ひび割れたガラスの靴はワルツに軋む音を舞う

滲んだ痛みと引き換えに
たった一度 言葉を交わした
白い手を差し出されれば
気を失うほどの痛みが走る
それでも一度だけ
美しい旋律と共に
 ....
悲しいことを悲しいと
嬉しいことを嬉しいと
優しさを受け止めて返せるように
痛みをきちんと感じたまま立ち上がることを
美しいものを美しいと感じ
この手で包むことを 造ることを
この足で立ち ....
くるしいような くるおしいような
指先からしびれ
舌先へとつたう
緩く脆い天上からの糸に
ほの青いひかりを重ね
雨と名前をつけた

歓喜のような 
音と冷たさに
髪をつたう 
いと ....
風が強く吹いて とばされる
肩越しの月が揺れたのは飛び跳ねた兎が月から落っこちたからで
真綿のような白い毛玉がはらはらとはらはらと。
あかい目をしたままの兎が遊覧船に乗って月への帰り道をさがす
 ....
行過ぎたみちのりと
伸びた爪が
ひりひりと ひりひりと
しにそうな足の裏と共に
一度だけ許された
交代に
愛した死体の痛みを引き受けて
土の冷たさを知る
それでも きえない
光りのよ ....
こころは遠くへいってしまったようで
手招きしても死んだように、かさかさと音を立てて
時間とおなじ速さでふるえる

例えば二本の腕に包まれるような
あたたかさを思うこころは
それが全てではな ....
まだ眠ったままの月にくちびるをよせ
とおい昔の祈りに似たうたをうたう


てのひらのなかには白い骨がほんのりとあたたかく
ぱらぱらと、雪になって崩れるおとがした


土へと還るしろい風 ....
時間の止まった雪みたいに
ほんの少しの言葉だけで 心の中はいっぱいで
それ以外何も 欲しくなんかなかったのだと知った


その白い手に触れてみたいと
手を伸ばした先に何もなく
確かな絆は ....
 ひとつの言葉で生まれるものと死んでゆくもの
 音から文字へ文字から声へ声から言葉へと
 言葉は深い底をさまよう
 形のない海であり雨であり雪のようで
 光りへと暗闇へと
 文字を拾い集めた ....
 何度目かのこの気持ちを抱えたまま
 金木犀の咽るような香りに悩まされ
 ひとつに手を伸ばし 触れた指先から
 こころ全てを奪われた

 うつろう季節にひとつ
 一筋のひかりを辿れば
  ....
 水の中をただよう雪に視界を塞がれた
 ちいさなちいさな世界
 舞い上がる光のカケラは静かに 足元を通り抜け沈んだ
 あの日のきみが閉じ込めた物語には今も雪が降っている
 
 止まったままの ....
夕方の風をたぐりよせれば

ほんの少し 冬が見えたようなきがして

全身が震えるような歓喜に

わたしはせいいっぱい秋を

枯葉を踏みながら追いかけて

冬を呼んだ
たった一つ欲しいといいながら すべて腕で囲って
何にも要らないと叫びながら 手のひらに握りしめていた

こんなこと言うと笑われるんだろうか
抱きしめながら壊して笑いながら泣いて吐いた
毎日が ....
もうやめて

わたしの前に居ないで

抱きしめるのも手を繋ぐのも君への誤魔化し

ごめんね。

見放して

でもきっと、今頃は私のことなんて忘れているでしょ?

いまでも夢みた ....
ひとつの季節に産まれる光と
ひとつの時間に死にゆく魂
脆い光の骨組みは
腕のなかで息づく命
消えゆくぬくもりへの道筋を辿る 
いつかの日
煌く頬のあたたかさを守るため
いくつもの灯りを燈 ....
 くるおしいと泣きながら
 少女はおんなを殺した
 触れていたいと叫びながら
 汚した手を嫌った
 繰り返した言葉を呪い
 耳を塞いだ
 
 くるしいくるしいと心が軋んで
 去りゆく少 ....
ただ思い出してほしくて
その腕を掴んだ

心の中にきらきらひかる世界があって、
その続きをあなたが話してくれるのをずと待っていた

けれども、あなたはそれを忘れてしまったから
わたしは暗 ....
月ひかる波
うつる姿に
手をのばせば
とおくかなしい雫が手のひらを濡らし
近付けば
姿を壊す
 
本当に欲しいのは
あなたによく似たその水面

光る姿を目蓋に焼いて

日が昇る ....
あの人のなかに
暗い眼をした少年を見た日から
わたしの中に刻まれた誓いは
不安定だけども心の底に残っている

同じように わたしの中にも
膝を抱えた少女がいる
深い底まで降りて 
わた ....
目は閉じないで
手は繋がないで 
どうか忘れて
地下室の鍵は置いていってね
誰にも知られたくないの
死んでいったお話たちを
あなただけに話した物語
ここにお墓を作るから
心の底で死んで ....
カラのなかに割り込んで 食い尽くした
まだ残る冷たさを感じた空洞で
考える 思い

あなたがいないといきていけないよ
あなたがいるといきていけないよ

たった一つはもういらないから

 ....
髪を掴んで押し込めた少女が
ちいさな爪で 
 カリ カリ と閉じた扉に穴を空け
隠したナイフを差し出した

ちゃんと生きるのには邪魔だったから
小さな部屋に閉じ込めたのに

少女は暗い ....
 秒針の先に私を刺す続きがあるのだとしたら
 それは過ぎた日々を小さく刻む道
 巻き戻すことをしない音と共に
 切り落とされた足は熱をもって痛みと歩く
 昏々と 眠る
 土の中は寝返りをうてない
 夢は消えない
 
 雪に埋もれた夢の続きを
 どうかどうか 続きを見せて

  
 
 もいちど眠るその時に
 
 
白く白く舞う舞うよ雪姫の歌よきみをおもう深き水面に溶けて消えた雪よ月はゆれ火はきえ静かな社に歌は消え指先の真実に赤い血は巡る辿る流れやがてきみの足元に花火はおちた燃える唱に詩はにごり霧の向こうの橋に女 .... 冬の女王がローブを翻すと 雪は地に口付ける

棺に眠る秋を抱擁する腕は 冷たく

眠りは永遠のように凍り付いてしまう

その腕は 剣のように鋭利な 痛みを持って

空から降るいつかの春 ....
 秋の葉が揺れ 踏み荒らされた道に 色
 
 雨上がりの歩道に きみの あしあと
 
 くしゃくしゃになりながら 乾く木の葉を足元に感じて

 一寸先に 冬
 
 凍えるにはまだ 風も ....
みずうみに手首を浸し
失くした鍵を探す
深い深い底へ
水面の月を掻き乱し
大事なものを失くしたふりをしながら
空洞の言い訳をするのだ
からからと 転がるかなしみだけが
音を立てていました

きのう 死んだ心がまた生き返ろうと、棺の蓋を叩いて
その音がまたからからと音を立てました

耳を塞げどその音は耳の中からするものです ....
からから

からから

糸巻き

運命巻き

繭は糸に 糸は呪縛へと
きつく きつく 縛られた運命の輪

オーロラ姫の紡ぐ先に

針の先が差すみちしるべ

あかいあかい道 ....
湖月(69)
タイトル カテゴリ Point 日付
シンデレラ自由詩110/10/9 0:00
ココロ自由詩110/5/30 0:29
自由詩310/5/7 23:56
兎穴自由詩210/5/1 19:37
土の下自由詩010/4/6 20:29
ヒカリ自由詩110/3/11 22:10
祈り自由詩110/2/28 21:03
-0自由詩010/2/4 23:33
スペル自由詩209/12/5 23:09
金木犀自由詩109/10/16 23:14
スノードーム自由詩109/10/2 22:32
メロウ自由詩209/9/18 0:59
日々自由詩309/8/8 0:06
回想自由詩109/6/29 23:07
自由詩7*09/6/28 1:25
自由詩209/6/21 0:45
せかいのおはなし自由詩1+09/6/11 0:10
水月自由詩409/6/7 1:25
こころに住むもうひとり自由詩209/5/20 0:14
物語自由詩209/4/30 1:46
マイマイカブリ自由詩209/3/16 0:34
ぎゃくもどり自由詩109/2/28 22:26
針の音自由詩409/2/20 23:14
眠り姫自由詩2*09/2/7 22:18
自由詩109/1/10 0:40
ゆき自由詩408/12/6 23:30
自由詩208/11/29 21:11
みずうみ自由詩308/11/10 20:07
からからと自由詩4*08/10/30 22:03
糸車自由詩3+08/10/27 22:15

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