「あしたは桜を観に行こう」



土曜の朝
なにやら騒がしいと思ったら
恋人が楽器をごそごそと出していた
ギターにキーボードにコンピュータ
それから何か良くわからない線とか
テーブル ....
「モナとウルリカ」




わたしたちは
洞窟でのくらしを捨てて
草原へ歩いた
ひとたび外へ出ると
外は夏で
緑色が輝いて輝いて
目を瞑っても
しばらくまぶたの ....
「ひつうち」



午前二時三十九分、
携帯電話が鳴った
たまたま傍にいたので
素早く出ようとした
それより前に電話は切れた
着信履歴には
音声不在着信/非通知設定
と表示されて ....
「水槽」




1.
とりあえずそこに
水槽(けっこう大きい)
を買ってきて置いてみた
魚はいない
でも「水槽」っていうぐらいなので
少なくとも水は必要だろうと思い
満杯にし ....
「罰」




1.スラム

スラムを歩いていた
黒人のドラマーが路上で演奏している
ある道を選ぶと、
小銭を支払わなければいけない
ぼくは背中にギターを背負っている
(いつの ....
新しい朝




新しい風だ
朝、
部屋を出て
飛び込んでくる
空の青
凛としていて
高く、高く
季節は秋だ
靴を履いて
エレベータの前で
きみを待つ


きみを自 ....
ベランダと猫



ある事情のために
彼は夏の終わりの
しばらくの間
川の近くにある
見晴らしの悪い
アパートで
猫と暮らした


そのアパートの中で
生活、という
よく ....
「熱帯夜」





窓を開けても風がないから空気が留まっている
モンスーンが南方から官能や昏いものの香りを
運んできたのだけれどそのリズムはこの部屋で
止まって
澱んで
行き詰 ....
「球の描き方」





水の中で目を開けた
融けなかった青が
からだのなかに入り込もうとしている
皮膚のあいだから
――それは恐ろしいことだった


夕方が近づいている
 ....
そらが
あおい
きみの眼とおんなじに
きみはともかくきみの青い眼はすきだよ
だらしないイカ





 春の日曜の昼間、あまりに暇だったので自転車に乗って出かけた。家から続くゆるい下り坂のカーブを車輪の転がるままに任せて下る。晴れていて、潮っぽい風があたたかく髪を ....
「エア」






朝に
日差しがつよくて
風は涼しい朝に
特にとても疲れて
寝床に倒れるとき
ふっと
包まれてしまう
ことがある
すごく静かで
時間はゆるくて
 ....
教室に忘れたものをとりに行く黄ばんだカーテン揺らす微風


曇り空の中を飛んでく飛行機の風を切る音つばさの光


港にて海からびゅんびゅん吹いてくる潮風あびて髪の毛ギシギシ


扇風 ....
「秒針」




いちばんほそい針が
無段階に滞りなく
滑ってゆく
きちんと六度ずつ
かっちこっち
鳴っていたはずなのに
いつのまにか


一秒、
という物差しを
見落 ....
「ひかりの信号」




ぼくは星にいた
ひとりぼっちで
裏側には、うちがあって、
温かい家族は居て
それは幸福なことだと思うけど
何故だか
ぼくはひとり


たぶん
ほ ....
「ゆうれい列車」




ホームで下を向いていたので
うっかり
ゆうれい列車に乗り込んでしまった
しまった
向かい合った二列のゆうれいたちが
脚をそろえて腰掛けている
脚は途中か ....
「シエスタ」





ふたりでシエスタ
手をつないで眠る
肩が重なるくらい
寝息が前髪を揺らす、くらい


ぼくら同位置に同時存在できない
だからせめて、出来るだけ近くで
 ....
夢のなかでぼくのあたまを撫でて、泣いてくれたひとは誰だったんだろう 再生



何もない荒野に
芽が吹き雨が降り

もう一度すべては
はじまってゆく


空は青いよ
海も青だよ

新しいいのちが
生まれる場所


燃え上がる、
緑 ....
この花のなまえを
誰か教えてください
いま
ぼくの町では
いたるところで
この花が見受けられます

公園や
植え込みや
垣根や
アスファルトの隙間で

去年はそんなことはなくて
今年この花がいっぱいに ....
「気球」




気球に乗って
ぼくは旅に出る
今 ふくらましてるとこ
きみは
地上に立って
それを見てる


ぼくはたぶん
他の人らとそりが合わなくて
もうずいぶんつか ....
「めそめそさん」



ある朝目が覚めると
隣に知らない女の子が寝ていた
くびが細くて大きい目をしている
名前はめそめそさんというらしい
それからぼくはめそめそさんと暮らしている

 ....
「春風」






よく晴れた
からだごと奪うような
つよい風、の
朝に
最上階へ昇る
屋上は閉まっているから





エレベータに乗っている間
次の季節や
 ....
hi-liteを吸いながらC1000タケダを飲む





hi-liteは



タール17mg
ニコチン1.4mg






C1000タケダは
 ....
「春のはじまりに」



春のはじまりに
ぼくらいい気になって
待ち合わせをして
薄着過ぎるままで
ふたりで桜めざした


*


始めのうちは
すこし肌寒いけど
これ ....
「リスト」




僕の昔の恋人に
いつも左手首に包帯を巻いている子が居た


最初は自殺未遂かと思ったが
そうではないらしかった
理由は訊かなかった


彼女は毎日包帯を ....


よろこんだり かなしんだり

にんげんとして生きてきたことが

詩になったんだろう

だったらそこに留まっていてはだめだよ

詩の先にあるものをみせてよ

詩を以って
 ....
「アデリー」



アデリーペンギンの群れが
ぼくめがけて押し寄せてくる
100…200、数え切れない大群だ
どこまでもまっしろな大地を
ある者はてくてく一生懸命に
ある者は腹ばいに ....
「むげん」




地球なんてちっぽけで狭いんだよ
って教えてもらった

そうかなあ、と思っていたら
蘇る
きりのなさそうなもの
と線を引いた四年前

とりあえずやってみよう ....
「春待ち」


春を待っています
もうずいぶん長いこと
幸せとか よろこびだとか
そうゆう精神的な春じゃなくて、

もう今年は十一月から待っています
つまり、去年からずっと
暖冬と ....
ソティロ(40)
タイトル カテゴリ Point 日付
「あしたは桜を観に行こう」自由詩809/4/3 11:28
「モナとウルリカ」自由詩1*08/8/2 3:20
「ひつうち」自由詩3*08/6/16 2:39
「水槽」自由詩9*08/5/30 23:41
「罰(punishment)/夢」自由詩2*08/5/26 17:57
「新しい朝」自由詩5*07/12/2 3:59
「ベランダと猫」自由詩4*07/10/26 1:33
「熱帯夜」自由詩7*07/8/22 1:02
「球の描き方」自由詩17*07/7/25 22:03
「extreme」自由詩2*07/7/11 2:43
「だらしないイカ」散文(批評 ...4*07/6/24 12:51
「エア」自由詩4*07/6/6 3:21
「風、と共に去りぬ」短歌8*07/6/1 0:22
「秒針」自由詩11*07/5/23 8:01
「ひかりの信号」自由詩8*07/5/11 3:42
「ゆうれい列車」自由詩18*07/5/10 1:18
「シエスタ」自由詩10*07/5/8 2:57
やさしい手自由詩9*07/5/2 13:55
再生自由詩5*07/4/29 3:54
「この花のなまえを」携帯写真+ ...5+*07/4/27 12:59
「気球」自由詩5*07/4/26 4:11
「めそめそさん」自由詩10*07/4/26 3:46
「春風」自由詩6*07/4/14 17:08
「17vs1000,あるいは17&1000」自由詩4*07/4/11 3:55
「春のはじまりに」自由詩8*07/4/7 17:12
「リスト」自由詩16*07/4/1 3:58
「詩人」未詩・独白2*07/3/31 1:38
「アデリー」自由詩8*07/3/30 0:00
「むげん」自由詩5*07/3/29 23:35
「春待ち」自由詩5*07/3/28 0:43

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