のぼれない日を
のぼりゆく砂
昨日に落ちて
明日に落ちて
ぱらさら



明るくやさしい
何も無さに囲まれ
花がすべて落ちたあとも
木は黒々とかがやいて
ぱらさら
 ....
ひとつのからだが
草の夜を重ね着て
水の夜に浮かんでいる
舞はとどく
舞はすぎる
喉を 胸を 腹を 脚を
声はおりる
声はのぼる



知るはずもない見知った森を
わ ....
空の鋭角
小鳥は啼く
野の終わりのしるし
小鳥は啼く



碧のようで
碧ではなく
ひろびろと
緑に傾く石



路から空まで
はばたきは水から離れない
 ....
音へと変わる木の影の道
風がそのまま過ぎ去る道
やわらかく目をふせ
空あおぐ道



遠さと遠さの間は濡れて
縦の緑は震えている
北の星と朝焼けは消え
光はかすかにたどり ....
荒れ地に生まれたひとつの風と
荒れ野に生まれた多くの風とが
ひとつの海を奪い合っていた



金の光が
銀に変わるまでの永い間に
水は風に混じり
小さなものたちは生まれた
 ....
鏡に残る真昼の熱が
道のにおいを解いてゆく
光と光がつくる爪痕
左目から空を切りひらく



午後の川の上をゆく
鳥のかたちをした銀河
流れのない流れの色を
照らすものなく ....
葉の雨 音の雨 風の雨
低く蒼い夜の連なり
月にいちばん近い星
吸い込まれるようにかがやいている



ついさっきまではっきりしていた
よろこびをふちどる線たちが
おぼろ ....
世界は細さだった
世界は火の粉だった
隙間から見える声にあふれる
限りなく「はず」の少ない湖だった


飛び交う光の波の下に荒地があり
ぶつかりあう音のむこうに矢があった
世 ....
格子の影が降りてきて
まわりつづけるものたちは
みな止まっているかのように見える



ひたひたと
姿のないものの足音が
午後の後を尾けている



空と地の端
 ....
 

呑もうとしても呑めない
コップのなかの氷
それは
自分の指の影だった






音が止まってしまったのに
映画はまだつづいていて
あたりを見わたすと
席に ....
夜の街を越えてゆく蝶
飛ぶものたちの音は聞こえず
ただ光の散った跡だけが
道の上をつづいてゆく



雨は低い空にはじかれ
羽のように銀を流れる
光の殻の外側に
飛 ....
冷たさが遠くで
小さく音をたてている
防風林に少しずつ
柵がまわされてゆく
巣離れの近づいた
鳥たちの声が聞こえる



曇の表情の少ない日
声はどこか散りぎみに届く
 ....
見え隠れする明るい夜が
一羽一羽に分かれ飛び去る
壊れた家から波を見ていた
傾いだ家から曇を見ていた



鏡の道に葉は落ちて
緑の上に銀はひろがる
小さくざわめく音 ....
何かを残して
鎮まる波たち
無より冷たいうつろたち



灯りのない窓に映る灯りは
尽きることなく底なしに深く
目をそらすことができないでいる



黄色い紙に黒い線
 ....
肩は既にはばたいていた
鎖骨から胸へと流れる羽を
抱き寄せようとする腕もまた羽だった
耳も髪も眉も目じりも
風にそよぎはじめていた
咲きつづけるからだをひらき
子はひとり川辺に立 ....
声と匂いに光を知る
曇は震えに飾られる
遠い遠い緑の音
髪に隠れた迷い子の背



水に映る木々の声
乱す足で雨を歩む
左目の下
気泡の翼



水の重みに
 ....
どうしようもなく空に向かい
わたしは
影を失くす



足の下を踏みしめ
家々をすぎ
すべてに接する崖へと至る



見えない花のわたしは
ひとつの大陸でできた楽器 ....
少しうつろに離されている
夜はいつも目の前を往く
あらゆる段差に驚かぬよう
強く強く歯をくいしばる



割れては集まる動きのなかで
曇は水に近づいてゆく
昨日消えたした ....
ドレスを着た小さな子が
ドアをあけようとして固まっていた
思っていたより重かったので
半開きのままふんばっていた


うし!うし!うし!
うし!うし!うし!


すり足でず ....
窓から世界が見えすぎるので
何度も何度も触れつづけては
指とガラスをたしかめていた
消えた素顔をたしかめていた



描かれた線に雨は重なり
音だけを残して見えなくなった
 ....
目の奥にまぎれこんだ
木のかけらを見つけては
通りすがりの墓場に撒いた
月蝕との対話
目の奥のジャズ



つながらない影
土と鉄線
音は雪に
音は虫に
光はバップ
 ....
藪には花が咲いた
鳥の姿はなかった
銀を捜す風の目に
鳥は映らなかった



太陽は傾いだまま
午後の熱を失わず
光の刺さる音だけが
森のなかに響いていた



鳥は  ....
小さな手
小さな目
欠けた空を映す鏡に
歌のかけらを置いてゆく



重なりつづけ
重なりつづけ
どこにもつながることのない
造られた花のような子供たち
たじろぐ腕をとり
 ....
応え 光 微笑み うた
かわそうとして
かわすことができずに受けとめ
あふれ こぼれ 消えてゆく
応え 光 微笑み うた
受けとめようとして
受けとめることができずに
あふれ こ ....
昨晩 幽霊の子が部屋に来て
コンピュータの前に座り
しばらく居座っているウイルスと
何やら会話をしていた
書きとめようとしたが
いつのまにか眠ってしまった


目が覚めると
 ....
夜に降る夜から幻になり
分かれゆく灯の端から現になる
光の鱗に満ちる窓
ふちどりの迷路を世界は流れる



ふたつに割れたわたしそれぞれに
天から地から
糸のような鉄が差し ....
雨と雨のはざまに射抜かれ
さくさくと血は流れ出る
こんなにもうつろになってはじめて
流れ込むもののまぶしさに
いくつもの目を閉じることができる



光る灰は銀ではなく
 ....
わたしを
知りたいというわたしはいない
わたしは
わたしが鳥でも人でもかまわない
わたしは
あなたによってかたちになるのに
わたしは
あなたがあなたなのかわからない
わたしは
 ....
重なるばかりの泡のなかから
一本の白い髪のように
細く硬くかがやきの無いものが
音も無くゆっくりと起き上がる



空から空へ
外骨格のつながりへ
いのり薄いいのりは
 ....
道を分ける白線の上を
影のない影が歩いていて
こちらに気付くと
逆の方に歩きはじめて
突然消えた



日曜の夜は
誰もおいでおいでをしてくれない
木立 悟(2335)
タイトル カテゴリ Point 日付
ノート(砂音)自由詩204/7/14 23:32
土と鏡(わたしとけだもの)自由詩304/7/13 19:55
緑宇 Ⅱ自由詩404/7/12 22:33
緑宇自由詩604/7/9 14:09
魚の夢自由詩304/7/6 8:53
ノート(銀砂音)[group]自由詩304/7/5 7:04
砂憶自由詩204/7/2 14:15
ノート(世界)[group]自由詩404/7/2 9:02
ノート(夏囚)[group]自由詩304/7/1 19:36
ノート(白連符) [group]未詩・独白504/6/30 14:07
白蝶自由詩404/6/27 12:44
ノート(白午)[group]自由詩204/6/26 13:56
ノート(鏡矢)[group]自由詩504/6/25 14:02
ノート(白歩)[group]自由詩104/6/24 15:13
鉄と羽自由詩404/6/23 6:56
ノート(白雨)[group]自由詩204/6/22 11:15
ノート(器)[group]自由詩704/6/21 9:22
ノート(白路)[group]自由詩204/6/20 0:11
ノート(うし)[group]未詩・独白204/6/19 22:54
ノート(白窓)[group]自由詩804/6/18 23:42
ノート(しるし)[group]未詩・独白204/6/18 23:40
ノート(風)[group]自由詩404/6/17 17:16
ノート(白歌)[group]自由詩504/6/15 17:46
応え 光 微笑み うた自由詩104/6/15 0:27
ノート(幽霊 Ⅱ)[group]未詩・独白804/6/14 20:44
鉄糸自由詩404/6/14 15:41
白掌自由詩304/6/12 11:12
ノート(わたし あなた)[group]未詩・独白604/6/10 0:14
白空自由詩304/6/7 9:43
ノート(幽霊)[group]未詩・独白404/6/6 22:50

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