今よりずっと澄んだものに
瀬崎 虎彦
夜の淵からわたしがこぼれ
わたしの淵から夜がこぼれる
固いビスケットを菩提樹の
お茶に浸して深深と雪
積もる声もことばもあるし
誰からも等しく遠ざかれば
せわしなく人の世に生きていたことを
いつしか忘れて路傍の石
夜はまだまだ透明度を増し
いつか直視できないほどに
まぶしい黒に染まるでしょう
わたしもその瞬間を待って
今よりずっと澄んだものに
生まれ変わりたいのです
自由詩
今よりずっと澄んだものに
Copyright
瀬崎 虎彦
2010-01-16 08:30:28