シンデレラ
湖月

ひび割れたガラスの靴はワルツに軋む音を舞う

滲んだ痛みと引き換えに
たった一度 言葉を交わした
白い手を差し出されれば
気を失うほどの痛みが走る
それでも一度だけ
美しい旋律と共に

爪先へと滴る赤い雫にくちづけたのは
水面にうつる少女
鏡の上を歩くように
愛しい姿を永遠として

月を見上げれば

階段を駆け降りる影に
王子が寄り添う


自由詩 シンデレラ Copyright 湖月 2010-10-09 00:00:41
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