母が私に
寂しい寂しいと泣く

そのたび
犬が

ずっと母を見ている

それが
たまらなく悲しい

私ではだめですかと
犬が言っているのに

母には聞こえないのだろうか
アニメを見て泣いたり
映画を見て泣いたりするのは

本当は悲しい心を
何かに転換するためだ

泣く理由が欲しい

泣いていい時間が欲しい

大人になったって
心は叫ぶ

温か ....
現実に埋もれて
灰色になった部屋は

がらくたが積み重なる
心の祠

一番奥から
古びたランプを取り出して

キュキュっとこすり
ふと息をかければ

ほらね

舞い飛ぶ埃が ....
リビングで
回遊している銀の魚は

言い出せなかった言葉の群れ

怠惰な午後に
ゆらゆら

なんて美しいのかしら

この沈黙は
家に来たとき
まだ子供で
カメラに収まらないほど
暴れん坊で元気だった

ガゼルみたいに飛び跳ねて
片時もじっとしなかったっけ

じいちゃんが倒れた時
家族に知らせようと遠吠えした賢 ....
「流れ弾」

人の悲しみが
自分のことのようにつらい

その思いやりが
優しさが

自分のことよりも痛い 


「治癒」

笑うってことの
現実を超越した力

嘘みたい ....
気温が伝わる電話があった

雨の音
震える声

どこにいるのか
あなたは言わなかったけど

帰っておいでよ
何も話さなくていいから

何か温かいものを作るよ

悲しくてもう
 ....
アールグレイを飲みたい季節になった
必ずミルクを先に注げと
脳内の英国人が作法にうるさい

記憶の断片で
お茶を入れると出てくる記憶

わかってるわよと独りごとを言い
たっぷり砂糖を入 ....
グレン・ミラーを聴くと
時々泣きそうになる

陽気な音楽なのに
父を思い出して

どうしてこんなに
切なく聴こえるのか

レコードに針を落とす父の
背中が見えるようだ

振り返 ....
陽射しの下に
人が集まって
笑いが起きる

日々の小さなグルーヴを
ありがたく思う

そんな大げさな話ではないけれど

たとえば
心無いものと出会って
戦士は剣を抜き

心優 ....
平凡であることは難しい

目立たず
人並みで
静かな幸福

それはおそらく

種の存続をかけた
ひとつの才能なのだと思う  
時間を浪費している間に
命は光の速さで過ぎてく

派手なイベントなど
必要ないとわかった

もはやここにいて
呼吸していることがイベント

あちこちに旅したり
豪華な晩餐もいいけど ....
楽譜は記号じゃなく
文字だと思う

この音とあの音でお願い

ここはできるだけ優しく
凪いだ海みたいにそーっとそっとね

それから一気に爆発して
あとはとめどなく雪崩れて

最後 ....
世間は
いい人縛りになりがちで

気がつくと呼吸困難

嘘がつけないと
嘘つきによって裁かれる羽目

でも魔女には喜んでなるさ

何か信念があれば
姿や呼び名は何だって同じ

 ....
なんだか息苦しいから
意味の無いことや
くだらないことのほうが
今は大切なんだ

息を吸うことばかり考えてないで
たまには吐かなくちゃ

ある日
頑張ることをやめたら
とても気が楽 ....
ああ酔っ払って
この世界から滑り落ちてく

いろんな事が
なんだかどうでもよくなってきた

特に自分
めんどくさくて
うるさい自分

どーでもいいから
どっか行っちまえよ

 ....
デパートの屋上の遊園地
フェンス越しに見下ろした街

あの古びた街並みを
今も覚えている

なぜだろう
昨日見た景色も曖昧なのに
あの頃の景色は消えない

まだレンズも心も
曇っ ....
食パンを食べてる時

最後に流し込むコーヒーが
妙に旨い

しばらくして

遠い昔の
朝の味だなって気づいた

冷え切った夜の部屋で
腹減ってたのか。


旨そうに

飯を食うな


悲しくなるから。   
うたた寝をして
おかしな時間に目覚めた時は

再び眠りにつくのが難しい

布団の中で
いろんな事を思い出し

深い記憶か

浅い夢か

よくわからないところを彷徨う

眠り ....
優しい人を
守ってあげたい

こっそり傷つき
誰のためにも笑う人を

この疲れた世の中で
悪意の欠片も無い心に出会い

友人として
年を重ねるごとに

それは奇跡に思える

 ....
ひと晩中
雨が降ってる

長い夜を
長い雨が
覆い尽くして

時が
止まったみたい

許すよ

とか

許さないよって秋の会話が
心の中に始まって

私は目の前が水浸 ....
止まない雨のせいで
人の心が落ちてく

深い水底に
ひとり

またひとり
ゆっくり沈んでいく

かかる電話は悲しい知らせ

孤独と孤独を結ぶ線のはずなのに
聞けばもっと孤独にな ....
時々自分が

この次元に
生きてることに驚く

想像もしなかった未来に
自分が存在してる

あの頃見つけた
暗号は解けたか?

答えよりもっと前に
問いを忘れた

人の思考 ....
無限のフィールドに

ゴーストを飛ばして
戦ってる若者たち

コンビニで立ち読みしながら
あるいは駅で電車を待ちながら

無表情な彼らは
特徴のないただの通行人

肉体とは
完 ....
共感されがたい物の
領域に入っていく

狭い空間に
足を滑らせていく

だけど
なんという居心地の良さ

リアルを忘れる遊具は危険

まるで

断崖から
スローモーションで ....
肌寒い夜
ケータイであなたの声を聴く

長い沈黙のあと

「疲れた」
と、言った

何かが欠けている


思ったら

月か
夜が暗くて
秋だなと思う

誰も居なくて
夜だなと思う

寝静まった街は好きで
澄んだ空気に自由を感じる

でも
何でも出来るのに
何も出来ずに
人生だな、とか思う

通り ....
ただ泳ぎたいだけ
ぷかぷか浮いてたいだけ

どこの海かは問題じゃなくて
夏の海こそが
帰りたい場所なんだ

泳げば忘れる
いいことも悪いことも

自分が生きてることすら
フナムシを怖がる
都会の子供たち

岩棚から
クリフダイブして遊ぶ
地元の子供たち

彼らはそれぞれ

何度目の
夏を過ごしているんだろう

夏は永遠に巡ってくるけど
命に永 ....
ガト(284)
タイトル カテゴリ Point 日付
愛しい目自由詩5*18/12/9 4:24
レイトショー自由詩1*18/12/9 4:21
Genie自由詩2*18/12/5 4:23
背中自由詩6*18/12/5 4:20
ばあちゃんと犬自由詩6*18/6/30 23:23
雑感自由詩2*17/12/23 5:07
凍える影自由詩2*17/12/23 5:03
綻ぶ時間自由詩2*17/12/6 1:17
In the mood自由詩3*17/12/6 1:02
円卓自由詩6*17/11/18 3:19
家庭自由詩2*17/11/18 3:16
満ちる自由詩4*17/11/13 3:05
スコア自由詩2*17/11/13 3:02
Hexe自由詩3*17/11/13 3:00
脱線自由詩5*17/11/7 3:50
自由詩3*17/11/7 3:41
屋上自由詩2*17/11/7 3:35
オーパーツ自由詩6*17/11/4 2:32
Stray自由詩3*17/11/4 2:30
やわらかい迷路自由詩3*17/11/2 4:37
絶滅危惧種自由詩2*17/11/2 4:25
水と水の間自由詩4*17/10/19 4:53
光の回路自由詩9*17/10/19 4:48
モールス自由詩3*17/10/11 1:43
HUNTER自由詩3*17/10/11 1:30
S-9自由詩6*17/10/11 1:21
10月4日自由詩4*17/10/6 2:07
密偵自由詩6*17/10/6 1:56
海月自由詩3*17/8/19 2:10
夏休み自由詩3*17/8/19 2:03

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