兎穴
湖月

風が強く吹いて とばされる
肩越しの月が揺れたのは飛び跳ねた兎が月から落っこちたからで
真綿のような白い毛玉がはらはらとはらはらと。
あかい目をしたままの兎が遊覧船に乗って月への帰り道をさがす
点々とした真珠をみがく傷口への痛みは
天上への祝福なのだと
高く高く
ひと跳ねした瞬間に黒々とした醜い手に
耳を掴まれ引きずり堕とされた


自由詩 兎穴 Copyright 湖月 2010-05-01 19:37:36
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