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神戸での会合を終えて
新幹線に乗り込んだわたしに世界は
スピードと夜を与えていた
岡山までの短い時間だけれど
南方の従軍基地にむかう兵隊さんの
わたしはひとつのたとえ話だ
船底にち ....
足もとのカラスは飛び去らなかった
朝のホテル街をふたりで歩いた
いいのに、でも、ありがとう、
女を駅まで送っていた
ぼくらはたとえ話のなかを生きている
これは、なにか ....
六十八年まえのある日
ぼくらの先輩は
ハワイに奇襲攻撃を仕掛けた
それが実は傍受され
逆に仕掛けられたものであったとしても
十二の空を蒼天と呼ぶ
司令長官の激烈な真 ....
きみを忘れることなんかできやしない
人類が抱える問題なんかより深刻だよ
七千年まえから
炭水化物中毒になってしまった人類
七年まえから
きみを考え中毒になってしまったオレ ....
だから
暗中模索・徒手空拳で
俺はIBをつらぬいてゆくぜ
結果がすぐでることなんか積み重ねても
そんな遠くに行けるはずもないだろうから
暗中模索で全然OK
徒手 ....
自殺が話題にされると
じぶんの引き出しに
自殺が入り込んで来る
まさかじぶんが
そんなこと
今は有り得ない
この実感が曖昧なことに
しばらくして気づく
自殺よ、忍び寄らないで
....
黒い河の向こうを
電車の明かりが渡ってゆく
あと6時間もすれば
この街は放射冷却で煙れるだろう
置き去りにしたのは
ぼくの心、それともきみの心のほうなのか
あの電車 ....
希望は与えられている
悲しみは与えられている
ショパンを練習している
テンポの変わるところが
音がほどけてしまってながれない
おなじところで音もわれる
灰色の街で
....
暗中模索の日々のなかを
わたしはきょうも
わたしはあしたも
きょうという日々を生きるだろう
ひとの夢がわたしの夢に沿わないとき
わたしはそのひとを
愚かだと決め ....
少女のような
その逆のような
真ん中かも知れない
だけど男ではない
助けを呼んでいる
キュンキュンきてる
アマリア・ロドリゲスの
歌声は無垢な群れ
路面の電車、壁と見まがう ....
部室に転がっていた雑誌の表紙は手塚治虫だった
手にとって眺めていたら
女優の田中裕子のエッセイに目がとまった
もう20年以上まえ、平成元年のことだ
エッセイの内容は
ライトアップされた東 ....
きみの言葉を聴いていなかった
ぼくによろめいたきみの寂しさを
聴いていなかったからごめん
サイゼリヤの駐車場で
ホテルにいくまでの時間を過ごした
きみはお父さんのことや
....
夜を待てずに
豚が岸辺に波を見つめる
スティックみたいなあそこ
固く濡らして
川べりの風に女の髪
豚に真珠の月影が
脱獄まえのさいごの笑顔
さよならの癖は ....
あどけないズルさや
さやかな正義感が
生まれては消え
生まれては消えしていた
ぼくらの気持ちは
さらにどこへと消えてゆくのだろう
友よ
永遠など
な ....
夜を雪がゆっくりとゆく
フケのような
ボールが止まって見えるような
それが地球の速さなら
自転がとっても速いような
女の泣いている気持ちは
少年のとまどう気持ち ....
カウンターでひとり飲んでいると
電車に乗っているような気分になる
電車はどこに向かっているのか
この鉄路を引き裂いているのは
焼鳥の香りと酔客の話しごえ
テレビでは米中首脳会談の様子 ....
ふゆの哀しみ
何処につづいている
君の乳房に口づける
石英の香りだ
その暗がりは
ひんやりと音もなく
蛍光灯のあかりだけ
つづいている
すきなだけた ....
命を継ぐいがい
時を旅することはできないぼくらは時の旅人だ
星は知らない
互いに知らない星と一掴みにされて
勝手に名前をつけられていることを
星よ、ぼくらが、なぜそんなことをしたのかって ....
完全な暗闇のなかにいる以外
孤独はそのふりをしているだけだ
天井の模様がうっすらとなにかを象徴している
こうやって天井を見つめていても
そこに孤独はカケラもなかった
思考 ....
宇宙からひとりごとが消えてゆく
ひとがじぶんと話をしなくなってゆく
じぶんとは外部の統括者なのだろうか
こころの統括者なのだろうか
宇宙からひとりごとが消えてゆく
そ ....
小学三年までと二十代後半を東京で暮らした
いまも出張で月にいちどは東京にゆく
きょうは機械の立ち合いで東京だった
加工テストが順調だったので
そこの社長に言ってちょっと散歩に出る
狭い道に風 ....
贋物の舟をだして
ほんものの海をゆく
実際は泳いでいたのだが
贋物の舟にのってることにした
海をゆくディティールは
泳ぐ者のそれだった
海は偶然にみちていた
....
ほんものの冬だから
哀しみが風に吹かれている
自信のない僕だから
西日に背中をおされている
街路樹から緑が抜ける
何百マイルも離れた大学街
女を抱きにぶっ飛ばす ....
駐車場をながめていた
どこからか猫のなき声が
マーフィを探すように
二人で目を動かしていた
俺は今どこにいるのか
愛人のマンションにいる
そんなこと聞いてない
....
ぶらりと定食屋に入った
カウンターのうえに並ぶおしながきを見ていて
カツ丼をもうながく食べていないことに思いあたる
学生のころ日に三杯は食べていたカツ丼
あれから二十年か・・・ ....
こころの数だけこころがある
こいつらはどこに行くのか
生まれては消えて行くのか
消えずに生まれたままなのか
胸さわぎはやまない
こころの数だけ何があるのか
....
昔の女に電話しそうになった
たわいもない話をして
うちに来る?なんて言葉のあと
ふつうを装うのはもう御免だった
電話しても会えなかったかも知れない
駅でビジネス本を一万円 ....
この世に生まれることのなかったあの子も
あの世で新型インフルエンザにかかってやしないか
息子の看病をしながらそんなことを心配していた
ウィルスも死んだらあの世にゆくのだろうか
....
夜のまんなかで
煌々と
月は月している
そのまわりに散らばった
それぞれの場所で
星たちは星している
宇宙はなにを
ものまねして
いるの ....
ギター教室がおわるまで
ぼくは非常階段のおどり場にいた
そこで君の町の夕焼けを見ていた
SEXだけが目的だった
迷惑な目的だったと思う
あの頃のぼくはそんなだった
....
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