すべてのおすすめ
  なつぐも
{引用=―エミリ・ディキンソン " AFTER a hundred years --"に基づく―}

ともだちがだれもいなくなったとき
わたしはその野原にいき ....
やわらかな緑の丘の上に
少年たちが一列に並んでいる
一人ずつ順に
チューリップに化けてゆく
そしてまた順に
少年へと戻ってゆく

少年たちの頭上には
半透明の心臓がひとつ浮かんでいて
 ....
水ぶくれに縫い針を刺した
ねずみ色の朝 そうだ、サラダでも食べよう

人参を千切りにする
かなり細く綺麗にできた
玉ねぎの生食は胸焼けするから
レンジでチンして、水にさらして
レタスをち ....
 桜が散ります

 恋も散ります

 悲しまないでください

 桜は厳しい冬を超えて

 必ず戻って来てくれます

 恋もまた突然に現れます

 でも気を付けて下さい

 ....
その場所には五人の詩人がいた 皆その瞳に
あやしげな緑色の光を宿していた とある緑
色の錠剤を飲むとそれが効いているあいだは
瞳がそんな風に光るらしかった そしてとて
もいい詩が書けるらしかっ ....
パジャマに血が滲んでいる朝は
なぜか少し早く目覚める
眉をしかめシーツを確認する
空は綺麗だ



わたしを好きと言う
その唇が
おどけにも見えるし真面目にも見える
アイスコーヒ ....
 低気圧が近付いてゐる午後。

 少年が鉛筆を削つてゐる。

 室内に、新しい芯の匂ひが満ちる。

 「隆、下りてらつしやい」

 と、羊羹を切り終へた母の声が階下から聞こ ....
僕の部屋には季節が無い
うずくまって見詰める本棚に
埃が積もっている
頭痛が少し
腹痛も少し
瞼が厚ぼったくて
もう長いことゆっくり眠ってない
細切れの睡眠でしのいできた
規則正しいの ....


いちばん繊細な季節が
君の心をうす青くゆらめかす
君は君自身の内部へ
幾重にも囁く ひそやかに震える叙情詩を
季節の弦と鍵盤とが
君の想いを奏でるままに
銀のきらめきを 彼方へと ....
はるのいろが
のはらをそめて
きれいだね

ぼんやりかすんだくうきに
ひかりがきらきらちらばつて
きれいだね

ひとびとは みな
やはらかいいろの
そらをながめてゐる
 ....
死にゆく蛍がかじった、かもがやの隙間の細い風
すっかり軽くなった腹を抱え
夜霧の中をしっとり歩いている
大きな風に
人の声が洗われて、草木の本当の
美しさを見る日を待ちわびていた

 ....
 軽々しくは言えません

 待つている

 騙すつもりも

 嘘をつくつもりも

 ありません

 この瞬間は素直な気持ちで

 待っていると言えるから
メガネのフレーム内しか
見えないわたしだから

メガネのフレーム内から
できることを探す日々……

好きな芸人が窃盗で捕まった

みんなから愛されている歌手
わたしは嫌い
自分で詩 ....
若くして人生を終えた
友が住んだ街を
久々に歩いた

駅前にある
薄明かりのパスタ屋で
白ワインのグラスを傾ける

向かいの空席に
あの日から齢をとらない
透けた面影を浮かべれば
 ....
あなたのいない日々が
透き通るまで
タメ口ひとつ
忘れた心に
果てなく感じる
距離の重さを

例えようもなく
見上げる桜は
ドレスコードみたいな
淡いピンク

飲み込んで
溶 ....
例えばスプーンに座って
誰かを待ってる

上がらないシーソーは退屈で
お尻が冷たくなるだけの時間
言葉というリズムに乗れたらなぁ

麦わら帽子を置いた向こう側
取り残された惑星のカケラ ....
ミハイルには翼が四つある
バーン=ジョーンズの絵画のように美しい優雅な翼だ
けれど目には見えない その背中には何もない
ミチルは三つ ミーチャは二つある


わたしの翼はひとつだけ
片翼 ....
流れてゆく
流れてゆく
二度と無い今日が
流れてゆく

僕は今夜ここで
(小さな舞台で朗読する
 新宿ゴールデン街の老舗「ひしょう」で)
何を待とうか

星の無い夜空を仰ぎ
あて ....
マスクに包んだ
内緒話で
毒抜きをしてる
唇に何故
チューリップ色の
花が咲くのか

這い上がれ
地上で黙する者よ

線路の外側を
守ってるから
命は雪崩を
起こさなくなる
 ....
一枚の額縁に収まる
植木鉢の紅い花

蕾だった奥に
花を咲かせるものがある

私の奥にも
私を咲かせるものがある
迷宮の子どもたちが
歌う歌が聞こえてくる
たのしげに聞こえてくる

迷宮でずっと迷いつづけて
つらくはないのだろうか彼らは

  僕らは生まれたときから
  ずっとここで迷いつづけてき ....
 目覚めると

 話し声が耳に届く

 買い物に出かける相談だ

 目覚めから再度就寝に戻る

 ドアの閉まる音が耳に届いて

 布団から抜け出す

 太陽も東から南の空に ....
{引用=(*筆者より―― 昨年暮れ辺りに自分のかくものがひどく拙くなつてゐることに気付き暫く充電することに決めた。その拙さ加減は今回の投稿作をご覧になる諸兄の明察に委ねたいが、ともあれかいてしまつたも .... この水槽は
他と比べたら広いものなのだろう
けれど
この限られた自由の中で
泳ぎ回る僕は悲しい

美しい姿をしていても
僕は水が無ければ生きていけない魚で
君の目を楽しませても
それ ....
僕を見たひとは こう言う
「ゆうれいがいる」
アルファケンタウリから来たんです と
おどけてみても
遠巻きに小石を投げつけて
一人残らず去っていく

雪の中なら平気だと思った ....
毎日の両腕が
囲んでいる
空気や鞄の
大きさを見つめ

比べる相手も
いない掌の
隙間に挟んだ
ポケットティッシュが
歩き出す僕の
宇宙になった

冷たいビニールが
安っぽく ....
西陽が腹にあたって
あたたかだ
ぬくもりだ
猫たちも
丸くなり円くなり
手をのばして
その陽射しをひとつ
棘の無い冬をひとつ
あのひとの笑みをひとつ
すべてひとつずつだけだ
取りす ....
夢の痛みが灯る街角を
回遊する銀の魚群をすり抜けながら
君は物語の解体と再構築を繰り返す
君の中で発火する思惟が
気難しくも美しいあるひとつの構造を浮かびあがらせる
時の流れの中にふと訪れる ....
 無表情な壁に張り付く

 丸顔の時計に目が寄りかかる

 無感情な秒針の動き

 目で追いかけることもなく

 1分の経過を眺めていると

 確実な時の経過を否応なしに

 ....
新月が穴のように開いている
月が巡ってくることをいのる
いにしえの民のこころもちで
月の定めた晦日の夜に凍えて
聖なる薪としてくべた雑記帳

お気に入りの日記帳が炎と化すあの感じ ....
杉菜 晃さんの自由詩おすすめリスト(973)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
なつぐも_他二篇――エミリ・ディキンソンの詩篇に基づく(再掲 ...- 石村自由詩18*19-4-19
春の脈拍- 塔野夏子自由詩6*19-4-17
_- 印あかり自由詩8*19-4-8
桜も恋も- 佐白光自由詩1*19-4-6
緑色の錠剤- 塔野夏子自由詩2*19-3-29
- 印あかり自由詩919-3-29
室内- 石村自由詩21+*19-3-24
隔絶- 世界世紀自由詩5*19-3-21
君の在る情景- 塔野夏子自由詩3*19-3-17
早春- 石村自由詩9*19-3-14
虐待- 印あかり自由詩11*19-3-12
待っている- 佐白光自由詩2*19-3-6
メガネ- 印あかり自由詩419-3-6
再会- 服部 剛自由詩319-3-5
幻想行進曲- ミナト ...自由詩4*19-3-4
公園- ミナト ...自由詩219-2-26
わたしたちのもうひとつの翼- 石瀬琳々自由詩4*19-2-11
この夜が明けたら- 服部 剛自由詩319-2-9
揺れる- ミナト ...自由詩5*19-2-8
花と私- 服部 剛自由詩519-2-4
迷宮の子どもたち- 塔野夏子自由詩3*19-2-3
缶ビール- 佐白光自由詩2*19-2-3
秘法(第一巻)ほか九篇- 石村自由詩18*19-2-1
さかなひとり- 卯月とわ ...自由詩419-1-20
銀白の鱗- 世界世紀自由詩5*19-1-16
駅前- ミナト ...自由詩219-1-14
ひとつひとつ- 帆場蔵人自由詩4*19-1-13
スケッチ:夜明け前- 塔野夏子自由詩4*19-1-11
秒針- 佐白光自由詩3*19-1-10
新月- るるりら自由詩6*19-1-9

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33