現代詩フォーラムの
はじめましての投稿欄に
小川 葉さんの投稿があった
同姓同名なんだなあと思いながら
投稿内容を見ると
すべて脈絡のない
アルファベットと記号の羅列で
ウィルスコードの ....
同じ高さの
等高線を歩いてたら
あなたに出会ったので
二人は等高線を
同じ色で塗り潰した

眼下には
果樹園の地図記号が
広がっていた
まるで恋のように

山頂を示す記号は
 ....
肩と肩を結ぶ橋がある
とても近いのに
隔たれた距離を
牛が渡って埋めに行く

雲はあんなに白いのに
空の青さはこんなにも切ない
橋から見える景色が
いつもそうだったように
この部屋も ....
僕がまだいない
冬が終わる頃
あなたは何処に
いましたか

水ぬるむ
川に手を触れ
命ゆく景色の
いったい何処に
いましたか

告白前の
愛のように
愛は風と共に
 ....
本の隙間から
光が溢れている

行間のひとつひとつが
とても眩しくて
僕らは本の影の部分を
読んでいるに過ぎない

見失った灰色の街で
出会ったばかりのきみから
きみの本を借りた
 ....
灯油売りの少女が
トラックでやって来る
代金を渡すと
あんなに灯油を持ってるのに
手はこんなにも
冷たい

いつかストーブ売り場で
少女を見たことがあった
ストーブをひとつずつ見て
 ....
真っ白な消しゴムで
夜の闇を消すと
鉛筆を持った妖精が
朝を描く

僕は思い出す
間違えては文字を消し
覚えたての言葉を
何度も語り直していた

たとえ間違えても
きっと正しい ....
背中に波紋がひろがって
さかながまずしい
呼吸をしている

ふりむいた目の底で
大きな鋏のザリガニが
餌をつかまえてる

僕はあなたの胸に飛びこんで
懐かしいいのちの水の中
ど ....
元栓を開ける
妻の背中がさみしくて
それでも朝は訪れる
目玉焼きを焼いたら
少し黄身が左に寄って
それを僕が真似る

どこ見てるの
ため息混じりで聞く妻の声も
どことなく左に寄 ....
裸になって
鳥は浮こうとする
飛ぶのではなく
浮くのだと
あなたが教えたように
両腕を伸ばして
風を待つ
浮かない
それもそのはず
僕は生きてるのだ
ジャスコで買い物してたら
知らない子供にお父さん、と呼ばれて
違うよといくら言ってもきかないので
しかたなく僕は
その子のお父さんのふりをした

おうちへ帰ろうというので
ジャスコの近く ....
石鹸の泡
ひとつひとつに
私の顔がうつってる

たくさん泡立てて
無数にふえた自分の中に
きれいな心を
ひとつだけ見つけた

お湯でながしたら
あなたの背中だった
街角で意味が言葉を待っている

路地裏で言葉が意味に迷ってる

大通り概念だけで埋め尽くし

僕はただ謝りたかっただけなのに

街並みに黄昏れはじめた君の影
俺達の恋が
たった今終わるとしても
海は死ぬまで海なのさ

恐ろしいほどの盗品が
今朝も浜辺に打ち寄せる
宝のようにそれは
ゴミでもあり
生きざまでもあった
何かの手違いで
一緒に暮らすことになった
隣の奥さんは
はじめとても戸惑ってたのに
奥さんがベッド
僕がソファ
と決めてから
少しずつ話すようになった

そのほとんどが
旦那さんの ....
少し伸びた髪のあたりから
あなたは植物になって
黙ってしまった

毎日少しずつ水やりをして
葉だけが生い茂り
花はまだ咲かなかった

自分でやったのか
間引かれた葉が
土の上に冷た ....
実家に帰ると
昔と変わらない
川が穏やかに流れている

このごろ父と母は
私の手首をつかんで
血が正常に流れているか確かめる

異常のないことを確認すると
母は血の滴るステーキを焼き ....
留守番の人が
玄関の扉を開けて
私は留守ですが
もしよろしかったら
と言うので
少しお邪魔することにした

壁にある
ご主人が描いた絵の話をして
ご主人は、と聞くと
留守ですの、と ....
高層ビルが地中に沈むと
私は懐かしい朝を迎える
夕焼けのような朝日を浴びて
新しいはじまりを思う

一番高いビルの辺りから
植物が芽生えやがて木になる
まるで高層ビルのように
その下 ....
あなたはよく単位を間違えて
十メートル七十三センチとか
十センチ七十三ミリの人が着る
セーターを編んでくれた

それは僕も同じで
世界で一番愛してる
とか
初恋の人と同じくらい好きだ
 ....
おじいさんが
ランドセルを背負って
元気に登校していく
おじいさんは
まだ三時間目なのに
給食を食べる

お父さんは
車輪のない自転車で
道なき道を
どこまでも走 ....
死に満ちたものが
テーブルの上に並び
人もそれに並ぶ

生きた日々を語り合えば
舌平目のように
触れあう肩が懐かしい

記憶の一番懐かしいところで
からだをひるがえし
鰭をたなびか ....
たましいの
とても遠いところに
らせん階段をのぼる人がいる
僕らは気づかないふりをして
紅茶を飲む午後のひとときも
その人はいつでも
らせん階段をのぼり続けている

とても落ち込んだ時 ....
妻が帰るまで
電話になってみる

受話器の奥が
外側に伸びてるあたりから
昔はなした電話の声が
聞こえてくる
思えば随分
たくさんの人たちと
はなしたものだ

亡くなった人もいる ....
ランナーが痛みを競って
トラックを走ってる
ラスト一周の鐘が鳴り
いよいよ痛みは増していく
最終コーナーで転んだランナーは
痛みといよりむしろ快感に変わった
ゴール前で千分の一秒を争う
 ....
外国に行きたくて
海を歩き続けた
それなのに
海はどこまで行っても
海のままだった

道に迷わないように
紙幣をまき続けた
それも尽き果てる頃
家に帰ろうとして
鞄から地図を取り出 ....
 
1.小説

彼は読む
本の向こうから
呼ぶ声が聞こえる

空に栞がさしこまれ
訪れる夜も
失うことなく

示された意味を
自らの言葉として
世界に生きる

やがてそれ ....
呼ぶ声がするので
窓を開ける
小さな庭に
いつものように
日が差しこんでいた
午後

僕はこの星でたった一人
光合成をはじめる
息を吸っては
自らの命に
窒息しそうになりながら ....
私は読む
本の向こうから
呼ぶ声が聞こえる

空に栞がさしこまれ
訪れる夜も
失うことなく

示された意味を
自らの言葉として
世界に生きる

やがてそれは
鮮やかさを増して ....
校庭の地平線で
夕暮れの鉄棒が傾いてる

いつか海の上で
鉄の船だった頃と同じ
色と角度で

長い影の少女が
さかあがりの練習をはじめる
船と同じ色と角度で
昇る太陽は朝に似ている
小川 葉(1581)
タイトル カテゴリ Point 日付
子供の悪戯〜現代詩フォーラム編散文(批評 ...13*08/2/11 4:19
地図自由詩208/2/10 3:05
橋の途中自由詩308/2/9 21:28
告白前の愛のように自由詩008/2/8 21:23
偽物の光と影を借りにゆく自由詩508/2/8 3:21
灯油売りの少女自由詩208/2/7 19:55
消しゴム自由詩308/2/7 14:04
潜水自由詩108/2/6 16:33
目玉焼きのつくり方自由詩308/2/5 2:08
自由詩108/2/3 23:16
思い違い自由詩208/2/3 16:36
背中自由詩008/2/3 4:50
君の街で俳句308/2/2 6:14
盗賊自由詩208/1/31 21:25
手違い自由詩308/1/30 23:57
夫婦自由詩408/1/28 22:54
川の流れる音自由詩008/1/28 1:29
留守番の人自由詩108/1/27 14:21
かるいからだ自由詩3*08/1/26 13:29
単位自由詩008/1/25 1:19
足りないもの自由詩308/1/24 22:21
舌平目自由詩308/1/23 23:45
らせん階段自由詩3*08/1/23 2:15
電話自由詩508/1/22 21:24
痛覚レセプタ自由詩1*08/1/22 3:07
逆イマジン自由詩3*08/1/22 2:04
ケータイ小説の岸辺で自由詩108/1/20 22:51
失恋自由詩208/1/20 1:58
私は読む自由詩208/1/19 22:58
鉄の少女自由詩108/1/19 22:46

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