光が速いんじゃない
そりゃ翳の逃げる疾走よ
知らず
多くの若い男女が
崖からぶんぶん飛び出してった
長い長い歴史を疑う心情が
今になってようやく生まれたのだ
それでもまだ蛍のような――
 ....
くさぐさの名は
ただお前の口元へ
収斂するしもべ

――極彩色の踏み場から
人はなんと多くの夢を見る
「でもこのままじゃ老人の情緒は破壊され……」
シュルレアリストは衒学じみた微笑の編み目に沿って
互いに赤い精子を投げつけあうのだ

僕は今でも、優しすぎるくらい柔らかい体液を信じて
陶器でで ....
色の海で泳ぎたい
きっとおれはちょっと溶ける
肌の外側がピリリと感じて
いくらか色が落ちてしまう

肌が白くなる
だけど知ってる、中身は{ルビ闇=くら}い
心臓から黒が染み出して
いつ ....
今日はいちまんえん

昨日はさんまんえん

お金をもらうたびに

何だか汚くて厭だ

って思います

こんなにもらって良いの?
こんなことしてて良いの?

お金に訊いてみるけ ....
灰色のビルの群れから
女ひとり
逃げ出してきた
太陽の汗が溶け落ちる海に
腫れ上がった{ルビ踝=きびす}を浸すため
白砂に埋もれて眠るため

痩せた身体に疲れた眸
躊躇わずに飛び込んだ ....
足元の空が、溢れるビールのやうに廻転してゐる
新しい笑顔を求めて、またさり気ない人生の表面を踏んで歩くのか
複写された私自身は永久にほころびぬ
無碍な命を久遠の先々まで保つてゐる、私といふ私
 ....
花よ
ぽかつと光れ
まばらできれぎれな
花びらたちよ
ぼくのところに集まって
ぽかつと光れ

花よ
なかよく光れ
一つ花壇に咲く
花たちよ
触れ合つてぶつかつて
なかよく光れ
 ....
「もしそこのあなた、私が何か為になる話をしてあげましょうかなどと、素晴らしい湖の上空で関々と啼いたので、吃驚しなすった! そうでしょう、そうですとも、我々はいつまでたっても機械の歯車でございますから、 .... 初雪の唇やはら消えにけり

訪れと去りと短き横恋慕

忘れがたきのはや消えて実りがたきのはや燃える
トレイシー、君は薄弱なる山椒魚。教育を存分に施され、踊る間もないほど気違ひと戯れる。
散切り頭のサムライと白眉の秀才とを比ぶれば、畢竟古語辞典の中のをかしと成り果つ。
接吻の味はアスファルトよりも ....
梅林に跳ねる少年よ
その将来はゝつきりと
おれの眼をなめずる
生きて生きてゆけ

桃苑に笑ふ少女よ
その蕾はおぼろげに
おれの眼をあざむく
死んで死んでゆけ
おれはひたすら待つてゐるのだ
一筋の沈黙が駆け抜ける瞬間の
余韻に満ちて味わひ深い感動を

たつた一振りで息の根を止める
一瞬の為に費やせる数多の余興
前座どもを一思いに吹つ飛ばす
至高 ....
生まれたばかりのぼくの情熱よ
何処まで行くのだろう
此処か其処か
いや、何処でもいいんだよ
疑いたいのさ 単にぼくの実存を
そもそも情熱なんか無くたって……
結末は観て仕舞うなよと貴方に怒 ....
青が光る
息を殺せ
穴に漏る
恥と憂鬱
 煙草を棄てて歩き出すと、喫茶店の緑色のテントの先には雲一つ無かつた。
日曜の人込みを疎みつつ小走りで駆ける彼の耳元に何かの聲が囁いたかと思うと、俄かに彼は車道に飛び出した。黒い車がずずつとゝまった ....
強く蹴ると高く昇つて弾じけた
砂利道をざくざくと、ざくざくと
街灯の暗きままに月は明かりて、
仰げば君も見やるらむ空はきらぎらし
月のやうに日の沈むまま、夜もすがらあふとも飽かぬ、光をくれ
 ....
酔ひつきて手酌は野暮よと差し出せば宵の月揺るすすきの水面 細腕を背中に絡め
まどろみぬ遥けき
人と思ひたれども
艶容の君し一目見
忍ばぬ花の蕾むや
あるとおもひけり
其の羽は柔く飛び
子の肌も透き通る
香は川の背に沿ひ
高く存れ留り浮ぶ
青き瞳は何こ観ん

黄の板に糞を催し
見る灰の足は地に
跳び離れぎはには
此の影の浮ば染む
みづ秋の音ぞする ....
其の音楽は開かれたまゝ放置され
本がはばたかす羽も鉄の壁に遮られ
隣の部屋より袋の流れくる
鳥達の床にばら撒かれしさま

僕はいま閉じ込められてゐる

人は死の裾野に生まれて
其のペン ....
詩を燃やせば匂ふ
けぶりが目蓋に絡む
もつと火を強くしやう
指を少しずつ浮かせて

栄華の裏にはきつと
肥溜めに埋ずもれる人々
糞を食ふ人のあればこそ
虹の上で其れを遊ばせて

妖 ....
何かについて述べる際、先ず辞書の定義を持ち出す輩は何を考えているのでしょう。
彼らは考えていないのです。
自分で考えずに読書ばかりに耽溺して、知識ばかりを溜め込む連中の仲間です。
定義とは各人が ....
迷ふ者は盲目
杖を与へてやれ
翳が隣家の壁に浮いて
陽が涼しい部屋を睨んでゐる

しゃぼん玉なのだ
割れろ 割れろ
紙を引き裂け 輪をなせ
泡は漂ふ
三日月の周りをゆらゆらと
心は ....

磁石と仲良くやってくれ
いつも避けて
アイツの処へ浮気する
横浜はいつだってそうなんだ
学校ならもっとフレンドリーに
スカンジフが泣いて笑う
七輪の風下のTシャツがとても香ばしいよ
 ....
水色に光るビルの群れを抜けると
松茸を抱へた妖精が待つてゐた
勿体ない喰ひ方をしやがつて

暑い陽に溶け出した妖精は
溝(どぶ)に落ちて汚水に混ざる
おれは秋刀魚が喰ひたくなつた
光は走り
    涙は空に向かつて、
  指先が凍り
          砕ける夢
   其処には年寄りがゐる
               あれはそもそも

粒ほどの機知を以て
   ....
蘆琴(27)
タイトル カテゴリ Point 日付
光が速いんじゃない自由詩010/8/18 21:37
光芒自由詩210/3/8 16:57
明日から香る恥ずかしい過去の臭気自由詩110/3/8 16:39
ぷか海仰空自由詩209/12/30 20:04
うんちみたい (或る女)自由詩109/9/3 15:43
前衛の女自由詩309/5/7 22:57
硬直したネクタイと額の皺を結ぶやさしさ自由詩1*09/3/18 2:50
自由詩009/2/25 3:49
虹の走り散文(批評 ...109/2/25 3:44
悲恋(一部自由律)俳句109/1/24 3:08
トレイシーといふ超人自由詩108/5/16 16:11
生死自由詩108/3/24 20:40
沈黙自由詩207/12/18 23:54
児童に沸き起こる情熱自由詩107/12/18 15:04
快楽自由詩107/11/17 15:40
帰路の雲未詩・独白107/10/17 16:35
夜は恋し自由詩107/10/13 0:48
短歌207/8/29 14:48
夜に咲くなる花自由詩2*07/8/24 23:23
秋の夜の鳥に語る自由詩007/8/11 0:32
幽閉自由詩107/8/10 0:09
火に包まれ自由詩307/8/8 1:25
辞書を引用する不埒な人々散文(批評 ...1+*07/8/7 19:22
自由詩107/8/7 14:54
黒板消し自由詩107/8/5 0:18
妖精自由詩2+07/8/3 22:43
死の淵自由詩007/8/3 22:11

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