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庭に出る
土蔵に這う蔦
蔦に絡まる男
死をまとった男が動き
辺りに美を放つ
扉を開く
路上に咲く貴婦人
貴婦人の厚化粧
紅が滴り落ち
鳩と同化する
一本の直線
石灰で描か ....
アブラムシ襲来!
来たれ てんとうむしの勇者たちよ
瀕死の 我がハーブ園を救ってくれ
グレン・グールドのバッハが聴こえてくる
5月の昼下がり
晴天
もの憂いのには もう飽きた
あかるいうたを 謳いたい
夜明けのまえが なお暗い
とはいえ わたしは しっている
こごったような 濃紺の
ぴちりとパ ....
女の声は殆どが水で出来ている
舐めとればそれはひどく甘ったるくて
お祭りの屋台で食べた綿菓子みたいに
口がべとべとになってしまうんだ
男の声は殆どが煙で出来ている
吸 ....
一匹の猫が毛をくわえてなめながら
道路端で毛づくろいをしている
通り過ぎる車の行き先をどこかしれっと見つめているようで
彼の行き先は誰も知らない
道端で死骸となった小動物をいく度も見て ....
あんこあんこあんこあんこあんこ
あんこあんこあんこあんこあんこ
ぼくは何故あんこを5回ずつ
計10回もあんこと唱えているかわかるかい?
それはだね、尻尾まであんこたっぷりのたい焼きを
....
中洲に立ち止まった時間
初めてなのに何故だか懐かしくて
辿った記憶の終着点には
少年が笑いながら花を引きちぎっていた
涙腺をどこかに落っことしてしまったことで
確かに愛は死体となった
....
嫁が欲しいが良縁がないので
この際もう人でなくても良いと思い
皮付さきいかを嫁として迎え入れたが
晩酌のつまみをうっかり切らした際
ほんの出来心で嫁を食ってしまった
以来わたしは嫁殺しの罪を ....
陣中見舞いはもう飽きた
今度は俺が大将軍になり
世間の悪を正してまわる
そしたらお前は腰を抜かして
へぎそばを手繰る手を止める
ふたりの心が今ひとつになった
桜の花が満開だ永久に満開だ
....
紅鮭を煮て食いたいのに
紅鮭を煮てはいけない法
お前ら全員人でなしだよ
頭脳が狂っているんだよ
紅鮭も煮させないなんて
お前ら全員丸坊主だよ
連帯責任で丸坊主だよ
部活停止で溝浚いだよ
速められたリズムは
濃紫の草むらへと
向かわせる
込み上げてくるものは
体内の水源
飲み込まれたものは
いつしか蒸発し
すり替わる
虫を殺してしまったら
かたつむりを踵で ....
■チューリップ
包むように咲く花びらは
遠いむかしにわたしの頬を覆った
大きくて暖かな手のひらに似ていた
誰のものだったかは
もうとっくに忘れた
中に隠れている ....
女の面影や身体の柔らかさのことを
夜道を歩きながらぼんやりと思い出そうとしていた
半月に照らされた王都の白い石畳が
南島の短い冬に冷えていた
(あれは、まぼろしではなかったのか)
....
瀬戸内の海辺からは
ぼんやりと霞んで
青い島々が見える
潮が満ちてくる頃には
波に防波堤が
飲まれそうになることもあるが
それでも
外海や日本海の波に比べたら
穏やかなもので
停泊す ....
時速160キロの剛速球を投げる
ザンビア生まれの大横綱が
2月3日の節分に呼ばれて
ジュンク堂でサイン会を催したら
腱鞘炎を患って引退を余儀なくされた
桃源郷に誘われて行ったら
そこには何もなくて困った
二人で顔を見合わせて困った
帰りの車内が気まずかった
やたらと動きのよい男は
チーフを取り出して涙を拭う
そして顔を傾けて囁く
女は台本通りに今宵二度目の愛を誓い
嗚呼、悲劇などないのだ、と
そして舞台袖の暗がりでは
黒髪を撫でつけた ....
きのうはだかを撫でてくれていた
そのちいさな手のひらに
射精してしまってもいいですか
あなたがいないだけで
ぼくは罰を幻視してしまうのです
ゆくさきを見失った熱が
ぼくの真ん中で氷をつ ....
寂しくとも
悲しくとも
背筋を伸ばし
顎(あご)を引き
奥歯を噛み締めて
ゆっくりと歩め
力を抜いて、目を閉じて、部屋の天井を見上げる。
蛍光灯の光が瞼にかすかに暖かい。
冬の冷たい空気も、夏のうだるような暑さも覚えてる。
初めてこの部屋に来たときのことも。
部屋は私を守ってくれた ....
温かい夜を過ごしたいなと
願っていた真昼間のサイレン
回転寿司でも食べようかなと
罠を仕掛けて誘い込むわざと
ずっと興味があったお前
最近バタバタしてるとかで
会えなかったが一緒に飲まれ
....
平淡な 板上の 安定した 金属の 丸い 群れ
平淡な 板上の 安定した 金属の 丸い 群れ
平淡な 板上の 安定した 金属の 丸い 群れ
平淡な 板上の 安定した 金属の 丸い 群れ ....
↑ ← ← ← ←
私はぼんやりした人である
だから空へ登って行きたいと願う 手段は問わない ↑ ....
憂鬱
は
ひよこ豆
の
スウプ
で
ある
と
ママ
が
教えた
ここでは
何もかも
フェイクファア
で
....
ある日突然窓を開けて
一羽の鳥が飛び立ってゆく
ある日それは静かに晴れた朝で
まるで船出のリボンをなびかせて
とても陽気に飛んでゆく空を
私の小指にはリボンが結ばれていて
ただ黙っ ....
こぼしちゃいけないってがまんしているきみの
その眉間のしわが好きなんです
吐息が融解していく夜の海に
降りしきる雨はひそやかな銀
さようならをうまくただしく言おう
そのためにわた ....
{引用=からだの奥から
たらたらと
わたしが滴り落ちていく
産声とともに泣いた日の
わたしの初めの一滴を含んだ雨で
シーツを洗いたい
足跡にそって
てんてんと広がった池を
みじめな ....
僕のお尻を洗う業者に三行半をつきつけて
今 君は進むんだろう自ら次なるステージへ
僕のお尻を洗う業者に三行半をつきつけて
今 君は歌うんだろう声高らかに革命のうたを
そしたら僕は明日からアルバ ....
庭園に咲き乱れるきれいな白い梅の花
夕べの晩餐に食べた鮭のバターソテー
ローリングストーンズ風のサウンドを
永久に停まらない腰の動きになぞらえて
前衛的なアタシに自分へのご褒美
それは青雲、 ....
私のお墓の前で泣いている女が
私の全然身に覚えのない女で怖い
時折愛おしげに腹部をさすりながら
私のお墓に縋りついて泣くから怖い
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