団地の窓から出てったのは
あれは天使じゃなかったろうか
プリントの解答欄へ答えの代わりに書き置きを残して
翼なんかなかったけれど
あの子は天使じゃなかったろうか
“環境性調整障害”なんて自分 ....
軌道敷に寝転がる
路面電車は通らない
あれは蜘蛛だろうか?
建物の上を行きかって
無数に果物かごを落としている
むせかえる原色
道路を染め上げ
光の薄い通行人が
潰れたバナナで滑った
 ....
点滅して
信号機に雀
鷲座も知らずに
アルタイルを訪ねた
電話帳に載るダイヤルは
プラネタリウムに過ぎず
かついだ望遠鏡は
無駄になってしまった
炎天下のバターみたいに
感情が出歩く ....
末端から
僕の末端から
甘い指先が冷たくなる

末端から
組織の末端から
チンピラたちが青ざめる

末端から
地方の末端から
生まれた町が消えていく

末端から
サバンナの末 ....
  1

ロケットエンピツになりたいけれど
あんまりアポロンは遠すぎる
ノートから顔上げて

頭から落ちそうな地下室へ下りて
天井まである古い冷蔵庫に触れ
ナマの中身に話しかけた
 ....
塞ぎの虫が騒ぐ
中空さらに燃える皮膚
林檎のアップリケにより
枯草ズボンは繋がっていた
くちびるを切ったわけは
大きい風と擦れたから

{ルビ暈=ハロー}に粘糸下がり
七夕の短冊が揺れ ....
花屋の店先に並んだ
色んな花を見ていた
人それぞれ好みはあるけど
どれもみんな燃やし尽くす

「その男は狂っていたのだろうか
花を街を 人をも
オイルをかけて火をつけて
燃やしていった ....
詩人になるには
若いほうがいい
幼ければ幼いほど
鮮烈なデビューを飾るだろう
「現役高校生詩人!」女の子ならなおのこと

あぁ、詩人には爽やかさがない
下手に熟れている老けた童顔
誰に ....
触れない海は
一本の線で表すことができる
松の梢からその線をくぐり
入ったり出たり 出たり入ったり
わたしには関係ないことさ

沖がぐらぐら沸き立った
あれほど引き止めたのに出て行った
 ....
厳かなガラス窓は空気を揺さぶり
ついで昼間の光が皮肉まじりに照らしたので
塵と埃の谷間 誰も知らない村から
ささやき交わしたり毛を伸ばしたり
微生物の営みが浮かび上がった
まだかすかに漂うス ....
自販機の隣で鎖に繋がれ
目隠しされて上半身だけ
針と見紛う腕には咬み傷
たぐりよせるような手付きしている

殴れ 殴れ 殴れよ

打てばくたびれた乳房が涙を流し
満腹になるまで飲むこと ....
どちらかといえば左
ひじは伸びる
壁紙を引っかく
高い窓の{ルビ顰=ひそ}みへ
うでを投げた
なでるのはちり

照り返しの灯
冷たい外気と通じたい
幼いころの無性の眼で
黄金色の空 ....
倦み果てた。何もかも倦み果てた。来ぬものか、陶酔のその時は。

にび色のアスファルトに映える月は虚像であった。
この世は、私には、紙を貼らない銀色フレームに感じられた。
未完成なのではないか? ....
業務用空調機は吹き出し口から花々を吐き出した。少し湿っている。
背広を抱えた中年や、帽子を被り小さい手を引いた主婦に、
鞄を襷掛けにした学生や、カートを引くお婆さんに、降りかかっていった。
熱い ....
深夜、ダベりつつ考えた
世の中の人は、自分が望んだとおりに生きてる人なんかいやしないのよね?
ではみんなは理想を諦めるすべを知ってるはず それはなんだろう?

「望む道へ歩む人はいるでしょう
 ....
コピー紙に墨滴らせよくのばす青黒い旗を得るためには
ああ……
ケーキなんて嘘さ
優しげな瞳をしたあの人は
甘い期待に励まされた
子供たちを裏切った
食卓のうえを見る
歪んだ顔が曲がって映る
ケーキなんて嘘さ
白い皿には何ものってい ....
何故だろう
どうしてこうなったんだろう
まるっきり変わってしまった

何を見たんだろう
前髪の奥から
何を見てたんだろう彼は
まぶしくて何も見えないはずなのに
白い花の咲きほこる丘で
 ....
地球にしかと立つためには
地面を脚で押さえなきゃならない
だが地面は無言で突き放す
さみしい宇宙に放り出されたくはない
必死でまた押さえ続ける
かくして重力は成立する


冬の朝
 ....
全世界のけだるい午後に
垂れ込めた黒雲から
雨は降り続いている
という僕の主張を
すくなくとも日本は晴れだわと笑って
君は信じてくれない

見せかけの天気だと
どうしてわかってくれない ....
{引用=全世界の"私"と、今では遠くなったT.Aのために}

机のうえにコップがあり
椅子のうえに私があって
時計は23時59分を指していた
この部屋で動いているのは ....
高曇りコンクリートに苔の花 深夜にて、
「意識の並列化は済んだ」

神経ライン直接つないで
迷路を作れ、城を作れ、まるでパイナップル
デスクに冷たい息を吐く

君にまだ残る擦過傷
未遂で済んでよかった
脳は安い ....
今年も夏は灼熱の雲を憶えている
いまだ解けない前世紀からの呪いだ
ずる賢い鴉たちのくだらない儀礼や
強欲な雨乞いのせいで暑く寝苦しい夜が続く
世界規模で流行る冷却フレーズでもってしても
暑気 ....
君は
なんにも心配しなくていい
明日のことを考えなくていい
世界は自動的に進んでいる

ただベルトコンベアーの動き見定めて
端っこをしっかり掴んでいるだけでいい
あとは部屋の中でジっとし ....
枯れた若人が溜め息と
その病院船の仕組み。
{ルビ黒=くら}き路地より足音する{ルビ湿=した}たり、
あっち霧空、街の火で燃えてろう。
言葉の言葉は。(分かり易く帯を付ける)

実体の実態という実体でさえ。(脳を揺らす)

のされてしまった、

のされた、

のされている。(「言葉だけになってしまって」/「あいろん」「 ....
街は影絵

電線 燃え

さざなみに月の道映え

架かる月はゆらゆらと震え。
どこにもいない

だれもしらない

いろもかたちもない

いみのないことば

みえないひと

だれもしらない

きえたひと

ひとでもない

なんでもない

 ....
風叩き髪が無人の背をなぜる{ルビ来る=きたる}夏にわれ独りのみ
ゼロスケ(49)
タイトル カテゴリ Point 日付
文書グループ
実験的作品文書グループ09/1/16
投稿作品
あの子は……自由詩021/2/7 12:12
あらかじめ病んだ人自由詩012/7/7 13:21
遠い渦自由詩012/7/7 13:19
はしっこ自由詩112/3/17 0:11
タマシイの地下室自由詩010/10/20 17:40
熱帯夜とワームホール自由詩210/5/8 23:08
パイロキネシストの焼殺農業自由詩110/3/8 21:31
詩人になるには自由詩210/3/7 21:19
あこがれ自由詩309/11/22 21:19
皿の上を留守にしている自由詩209/11/19 3:14
生贄のヴィーナス自由詩009/11/2 17:22
幼い静物自由詩109/10/31 14:53
D.I.Y.主義自由詩109/9/8 5:08
熱病に冒された自由詩109/9/8 4:55
僕らは幸せのために何ができただろう?自由詩1*09/7/12 14:25
反逆の方法短歌109/7/12 14:16
アンチマテリアル・ブロードキャスター自由詩209/3/26 8:23
白すぎた春自由詩109/2/2 4:29
あなたは優しいから自由詩409/1/15 22:07
おおエネルギー!自由詩409/1/11 10:28
大晦日の或る晩、時の変性について自由詩009/1/11 10:16
苔よ!俳句109/1/10 3:01
Hello,iDEATH!自由詩1*09/1/10 2:42
湿度の高い日常群自由詩209/1/10 2:35
自動的な世界自由詩1+08/4/17 1:05
気分自由詩208/4/17 0:55
ことばの×4[group]自由詩107/12/14 4:08
自由詩107/9/24 9:11
なんでもないかたちたち自由詩207/5/19 22:13
孤独なライダー、ただし自転車。短歌107/5/17 1:11

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