海と空しか見えない夜の道
小雨に似た
まだらな冷たさ


川の波と海の波が出会う
鳥たちが岩をついばんでいる
雲が雲を終えようとしている


無色の目のはばたき ....
見えない飛沫の連なりが
輪のかたちにそそがれる
低く飛ぶ蝶の腹を見上げ
同じ速さで陽をすぎてゆく



うすく明るい
鳥の影が交う道を
飛べない鳥が歩いてゆく
気まぐれ ....
    灰色のブリキとトタンでできたふたつの長屋にはさまれた一本道

    ところどころつぶれた家から見える海には朽ちた船が散らばり

    生きたかったのに生きられな ....
緑のなかの月
金のなかの羽
夜の上で重なりあう
土の上で重なりあう
空のむらさきから
鳥が飛べないほどの風が
裏表なく降り下りる
どこへでも
どこまでも
 ....
蒼く冷たい空のまだら
枝を揺する見えないものたち
光の幅だけ花を飛び越え
午後と夜を持つ水の上を
蝶の影が過ぎるのを見る


透明な錆が生まれるところ
風の後ろ側へとまわ ....
月は去り
夜は現われる
濡れた枯草の冠が
微笑むものを照らしている
熱は夜の手を取り いざない
夜は野に横たわる
葉が冷気にかがやくとき
熱は空へ還る
空へ落ちる雨にな ....
    少女の手から離れた手まり
   
    土より低い月へところがり

    壊れた物のための天国で

    機械仕掛けの天使に会う
原をわたる風は沈み
日陰はまるく動かなくなる
中庭のまんなかでひとりの子が
空をあおいで立ちつくしている
風は草に降りた鳥たちに
気づかれることなくすぎてゆく


雲を焦がして ....
    人さし指と中指で
    腕についた血を軽くはさむ
    もう流れないそのかたち
    なかば閉じかけた三本の指のあいだから
    口と目のない白い髪の女のにおい
 ....
蛍の熱さの砂のくぼみに
産み捨てられたまだらの水晶
偽物を探し求める群れがゆく
風は足あとに倒れつづける
空を機械の音がまわる



網の内の冬
三重の星雲
 ....
    私の瞳は濁った緑
    私の指は三本しかなく
    私の髪は闇の捨て子だ
    私へ向かうすべての心は
    空の貝のようにねじくれている
    本当の心は ....
水のなかの空に溺れ
かがやきの輪をひろげる
黄金の鳥
午後の鳥
おまえの帰りを待つものはない
星はのぼる
雨の傷は残る
高く深い
雲の色に漂う



泳ぐよう ....
    教会の屋根裏部屋に
    無理矢理押し込められて泣き叫ぶ巨人のキリスト
    空はほおずき色の仮面
    閉じかけた口が地に近づく


    くずれかけた家 ....
岩の内にとどく音
弾かれる赤が作る渦
目を閉じたけだものの口もとから
わずかに見える牙の連なり
白と緑を断ち切るひかり



さざめくものをおさえきれず
夜を ....
    卵を産んでいる親蜘蛛を
    卵と一緒に握りつぶして
    やさしい少女の顔をした少年
    そのままの手で夏の樹を抱く
鏡の花
木々の旗
水の上の
棄てられた駅への
道をしめす



羽のにおい
羽の重さ
羽の苦しさ
言葉が流れ落ちる音
ひとつの者が
ひとつの者に手わたす
や ....
まとわりつく寒さと湿り気に
からだの花は目を覚ます
欠けた明るさ
まばらに降り
起伏の上にうすくひろがる


曲がり角に集まる闇へ
消えてゆくひとりの背の影を
あなたは海 ....
空が
屋根の近くまで来て
おめでとう と言う

握手しようとしたら
消えてしまった

みんな
消えてしまった
おひさまは 遠く
おひさまは 居る


どんなにたくさんの子の絵のなかで
ぐるぐるまるに描かれても


誰も見つめることも
近づくこともできずに


おひさまは ひ ....
そらとみずうみだけがつながって
あとは離れていってしまう
灰色の瞳に見つめられて
こんなにも微笑んでいられるのは
雨が独りで発ってゆくから
独りの訳を知っているから

 ....
どこまでも誰もいない
ぬれた灰色の道に
どこまでも空が落ちてくる
凛とした声が触れにくる
雨を歩むものの頬に
触れにくる


夜がひらく
さらに奥の夜をひらく ....
夜多き午後に生まれて
水に逆らい 森になり
少しだけ埋もれた地の月を見る
暗い光の束を見る
血のにじむ手のひらの先
雲に重なる雲を見る


空が示すものに応えつづけて
ひ ....
空から下りくる
花のつぼみに目を閉じる
花を戴き 花をいだいて
花にいだかれて
花のなかに咲く蜘蛛に
目を閉じる


昼の雨
夜の雨
濡れた緑に影を落として
朝の光 ....
思うことなく
信じることなく
ただ願いながら歩きます
わたしたちは無く
あなたたちは無く
ひとり


目をひらくものがいなければ
目をつむるものがわからない
そんなこと ....
空の影
雨の輪の下
土に立つ火の槍
みずうみを照らす


雨の瞳が
水のまわりをまわり
ゆっくりと中心へ近づいてゆく
沈むより先に浮かび
浮かぶより先に沈む
 ....
家のそばに浮かんでいる
家と同じかたちのふちどり
それがなにかわかりません


晴れた日にも曇りの日にも
空に無数にきらめく粒子
それがなにかわかりません


まじわり ....
蝶紋
蝶紋
低い雷雲
まわされる手にまたたく背


水たまりを避けつづけ
硬い海にたどりつき
水平線の筆跡を追う
沈むもののための雨季を追う


錐揉む視線と滲みの ....
突然 短いうたが訪れるとき
ずっと長くつづくように感じ
いつもいつもひらかれてしまう


重く しっとりとした鉄が
手のひらの熱に戸惑うとき
いつのまにか撒き散らされた
石 ....
水辺に落ちる星
熱が流れを変えてゆく
土がくずれ 沈む
砂が砂の上をゆく
積もりつづける見えないものが
音になってゆく


目の奥にある水と鏡が
ひとつの影を ....
巨大な多翼の鳥に守られ
坂はひとつの音をたてる
雨雲のような遠さから
草と水をかき分けながら
祝福も祝祭もない羊が近づいてくる


水を閉じた森で育つ
あらゆる ....
木立 悟(2339)
タイトル カテゴリ Point 日付
回帰自由詩305/8/26 16:51
朝彩自由詩305/8/25 22:54
ノート(28Y・8.31)[group]未詩・独白305/8/25 20:03
邂逅自由詩505/8/25 17:00
ひひる  ゆらぎ自由詩105/8/24 18:05
光に触れる手自由詩405/8/24 7:08
ノート(27Y・9.5)[group]未詩・独白105/8/22 13:56
粒の日のうた自由詩305/8/22 13:50
ノート(25Y・11.10)[group]未詩・独白305/8/21 16:58
季霊自由詩205/8/21 16:56
ノート(25Y・11.7)[group]未詩・独白305/8/20 17:06
三華遠  水迷銀[group]自由詩105/8/20 17:00
ノート(25Y・10.16)[group]未詩・独白205/8/19 16:42
三華遠  冬の刃[group]自由詩105/8/19 16:38
ノート(25Y・9.19)[group]未詩・独白505/8/18 14:09
三華遠  夜照[group]自由詩205/8/18 14:06
手のひらの日自由詩405/8/17 21:35
ノート(空)[group]未詩・独白305/8/17 16:57
ノート(おひさま)[group]未詩・独白305/8/17 16:53
そら Ⅱ自由詩005/8/17 16:45
そら Ⅰ自由詩305/8/16 22:43
うみ Ⅲ自由詩505/8/15 17:03
うみ Ⅱ自由詩605/8/15 8:38
ノート(Hollow)[group]未詩・独白005/8/14 23:37
うみ Ⅰ自由詩105/8/14 13:02
ノート(それがなにかわかりません)[group]未詩・独白805/8/13 16:21
ゆらぎ まひる自由詩205/8/13 8:23
とき(うた)未詩・独白305/8/12 21:47
音  終章自由詩105/8/12 17:59
音 Ⅳ自由詩205/8/12 6:40

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