ミミズ
瀬崎 虎彦

ミミズはミミズクと音素を共有しながら
このように馴れ合っている場所では
すべてが熱死に向かっていると悟って
突如北北西に進路をとる

そのような映画があったのか小説だったか
詳しいことはわからないまま
若気のいたりを数層倍にして
固い土を掘り進んで時折休みもした

見えざるものを口に含んで
咀嚼し排泄する一本の管としての生は
内側と外側の区別を次第に曖昧にする

そうだはじめからこの土塊とわたくしは
同じものであり遍在していたと気づくころ
その短い生涯をアスファルトの上で終える


自由詩 ミミズ Copyright 瀬崎 虎彦 2010-02-03 14:15:26
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