おめでとうの花が
   かかえきれず 腕からこぼれ落ち
   顔をうずめれば色の拍手
   顔をあげれば言葉の花火
   ひとときだけ
   終わりのない笑顔を信じさせる
 ....
白から白へと響きわたり
限りあるかたちに届くのは
ほんのわずかしか続かない
どこにでもある小さな高まり
次々とほどける空気の結び目
とめどなくひろがるひろがりの
三つの遠い華や ....
失われた約束が
気づかぬうちにふたたびつらなり
忘れられたはじまりを
さざめくように呼び覚ます


降り積もるなか見えてくるもの
わたしを明るくかきむしるもの
願いを終えた ....
 


海に近い砂の丘から
無数の骨が突き出している
かつてここで倒れた巨大な生き物の上に
浪に運ばれたものが積み重なり
石でできた枯れ木のような
蒼白い骨の森を造った
海からの風に ....
   子供たちが
   暗い建物のなかを
   走りまわっていた


   氷の根  淡い目の宝石


   つながらないふたつのものをつなげようと
   楽しげに
 ....
 


星のように
はじまりと終わりが溶けあいながら
夜の水は空を巡る
岩と岩の間から
枯野と土を錆つかせながら
夜の水は流れ出る


ゆるやかな傾斜に囲まれた道が
少しずつ雨 ....
   空が冷たくなってゆく
   家の前に置かれた鉄屑
   うすいうすい紅の壁



   空気のなかの淡い粒が
   今日はいつもよりかがやきを増し
   狭まって ....
 


見わたすかぎり
群青の花が咲いている
鉄を打つ二つの人影
冷気が恐怖をはらい
からだを重くする
静かに笑み
花のなかに
降る水の暗がりに
はじめて地を踏むように立つひと
 ....
 



   見えると言ったら うそになるもの
   見えないと言ったら うそになるもの


   目の前にある
   ほんとうの花を忘れて
   二人はずっと話しつづけていた
 ....
窓から窓のかたちの風が来て
わたしの前に箱をつくり
ゆうるりゆうるりまわりながら
冷たい心のありかを示す


あたたかな胸とあたたかな声が
わたしのまわりに円を描く
今は静 ....
 



   中庭の水たまりにうつる青空
   病の中の夏
   幼さと歯ぎしり
   祭が去ってゆく音


   伝わらない望み
   背の穴の痛み
   ひらいた手のなか ....
 


病めるものたちが
殺めるものたちが
羽の手に触れようとやってくる
細く赤い髪の毛が
かすかに肩を撫でている
ひろげたふたつの腕のなかには
目を閉じた笑みが咲いている
ほとば ....
 


遺棄された施設の
ところどころ凍りついたプールのなかで
巨大な二匹の魚が
激しく争っていた


冬空の下
たくさんの子供たちが
笑いあいながら
凍った水の上を漂っていた ....
空に高く 灰にひとり
思い出の外へ繰り返すもの
夕暮れのない夕暮れを見る
銀の鱗の目に指をあて
器をめぐる光と火を聴く
底にはじける姿たちを聴く


波を走る白い炎が
し ....
   広く浅い湖で
   互いの影を揺らしあうふたり
   幼い遊びを繰りかえすふたり



   太陽が一度も出ないまま
   午後がすぎ
   夜の蒼が来て
   ....
  


枯れ枝をついばむ鳥は枯れ枝になり
木々の輪のなか 伝いさざめく
冬空をついばむ鳥は冬空になり
自身に雲を書きしるす
光に憂いを見るものの名を
書きしるす


一枚の光 ....
   影の長さが季節になり
   埠頭から町へ歩き出す


   遠去かる群れ
   近づく群れ
   わきあがる畏れ


   河口をさかのぼる流れが雨を導く
    ....
野生の雨はどこからか来る
遠く近く 立ちはだかる雲

波の熱にさまよう道
河口の土から生まれる冷気

雪は葉になり花になり
冬の真下で咲きひらく

午後は夜へ 雲は明 ....
私は宙にいた
ずっと空を聴いていた
私を支えていたのは
ただ蒼い闇ばかりだった


ゆれる森
立っている人
言葉をめくる声
降りてくる色


暗くやわらかな
 ....
 



   王の道よりも
   羽の道を歩きたい
   どこまでも空が見える
   森を分ける道を
   雪のなかを燃える
   白い火の道を
 


   羽のあるけだもの
   上下する星々
   いつまでも動かず やがて
   朝焼けに呑まれる月


   悔しさよ 苦しみよ 痛みよ
   俺を育ててくれ
   飛 ....
 

 
骨が雨を引き寄せる
道が暗く輝いている
聞こえない歌がとどろき
鳥はみな飛び去り
海を隠す林は
ほんの少し涼やかになる


荒地の泥が乾く角度で
天使がかしづいて ....
  



   指にとまったかげろうを

   高い建物の上に連れていけば

   どこからどこまでが空なのかを

   教えてくれるかもしれない
 
 
   水に映る自分を
   かきまぜてもかきまぜても
   自分にもどる
   短い季節の
   深い水底に手が届きそうな気がする日には
   凶龍よ
   おまえの翼に触れるものも
   いるかもしれない
 



二つの言葉の義眼をはずし

二つの穴にたまった雨水に

羽根が沈んでゆくのを見る
朝に刈られた草は低く
鉄路から来る風は遅く
火花の熱は溝へと至り
冷たく通りすぎてゆく


触れることのできない飛沫のように
緑は道から放たれてゆく
遠い遠いものばかり ....
 


けだものの心に近づいてはいけない
けだものに喰われてしまうから
けだものの心を知ってはいけない
けだものになってしまうから

けだものの心は
晴れわたる心

恣(ほしいま ....
   思い出せない言葉のかわりに
   鳥を葬り
   砕けていく雲を見つめる


   質問と答えを
   同時に失うとき
   翼を求める気持ちをおさえられない


 ....
    火のなかに失ったもの
    火のなかに忘れたもの
    火のなかに入り
    置いてきたもの

    
    三つのものの区別がつかなくなった今でも
    お ....
木立 悟(2329)
タイトル カテゴリ Point 日付
ノート(38Y.2・6)[group]未詩・独白005/7/20 11:59
三華遠・朝 [group]自由詩305/7/20 11:37
火冠自由詩305/7/19 17:12
調音自由詩1105/7/19 0:28
ノート(36Y・3.6) [group]未詩・独白105/7/19 0:25
遺棄地自由詩305/7/18 7:17
ノート(38Y.6・11)[group]未詩・独白105/7/18 7:16
羽のはえた籠自由詩405/7/17 6:58
ノート(37Y・10.26)[group]未詩・独白405/7/17 6:55
夜明け自由詩505/7/16 12:21
ノート(36Y・1.29)[group]未詩・独白005/7/16 12:19
つばさひめ自由詩505/7/15 17:06
ノート(凍夜)[group]未詩・独白105/7/15 17:03
白炎自由詩605/7/14 17:40
ノート(37Y.12・26)[group]未詩・独白405/7/14 17:36
かがみみるとき自由詩205/7/13 14:19
ノート(37Y.10・15)[group]未詩・独白005/7/13 14:17
ノート(37Y.11・30)[group]未詩・独白005/7/12 17:51
外の原へ自由詩805/7/12 17:12
ノート(37Y.3・7)[group]未詩・独白105/7/12 6:44
ノート(36Y・1.29)[group]未詩・独白005/7/12 6:42
水の地自由詩305/7/11 17:56
ノート(36Y・6.27)[group]未詩・独白005/7/11 17:45
ノート(35Y・12.3)[group]未詩・独白405/7/11 0:30
ノート(35Y.7・20)[group]未詩・独白205/7/11 0:23
ノート(35Y・10.25)[group]未詩・独白205/7/10 13:44
水緑自由詩605/7/10 13:43
ノート(35Y・12.8)[group]未詩・独白205/7/9 23:00
ノート(35Y・9.4) [group]未詩・独白205/7/9 22:57
ノート(35Y.6.16)[group]未詩・独白505/7/9 12:28

Home 戻る 最新へ 次へ
44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 
0.13sec.