午後に消える鳥の声
冷えてゆく街の鉄の音
夜の波 海の嶺
黒い光のなかの
座することのない独つの星


風の名も
静けさの名も知らず
滅んだ国と
けだものの国の間をさ ....
道が濡れている
闇のなかをゆく
果物のにおいの布
夜はたしかに来る


やわらかさは去る
音は去る
星の網をすり抜け
あるべきところへと


歌のはじめと終わりの ....
雨の後ろを飛ぶ鳥が
光のかけらを浴びながら
虹を知らない心に向かう
青い光と白いふちどり
鏡の内の明るい声が
長く遠い夢のように
無数の羽の銀河のように
球く荒んだ光を抱く ....
空の紅い光の渦が
おまえの扉を照らしている
こちらにも向こうにも何も無い
おまえはそれを知っているのに
おまえはそれを知っていたのに



おまえの家におまえはいなかった ....
静かに 触れる と音がして
すべての触れるは落ちてくる
億の目を持つ無口な腕が
すぐそばにある腕だと知るときに



鉄の船が川に浮かぶ
様々な手書きの時計で埋められ ....
魂と塊に棲む我が鬼を鎮められずに彷徨うばかり



わたしの魂 わたしの塊
わたしの内の二つの鬼を
鎮められずに
彷徨うばかり
支柱にくくりつけられたブランコが
凍りついた蜘蛛のように空を見ている
荒れた鴉の羽の朝


外灯に雪は群がり
連なる柱を傾けている
曇のなかの雫の陽
道を分ける蒸気の壁
ふた ....
窓のそばでかさをひらくと
ともだちの声が聞こえないので
仕方なくかさを持ったまま
くちびるの動きを見つめている
青かったかさ
今はむらさき



何かがすさすさ動いてい ....
ある朝 目が覚めたとき
首だけの生きものになっていたとしても
いままでお前が書いてきた詩と
これからお前が書く詩のせいだ
と言われたら
絶対そのまま受け入れてしまう



そんな ....
未明に生まれ
未明にさまよい
座礁した言葉の虹のように
かがやく波紋の輪をひろげ
少しずつ闇に溶けながら
こだまの羽は夜を渡る
浜辺に立つ子の手のひらを拒み
さらにはばたき ....
ゆくえなく めぐり うつろうままに
羽は雲のまだらを駆ける
けだものの息をたずさえて
午後のすべてを火照らせながら
夢から現へ燃えあがる
虚ろな羽は燃えあがる



雨を ....
空へ落ちてゆく崖の前で
両腕をひろげなりひびく天使
すべての色が
すべての景が声になる
ひろげた両腕は
ひとつの陽に触れる
もうひとつの陽に触れる
西から来る無数の水無月を ....
雨が降りはじめた街のなかには
羽の生えたけだものがいて
黄金の子に首を抱かれて
しっとりとした息を吐き出している


すべて壊れたものに乗って
誰もいない街を走り
わず ....
 
ひびく
ひびく
音叉の雲から
はじまりの空へ
天使のかたちがひびきわたる


輪と共に陽は沈む
がらんどうの音がなりひびく
町のように大きなひとつの楽器に
鳥が集ま ....
猛吹雪のなかを二時間ずっと
半分眠りながら歩いていると
誰かに殺されたもの達の声が
いくつもいくつも降ってくる



それらを聴いているうちに
それらに応えているうちに
 ....
どこまでも道は凍っていて
空を見つめて歩くことさえできない
家も灯も星も無く
闇を目からこぼしたまま
向こうから来る犬を見つめる
彼は歩く
俺は歩く



犬は川を渡 ....
かつてここには声があり
雨とともに舞っていた
あつまる小さな手のように
はじきはじかれ まわる歌



緑の雨に声は飛び去り
雨の緑に見えなくなった
水は煙る手になった ....
ずっとずっと まわりで
小さな音が鳴り止まない
バスから降りて バスに乗る
またバスから降りて またバスに乗る
いつのまにか隣に
歌がふたつ 座っている



小さな支えを失っ ....
先が見えない曲がり角の向こうから
雨が来るのか
雪が来るのか
鳥たちが恐れ 飛び去る音
叫びひらくけだものの口に咲く灰花



曲がり角に立つ家が
空を大きく切り裂 ....
建物の谷間の空き地から
町を分ける河が見える
もう作られることのない鉄橋の
橋脚ばかりが並んでいる
雲の居ない水面と
船の窓に映る汽車
そこにしか棲めない生き物のように
 ....
消えかけるほど明るい朝に
冷たくもあたたかくもない雪の上を
裸足でふわふわ駆けていると
雪に埋もれたひろい庭が見えてきて
そこには椅子がひとつ置かれていた



あたりに ....
こおろぎが歌っていた
草むらに伏した子の
目の前で


太陽のない午後の理科室
もうすぐ終わる授業中に
床と天井の間に浮かぶ
水銀色の粒の柱


青空と灰空と
白 ....
走る光 歩む光
過ぎ去る光の姿に照らされ
棘を持つ動かぬかたちの影が
夜を動かす歯車のように廻る



道を削ぐ車輪の音があり
夜の真上を曇らせてゆく
らせんの山 ....
朝の影がのびてゆく
誰かが手放した
結晶のかたちをした風船が
小さな鳥たちに囲まれ
森のほうへと流れてゆく



町をかがやかせる
なめらかな人工
昼から夜へと動 ....
    木々の間にかがやく青が
    海だと気付くまで五年が過ぎた

    
    ひとつの美しさに気付いたとき
    ひとつの美しさを失った

    
    太陽 ....
青空にゆるりと重なりひらく
細く淡い爪がある
遠く静かに狭まる道が
枯木に白く持ち去られてゆく
雲の速さに持ち去られてゆく



朝に散る虹
ふちどる碧
瀬に映る音
鐘 ....
    言葉の木を枯らしたのは私です
    寄生木を植えたのは私です
    萎れてゆく花に拍手したのも
    枝を鳥の死骸で飾りたてたのも私です
    言葉の木は何も言いま ....
 
道端で
ガードレールを呑み込んで
冬の蛇が死んでいた
白く 汚く
冷たく 硬く
すべてに背中を向けていた


ひとりの少女が泣きながら
蛇の頭を撫でていた
私は言っ ....
荒地に倒れた鉄塔に
花と葉と鱗に覆われた子が棲んでいた
やまない雨のなか
たったひとりで
ひとりの赤子を生んだあと
風の向こうへと去っていった


雨が近い午後の下
 ....
暗がりのなか
細い光に照らされて
一匹の蛇が泣いていた
目を閉じたまま
わずかに汚れた白色に
かがやきながら泣いていた


蛇から少し離れた場所に
ひとりの少女 ....
木立 悟(2329)
タイトル カテゴリ Point 日付
星 Ⅲ自由詩504/2/8 6:49
星 Ⅱ自由詩204/2/7 11:58
星 Ⅰ自由詩304/2/6 20:37
ノート(けだものの日)[group]未詩・独白204/2/6 0:04
無口な腕自由詩304/2/4 23:21
ノート(短歌←→詩)短歌104/2/4 7:00
凍気球自由詩504/2/3 23:33
ノート(まぶしい日 Ⅱ)[group]自由詩404/2/2 9:47
ノート(人非人 Ⅱ)[group]未詩・独白104/1/31 6:47
虚羽(うつわ)の天使 Ⅴ自由詩104/1/31 6:45
虚羽(うつわ)の天使 Ⅳ自由詩104/1/30 6:38
虚羽(うつわ)の天使 Ⅲ自由詩304/1/29 11:28
虚羽(うつわ)の天使 Ⅱ自由詩104/1/28 19:04
虚羽(うつわ)の天使自由詩204/1/27 23:57
ノート(人非人)[group]未詩・独白204/1/27 20:09
ノート(ブルース・フォー・ア・ドッグ)[group]自由詩204/1/26 22:48
ノート(滴歌)[group]自由詩304/1/25 22:21
ノート(まぶしい日)[group]自由詩504/1/24 8:49
ノート(40Y.1・22)[group]自由詩104/1/23 9:05
ノート(40Y.1・13)[group]未詩・独白204/1/22 21:33
ノート(40Y.1・19)[group]自由詩304/1/22 7:04
ノート(誰も信じてくれないもの)[group]自由詩404/1/21 6:35
ノート(40Y.1・15)[group]自由詩204/1/20 10:28
ノート(町)[group]自由詩404/1/19 9:54
ノート(39Y.6.28)[group]未詩・独白1*04/1/18 10:13
冬の飛礫自由詩304/1/18 10:08
ノート(39Y・4.7)[group]未詩・独白204/1/17 21:04
ノート(冬の蛇)[group]自由詩704/1/17 20:59
ノート(春の蛇)[group]自由詩304/1/16 21:25
ノート(夏の蛇)[group]自由詩804/1/15 11:40

Home 戻る 最新へ 次へ
55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 
0.12sec.