬にあたり、ひさびさのインスタントコーヒ ....  ここ二〇日ほど勤務や家業で、休みなしに働き、体に違和感を感じていた。
 朝方、今日の弁当は?と妻に聞かれた。十三日から開始した登山道・あるいはその周辺の除草作業だったが、そのきつさや膨大な作業量を ....
林床にはブナ林特有の雑木が生え
そこを刈り払い機で刈っていく
すさまじいヒグラシの鳴き声の海が森を埋め尽くし
私たちの耳に、錐もみ状に刺さっていく

急な斜面を足場を作りながら雑木を刈る
 ....
 久々に二時半に尿意で目覚めた。最近、あまり良質の眠りがとれていないのにと心でぼやきながらトイレに立った。寝床に入りもう少し眠りをと願ったが、最近また体重が増えた妻のいびきがうるさく、結局寝れずにその .... 廃田の草を刈っていると突然大雨となった
しばし、刈り払い機を雨の当たらない所に置いて
雨の中に立ったまま私は辺りを見ていた

これからのことを打ち消すように
雨は降りしきり、そしてまた
何 ....
 大白川登山口に着くと雨となり、当然誰も居なかった。レンタル簡易トイレがのっそり立ち、周りには雑草やらススキが生い茂っている。雨は次第に本降りとなり、雨具を着る。
今日を逃がすと次回はいつ行けるかわ ....
 
 どうやら私は死んでしまったようだ。
私は葬儀場の天井に実体の無い魂としてぼんやりと浮かんでいた。なぜ死んでしまったのか、よく思い出せない。体調不良になったような気もするし、何かの事故にあった ....
 コロナの影響で家業はさっぱりだったが、昨日は久々に朝から厨房に立った。昔から来ていただいている県内客の四名様。この人たちは少人数でやってきては、楽な場所で楽に山菜を採りたいと色々と突っ込みを入れてく ....  四月二十三日、若い女性看護師Aの説明を受けながら、跳ねる川魚のような指先で打つキーボードをぼんやりとみていた。柔らかい声で適切に私の話を聞き、それを一切漏らさずキーで打ち込んでいる。血液検査の注射針 ....  今月ももうすぐ終わる。仕事のほか、事務的なものを多く作成する必要があったが、昨日でほぼ完了し少しホッとしている。家業で書いているブログも書き終え、ふと外を見れば思いがけず朝焼けとホオジロの声があった .... 君と星狩りに行ったことを思い出す
空が星で埋め尽くされて、金や銀の星が嫌というほど輝いていた
肩車して虫かごを渡し、小さな手で星をつかんではかごに入れていた
ときおり龍が飛んできて、尾で夜空をあ ....
 四日、私たちは不調の機械をだましだまし使いながら、なんとか山林のノルマ面積を整備した。午前中、少し遅くなったが終わらせたのだった。
 軽四のワンボックスのエンジンを掛け、ヒーターを最大にする。防水 ....
広場



初冬の匂いが満ちた森には、サワグルミが直立して生え
草たちの淫靡な吐息はすでに失せている
たとえばそこにリスが俊敏に動き回り、私たちをじっと眺めていたならば
森はかすかに立体 ....
山道の石の沈黙を見たことがあるだろうか
ぎらついた欲もなく、うたう術も持たず
息を吐くこともない
おそろしいほどの年月を沈黙で費やしてきたのだ

いっとき降りやんだ雨と
鈍痛のような、 ....
 昨日も妻と出かけた。
山仕事を予定していたが、連日の激務で疲労がとれず、雨でもあり、出たくなかった。
相変わらず、近くの無人駅の二階の蕎麦店は繁盛し、市境峠の手書きの看板で客を待つ蕎麦店には客の ....
前ぶれもなくざわめき、ふるえ
雑用の手を止めて
窓ガラスの向こうの外側に向かってつぶやいていた

上手に作った紙飛行機がすんなり空気をつかんで
ひとしきり空の空気を楽しみ
決して落 ....
 ふと外を見ると駅であった。駅名が何も書かれていない停車駅だが、アナウンスは15分の待ちがあるという。ホームの売店でタバコを買おうと表に出てみた。
駅の近くには小さな家々が立ち並び、老人が自転車にま ....
虫の音が
どこかの草むらで聞こえている
触角をふるわせて
葉の様子をうかがうことが
かれらの仕事で
葉先から零れ落ちる露を少し飲んで
またうたう

いたるところに黄昏れが満ちあふれ ....
蛾がおびただしく舞う
古い白熱電球のもとに
私はうずくまり
鉛の玉を抱えていたのだった

来たる冬はすでに失踪し
魚眼のように現実を見つめている
そして体内に大発生した虫
幼虫の尖 ....
憎しみも  
羨望も落胆も
今は山道の腐葉土やゴミムシの糞となって
ころがしておこう
葉がはかすかにさざめき
木の樹皮はなめらかにひかり
木漏れ日はさらさらと山道に塗されて
山道を歩く人 ....
山人(229)
タイトル カテゴリ Point 日付
ブナを植える散文(批評 ...5*20/11/21 8:37
帰路自由詩10*20/11/16 22:01
紅葉狩り散文(批評 ...7*20/10/26 17:47
伐採散文(批評 ...5*20/10/18 9:35
キジバト自由詩4*20/10/3 7:58
十月自由詩4*20/9/27 5:48
下山散文(批評 ...3*20/9/17 7:19
夜を抱きしめて自由詩7*20/9/12 20:38
地鳴き散文(批評 ...6*20/9/5 18:14
九月自由詩2*20/8/29 5:23
稜線散文(批評 ...6*20/8/27 18:04
休日散文(批評 ...6*20/8/16 9:08
ブナ林にて自由詩16*20/7/24 10:59
毎日雨が降っている散文(批評 ...5*20/7/7 6:08
これから自由詩17*20/7/2 7:02
雨はきらいじゃない(落ちの無い話)散文(批評 ...5*20/6/14 17:26
カップ 散文(批評 ...2*20/5/31 4:56
厨房に立つ(改題しました)散文(批評 ...7*20/5/17 9:09
気が付いたらボロ雑巾のようにベッドに転がされていた散文(批評 ...6*20/4/28 9:13
かすかな朝焼けとホオジロの声散文(批評 ...5*20/3/27 7:18
星狩り自由詩14+*19/12/8 8:15
二〇一九年初冬散文(批評 ...2*19/12/7 9:09
広場自由詩1*19/11/10 7:28
沈黙自由詩5*19/10/27 6:12
夜明け前の雨散文(批評 ...2*19/10/27 4:37
10/6(日) 曇り自由詩1*19/10/6 7:13
車窓 ( SS)散文(批評 ...019/9/21 5:59
黄昏れの道自由詩2*19/9/10 7:06
野紺菊自由詩4*19/8/26 6:24
水の音自由詩4*19/8/16 8:45

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