小さな苺畑には
小さな白い花が咲きしめ
夜には小さな彼女が眠る
苺の香は心を癒し
さやさやと風が髪を洗う
彼女は月の夢をみる
そうしていつしか旅にでる。
人さらいは恋をした
ころころとよく笑う少女だった
人さらいは少女をさらい
自分の家に閉じ込めた
他に愛し方をしらなかった
人さらいも同じ様に育てられたから
その日から少女は笑わなくなっ ....
ある乙女の回想は花の色だった
淡いピンクや黄色の中の思い出や
緑の花畑に浮かぶ
白い花と初夏の香だった
乙女はその回想の中
長く艶やかな髪を切り落とした
部屋に散らばった長い髪は
まるで ....
何かを食べねばと思い
毎日何かを口にするのだが
それがなんなのか
今ひとつわからない
ある日の晩に
思い切ってそれを
まじまじと観察してみたらば
うにうにと何かが動いていた
翌日か ....
おやめなさい
月はあなたに何も教えてはくれません
おやめなさい
風見鶏はあなたに何も教えてはくれません
おやめなさい。
だから
こうして私はこうして月をながめる
だから
こうして私 ....
暗い夜の部屋にひとり
明かりもつけずにテレビをつける
今日のニュース
明日の天気
来週の選挙
すべては僕には関係のない世界で
すべては僕を取り巻く世界
そこにあるのが本当の世界
....
透明カプセルが僕を飲み込んだその日
僕の存在感は消えたらしい
それからというもの
仕事は勝手に机に来るものをこなし
誰かと話す事も無く
終業時間にタイムカードを押す
家には猫がいるが
僕 ....
寂しい日には鏡の前でうずくまる
そこには彼が必ずいるから
やあ
僕は手をあげる
彼は黙ったまま手をあげる
彼は何も語らない
ただ
僕の言葉をぱくぱくと飲み込む
彼の糧は僕の言葉なの ....
あぁ、甘噛みされまするな
私は甘えてしまいまする
あぁ、何をなさいまする
足の、小指の、先の
あぁ、甘噛みされまするな
吐息が漏れてしまいまする
あぁ、甘噛みされまするな
私 ....
月に似合う血の色は
闇夜を照らす銀の色
言葉にたゆまず
闇に凍らず
世界を照らす
そこに有るのは沈黙の夜
静かにたゆたう人の陰
風の音
水の香
銀の夜気
そこに有るのは沈黙 ....
あなたの指につながって
赤い細いその糸を切りましょう
悲しまなくていいのよ
そう
あなたにはもう誰もいないから
糸が切れたら消えて行くわ
あなたには追いつけない所に
そう
だから悲しま ....
( 鳥の泣き出す頃 )
その一
「明けない朝」
フィヨルドに掴まった
ここには朝日しか差さない
毎朝希望と共に
絶望を運び込む優しい光
その二
「いつか明ける頃 ....
いつもより少し
上を向いて歩いたらば
いつもなら見えない
遠くの空が見えた
いつもより少し
胸をそらして歩いたらば
いつもは気が付かない
人の笑顔に気が付いた
いつもの道
い ....
春には夏を
夏には秋を
秋には冬を
冬には春を
人の小さな思いが降り積もり
世界を塗りかえて行く
明日にはきっと
幸せが降り積もり
がたぴし
がたぴし
風の音
夜の
月夜の
風の音
ぴゅうり
ぴゅうりり
隙間風
閉じた
木枠の
隙間風
チャポン
チャポチャン
水の音
積もった
食器に
水の ....
つぼみが開くように
一枚の赤い花びら
花びら
花びら
床に散った赤い花びら
繊毛の流す赤い涙
喜びの赤い涙
麗しの赤い涙
そうしてまた一枚の花びら
花びら
花びら
泣 ....
明かりを消して
部屋でLEDを決め込み
視界がチカチカし始める
LEDで見える
ディズニーの世界
あやふやな幻想の世界
ゴムバンドで縛り
ダッシュボードに隠したLEDを
夜の駐 ....
ティースプーン2本が
彼の人生の全てだった
安いアルミで出来たそれは
既に古ぼけ
2本重ねてもぴったり合う事は無く
カチカチと無機質な音を鳴らした
男はそれが好きだったし
いつもポケット ....
ぴしぴしと波打つ様な雨
大きなツリーから
延びた電飾に絡まりぶら下がる星
風に揺れている
昼間の電飾は滑稽だ
雨に濡れ風に揺れればなおさら
揺るがない憩い
揺るぎ無い寂しさ
人 ....
僕は手紙を書きましたが投函できず
結局その手紙は引き出しの中に沈んで行きました
そうして毎日引き出しの底から
静寂を運んできました
僕は海に行きました
青いハーフパンツの水着を持って行き ....
・僕は電車で真ん中に座る
少し語ろうと、思う。今しか語れない事や、それから少し前の事を。先の事を。
もうじき30歳になるある日、僕は友人と酒を飲み、そうして勢いで、次の日の仕事を休む電話を会社 ....
前置き
先に書くと逃げの一手なので、細かい事や個人には触れない。その上で書く。だからこれは散文ではなく、感想文と気持ちの文章です。予めご了承下さい。というか、了承しないなら読む必要はないし面白くない ....
アダムとイブのりんご(知恵の実、実は神様はあだむとイブにくれてやるつもりだったのでは無いだろうか。しかし、そう教えられていた為に、待ち焦がれ、待てなくて、実がしっかりと熟す前に、蛇の静止を聞かず食べて ....
悲しいくらいに青い青に泣きそうになった
忘れられた様な鉄道の線路
遠くまで見えるその先に浮かぶ海
空とと混ざり合った青は
果てし無い奥行き
永遠に届かない青
詩なんてなあ言葉でしかない
僕らは嘘つきだ
{引用=寂しかろうと悲しかろうと
かわいそうだなんて
思ってやるものか}
あちらこちらにポツポツと
{ルビ蕁麻疹=じんましん}の模様
かいいのです
これは偉くかいいのです
何が原因かと言われても判らず
もとより皮膚が弱いのだそうだ
だから掻くといけない
掻くと ....
不幸せの数を数えてみた
ひとつ、ふたつ、みっつ
数えてるうちに
意味がわからなくなった
なんでそんな事数えてるんだろう
ひとつ、ふたつ、みっつ
いくら数えてみても
意味なんてわからなくて ....
すべてにけりをつけて
ゆっくり回りだす世界に
打寄せる思い出
消えるわけじゃない
最後にゆっくり
涙をこらえて踊る
涙色の照明に照らされ
「またね」
言葉に隠された
「さようなら」
....
僕は知っている。
君が誰で
どこから来て
何をしているのか
だけど
僕は知らない。
君が何を好きで
どんな事に興味を持って
どんな笑い方をするのかを
別れ際 凍る言葉に浮かぶ舟 たゆたいもせず 流されもせず
人の波 何に安心しているの 流される事 雑踏の静寂
薄笑い 薄い氷のその下に 黒い魚の影がちらつく
移り往く 山のもみじの日 ....
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