寝惚けまなこの冷静
茜井ことは

どうしようもない
雨が降ったら外に出よう
あなたの影
探さなくてすむだろう

めざめれば
ひとりぼっち
暑さのあまり肌よりも
わたしにこころよいシーツ

からだを起こす気力を
かきあつめているわたしにも
容赦なく降り注ぐ
清潔な午前のひかりは
輪郭のクリアな影を
部屋のあちこちに貼りつけている

キッチンで
オレンジジュースを流しこんだら
胃袋だけが冴えてしまった

夢で膨れた脳はまだ
シーツの上を転がっている

わたしを囲むなにもかもに
勤勉な空気をまとわせる
午前という快活な区分

喪失ばかりが訪れる
ままならない痛みの連なりこそが現実だと
言い含めながら誰かわたしを目覚めさせて

どうしようもない
雨が降ったら外に出よう
あなたの影
探さなくてすむだろう




自由詩 寝惚けまなこの冷静 Copyright 茜井ことは 2013-05-25 20:54:02
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