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そのひとは
ひっそりと
木漏れ日の中にいた

何かおこりそうな空だこと。
そういえば、このあいだの鳥は、
どうしたかしら。
陽にひらめいて、
虹を食べて、
七色になって、
空へと消 ....
すき。
つらつらと
窓硝子に透明な静脈
いつしかの雨
ちいさな胸にけむり
せつなさ響くぬけ殻の
透過する自殺

すき。
その精神
クシャグシャにくずれそうな
物理的に映らず視覚さ ....
黒髪の視線が伸びてゆき


瞳が羽化をすれば


艶やかに空を含み


風と交わる
彩るうたを{ルビ口遊=くちずさ}む

こんな命があるかしら
{ルビ水=み}の{ルビ面=も}に蝶が浮いている
ちらともせずに浮いている

こんな命があるかしら
あすを知りえず浮いている
 ....
底ひ無く
心 沈む
みあげれば あおい闇

青ざめてゆく風のなか
声も無く笑った

雨の夢は白らかに咲く
虹のもと影ろふ立ち姿

底ひ無く
心 沈む
みあげれば あおい闇

 ....
得た と思うと同時に失う

林檎の皮を剥いていく
螺旋が皿に垂れていく
果物ナイフに映る甘いかおりに
私は涙を告げる

何も動揺することはない
唇はかすかに震えているが
芯は蜜を湛え ....
月が冴えわたる冬の夜
田園の雪の波が
月光に青白くきらめいて
をんなの肌に深く映ります
あぁしんど
酔い醒ましにちょいと表に出てきたけれど
伏し目がちな月影は
わかばにマッチをすっていま ....
卵が呼吸している
産声を内に潜めながら
類ない曲線で肋を明るく丸めて
{ルビ縁=ふち}を暗く発信し
ゆるやかな衝撃で交信するので
次元はゆらぎ鳴いている

重ねてきた年齢に
皺を深く刻 ....
青のお墓で悲しむことはありません

白の立ち姿を遠目で映します

赤のお空で産声は響きます

黒の後ろ姿を光で焼きつけてください


あなたのいた砂の層が
うららかに音を奏でて
 ....
枯れ落ちる
葉の上に声を震わせて
蒸散することのない深さ

やがて機能しなくなるであろう涙の透けた色に眩暈して

ああ雨の夜の崩れゆく{ルビ慟哭=どうこく}
スローモーションの叫ぶ先に
 ....


鏡に沈む
愁いは波紋となって
私を揺らす

深さの計り知れない底から
ひきあげて
ひきあげて起し
唇に秘密を添えて
黒髪を噛み薄ら笑う
見苦しくはないかと

歪なのは私 ....
(足音が空に響く)
木枯しの吹く 門の影にひとり
傘を片手に
かんざしをなおし空をぼうっと見つめる
黒髪がしん
と光る寒さに
空はなにもいわず
そのままの形で をんなは立ち
「あ」
 ....
一歩一歩沈む
沈む
さ迷う森のあなたに
黒く湿った土が香り
白日夢の欠けた月が
まあるく青ざめて眠る

白む指先で
鼓動にふれる声が
ふるえて腐蝕へ沈む

をんなは
なぜか黙り ....
「      」

昨夜のあいさつは、耳からこぼれる雨のよう
に切なく潤い熟し、さららと色を空を映す欠
けては満ちる月の鏡。

お早う
もうこんな時間
そろそろ失礼します

耳に残 ....
どういう
ことかしら
丸い物を転がすなんて
何も転がさなくっても
わたしは、ひとりよ
自転する内臓が
閃いて

新陳代謝している
ぷふ
それも
わたしの限界を

諦めず
つ ....
母の小さな手が
ざわさわと高菜をもむ
塩と合わせる音が
その歴史を刻むリズム

器の底に横たわる思念
そこには計り知れぬ
脈々とした息遣いがある

その高菜を味見した母が
{ルビ辛 ....
肌にふれる
ざわめきの波に
もういいよ
さすらうため息

とまどうことなく消した
たばこの残り火が
灰皿に冷たく燃えていく

おびただしい熱が
さみしいからだを満たす夜
かえりみ ....
思いも寄らず
潤いすぎれば
うっとうしくも重たくなる時があり
そんな状態では
さっぱりとかわいてみたくもあり
それでいて
方法も知らない
わたしは
煙草に火をつけて
遠い夢を静かに吹 ....
罪色の花が薫ります。

あやまらなくては
いけないことがあるのですが、
これは秘密。

わたしは、わたし
これ以上これ以下でもない事実
ああ絶望を失った
その時から過ちは秘密となり果 ....
アゲハのハネは夏の欠片
土の上にパリン 零れる小宇宙

落ちていたハネなんですけれど
日にさらされてか
ガラスのように かわいていて
リンプンは星屑しゃらんりん
本体は見あたらなくって
 ....
しらないのですか

 しらないのですか

わたくしはもはや
すがたなきもの

たいしゃはすれども
かれはのしたの
つち
とおなじ
からだをもっているのです

しこうはすれども ....
鳥がついばむ彼方の星を
ここはどこかとうめく空

雨がしとしと名を呼びます
風にちらちら花燃やす
迷いこんだは露の中
返事をするのは うそぶく化身

いいねぇ
ねえ
舞って散るのは ....
しずまりかえった夜
の浸透圧で
ゆるやかににじむ
染まりゆく夜
染まりきるころには
わたしたち 空っぽ

恋は死ぬ
愛は死ぬだろうか

輪郭は想う
幻色で、つめたく卵
うすく微 ....
うつむく おもてをしろくして
みだれ黒髪 風へすき
雨のくる のをそぞろまつ

かすみのころもを まとう月
かごとゆられて {ルビ何所=どこ}へやら







{引用=個 ....
もう
鋭いところまで、
来てしまっている。

人々は、
気付いているのであろうか。
虚空は、
妖しく、うねりながら明滅している。
あさっての老人は、
{ルビ落葉=おちば}に手を合わせ ....
薬指で唇をふちどる
慣れるということはない
深々と 息を吸う
いっそ無心に吸う

わたしのごちそう
仰ぐ因子
風を口にふくむ
上昇する本能

ここは分解の森
わたしは湾曲した小さ ....
私の
家の裏には
杉林があって
その向こうには
すこしばかりの空があって
夏になれば
蝉時雨が満面に鳴り響いているのです
しばらくそれを
みつめていると蝉の声が深く
静かに命を説いて ....
アヤメつらつら うた歌い
アゲハがいちわ陽に透けて
あすを夢みて歩くのだ
きょうをふみしめ丸を描く
きのうはどこへいったやら

「あなたの愛は、枯れはせず
鏡台のまえに座り
紅をひく
雨音が
静かにへやを満たす
なにをするでもなし窓の外へ目をやる

何億年もの上空で
移ろうおもいが重さをもって降ってくる。
そう何かで読んだことがある
こ ....
ほほを伝う

つめたいのかあついのか
肌に、にじんでゆく
幻聴ではなく{ルビ潮騒=しおさい}の。
いえ
ただの涙ですけれど…

守るものは魂
あんなことや
こんなことが
あった ....
千波 一也さんのこしごえさんおすすめリスト(120)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
白い顔- こしごえ自由詩12*05-11-29
好き- こしごえ自由詩9*05-11-28
序(黒髪の視線)- こしごえ自由詩10*05-11-27
波紋- こしごえ自由詩16*05-11-26
空想う- こしごえ自由詩14*05-11-25
形見- こしごえ自由詩11*05-11-25
密約- こしごえ自由詩16*05-11-22
化身- こしごえ自由詩7+*05-11-14
沙の春(いさごのはる)- こしごえ自由詩12*05-11-11
未完の涙- こしごえ自由詩15*05-11-7
鏡目録- こしごえ自由詩12*05-11-6
冬の葬列- こしごえ自由詩13*05-10-27
腐蝕- こしごえ自由詩14*05-10-25
朝帰り- こしごえ自由詩15*05-10-20
反逆- こしごえ自由詩7*05-10-19
漬物- こしごえ自由詩7*05-10-11
かくれんぼ- こしごえ自由詩15*05-10-10
恋する喫煙- こしごえ自由詩11*05-10-3
過失- こしごえ自由詩11*05-10-1
アゲハ- こしごえ自由詩16*05-9-21
ユウレイ_ノ_ウタ- こしごえ自由詩14*05-9-13
零露- こしごえ自由詩10*05-9-5
水母- こしごえ自由詩13*05-9-4
朧夜(おぼろよ)- こしごえ自由詩9+*05-9-2
ブランコ- こしごえ自由詩16*05-8-26
花火- こしごえ自由詩6*05-8-17
蝉時雨- こしごえ自由詩17*05-7-29
あるアヤメウタ- こしごえ自由詩5*05-6-10
- こしごえ自由詩12*05-6-3
言霊- こしごえ自由詩5*05-5-26

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