溜息とひとりごと
夕凪ここあ

カーテンの外で
もう明日が始まっている
私は今日すら消化できないまま
部屋の中で立ち止まる

こんなに簡単に
昨日は手に入るというのに
狭い部屋に溢れかえって
いつまでも抜け出せない

言葉を棚に並べてみたら
丁度君との思い出の数になった
意味だけが底から零れ落ちて
これでは抜け殻だと
あと一つ言葉を知っていたら
あの時計は動くのですか

聞いたところで
誰もいないこの部屋の中でひとり

試しに「   」を
呪文のように言いかけた
空のひとりごとが
空気になってやがて消えた

最後の一欠けは飲み込んだ
昨日までもが遠ざかる気がした
代わりに吐いた溜息が
出口を探したが

もうあるべき場所に
扉はなかった


自由詩 溜息とひとりごと Copyright 夕凪ここあ 2006-03-20 07:40:45
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