すべてのおすすめ
何も失うことなく
すべてを放棄するには
消えるだけでいい
だけど、すべてをこの胸に
留めおくことは
どうしてだか、こんなにも難しい

過ぎ去っていくこの春を
刻みこむようにイメージする ....
頭まで毛布を被り
丸めた背中の向こう岸に
たまった呼吸の骸が、たからもの
眠りはぬくもりに引きずられてくると
信じて布団にもぐりこむ
あなたをここに押しこめたい

寝息の小川を
すい、 ....
目覚めればもう日の出
せみしぐれはまだ弱々しい

過眠の代償の
ぼやりと重い頭を引きずって
タオルケットを払いのけたなら
ひとつ、咳払い
空虚な部屋に広がる
わたしの粒子が

この ....
大人びていく幸福に
ついていけないもどかしさを
毛布のやわさでまやかしながら
わたしは夏を食いつぶしている

開け放した窓からは
額を撫ぜる弱風と
時点に留まる笑い声

途切れること ....
その詩人は彼自身の紡いだ言葉で
ひとりの少女を殺してしまうことを切望していた
その欲のために詩人は
自らの涙をインクにして
少女へのあふれでる恋着を
毎夜手帳にストックするのだった
書きつ ....
どうしようもない
雨が降ったら外に出よう
あなたの影
探さなくてすむだろう

めざめれば
ひとりぼっち
暑さのあまり肌よりも
わたしにこころよいシーツ

からだを起こす気力を
か ....
粟立つ肌が
早く歩けと脚を鞭打つ
凍雲のすきま
十九時の満月はまだ低く
拾い損ねた人や物より
よっぽど近くにありそうだ

スピードを落とさず
曲がり角も無視して
ひたすらまっすぐ進ん ....
ないものねだりをするように
斜陽を写真に閉じ込める

ないものねだりをするように
野良猫に餌をやってみる

ないものねだりをするように
愛想を振りまき生きている

羨望や焦燥は
 ....
 わたしとカタツムリの初めての出会いは、わたしが幼稚園児のときだった。

 ある日、仲良しのマミちゃんの家に遊びに行くと「なぁなぁ、いいものみせてあげる」と、ぎっしりと土の詰まった虫かごの前に連れ ....
洗濯機に寄りかかり
点在する晴れ間を
信じるか否か決めかねて
ぼんやり空をながめている
憂うつなのかもはっきりしないの
寒さに体を枯らす朝

眠気を知らない弾んだ声で
ラジオがさっ ....
夕ぐれ時に
快晴だった青空が
東へ押しやられているのを見つめる
ひとすじの雲が
分かちているようだ
逃れられないこの先と
とりこぼしてしまった出会いを


ひこうき雲 ....
手探りで歩くことの恐怖が
大いなる躍動に変わるとき
広々とした都会の中でも
絡めとられてしまいそうな木々の中でも
辿り着きたい場所というものが
現実には存在しないくせに
まぶたに浮かぶ ....
母の使っていたキーホルダーに
つけられていた巻き貝の中では
耳を当てると、いつも波の音が鳴っていた
あさりの味噌汁の残骸からは
迫ってこないあのさざめき


砂浜を歩けばたいてい
 ....
ゴースト(無月野青馬)さんの茜井ことはさんおすすめリスト(13)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
五感に、刻みこんで- 茜井こと ...自由詩6*14-6-13
蜜月と迷子- 茜井こと ...自由詩9*13-12-17
季節、夏、咳- 茜井こと ...自由詩3*13-10-30
空のある雲の意味- 茜井こと ...自由詩5*13-8-5
涙の犯した悪ふざけについて- 茜井こと ...自由詩3*13-6-3
寝惚けまなこの冷静- 茜井こと ...自由詩2*13-5-25
タブラ・ラサ(再生紙)- 茜井こと ...自由詩5*13-5-13
ないものねだりをするように- 茜井こと ...自由詩3*13-4-29
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結ぼれる雲路- 茜井こと ...自由詩2*13-3-26
時間/その絶対的なもの- 茜井こと ...自由詩5*09-6-11
鳥瞰図をなくしたとき- 茜井こと ...自由詩5*08-7-13
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