すべてのおすすめ
兄はケッコンしてつまらなくなった
と
私は思う
別段
破天荒な人生などではなく
公務員の次くらいにお堅いお仕事
今ドキの中学生に現代文やバスケットなどを
教えているらし ....
動物が獲物を狙うときというのは
獲物が獲物を捕らえた瞬間なんだって
そこが一番隙が生まれるらしい
コンタクトを必死に探していて
やっと見つけた!と立ち上がろうとしたら
机の端に頭 ....
ふと
背中は正中から割れて
わたしはゆるゆると
中から這い出した
新しい皮膚は
まだ少しだけ熱い
背中には
哀しい羽が生えている
わたしは約束の空へ
短さを張り合うよ ....
{引用=
AM6:10
ぼくは、
まだ
終わっていない
昨日から
もう
始まっている
明日を
眺めている
....
スペースシャトルの打ち上げが映っていた
アトムや鉄人28号の時代から ずいぶん経っているのに
いまどきロケット噴射とは なんて野蛮なイメージだろう
ぼくは未来からきた人のように かんがいぶかく
....
買い物袋から
オレンジが転がったのは単なる偶然で
私の爪の端っこに
香りが甘くなついたのも単なる偶然で
果実が転がり出さぬよう
そろりと立ち上がった頭上に
飛行機雲を見つけ ....
ある朝
会社までの道を急いでいると
見慣れた制服姿
サルサ銀行のお兄ちゃんだわね
あ、そ、と思って通りすぎようとしたら
突然制服は
深々とお辞儀をして
申し訳ありません、と
わたしに向 ....
僕はいつでも
丸いから
君は僕の襟足を鷲掴み
えいっとばかりに
放り投げる
どんなに空高く飛んでいっても
僕は君の胸元に ふらり舞い戻る
それが僕の愛 ....
バケツにいっぱいの青空がはじけ飛んで
退屈そうに時間が揺らめく
五月の原っぱに日曜日が溢れ出てくる
子供達の笑い声が響く
きっちりと慣性の法則に従いながら
ゴムボールが飛び跳ねる ....
それはすてきな
なつのそらを
かついでかえったのに
いない
なつくさのみどり
たっぷりと
しみこませたのに
いない
さっきとったトマト
しおかけて
きゅーっとうまいのに
....
ひとつの恋が終わって
もう二度と連絡が来ないように
メールアドレスを変えてみた
もう二度と見苦しい真似をしないようにという
前進の一歩なのか
はたまた
もう二度と向き合いたくな ....
{引用=どう考えても、俺なんかに運命の人を近づける力があるように思えない。}
運命の赤い糸は、それ以来自信喪失になっちゃって
ずっと姿を隠しているんだとさ。
蒸し暑い夜空の下で
蛍のように光ながら
残った命を、使いきってゆく
嘆くこともせず、微笑みもせず
まるで今日起こる出来事が
朝、目覚めた瞬間からわかっていたかのように
昨日と同じように時を ....
世界で一番好きな者同志が結ばれる。
それが一番幸せなことなのだと思うけど
なかなかそういうのも難しい。
思いがあちこちさまよって
行き場をなくしている。
誰が一番だなんて決められない ....
「帰ろっか」
「ういーーっす」
来るときには僕がこいできましたが
帰りは彼がこぎました
もう日が射していました
僕たちと自転車は塩水にぐっしょりぬれていたものですから
図らずもきらきら ....
香気がどこからかぼくの指にしみこんできた
朝日はいつの間にか木陰を
ありありと作るくらいに大きく育って
父は病んだ体を褥に起こして
指先から瑞々しい桃の果汁を滴らせながら
桃の果肉を噛み砕い ....
愛する人が殺人を犯したとしようよ
恋人でも連れ合いでもいい、不倫相手でもいい
あまりに惨い計画的な殺し方なので少なくとも終身刑
ほとんど死刑は免れないとわかったとき
あんたはどうする?
「ま ....
ひどく目立たない黄色のレンガ道を行くと
夏休みの少し手前に古い送電鉄塔が見える
陽炎虫が大発生した年の真夏のある日
一人の男の子がその鉄塔の下で感電死した
鉄塔からぶら下がっている電線に触れた ....
「もう落ち着きたいのに」
と君が話す
落ちて着くなんて
そんなにいいもんじゃないよ
君が居るその場所から
どこへ落ちて行きたいの?
まだまだ昇って行けるのに
そこより下で辿り着く ....
月のきれいな夜に友達に言った
そんなポンコツスクーターじゃ
どうがんばっても月には行けない
じゃあ見てろ、と友達は言うと
アクセルを一ひねりして
鳥海山をジャンプ台にして
飛んでいってしま ....
街は、宣伝する車の謳い文句と、気にも止めない通行人を生贄にして
せり上がる暑さよりも、乾いた空虚さを従えていたので
僕等は、長い橋の上からきらめく水面を眺めている。
そこにありもしない目印を探し ....
薄闇の映画館の中
鴨川のことを思っていた
土手にしがみつこうとする亀
にぶいオオサンショウウオ
蚊のような蛍
ヒトは思い入れる
かくいう私も
彼らを出汁に
女を口説いたり
狩猟の真似 ....
↓
↓
↓
↓
↓
....
ひらがなを覚えたのは
褒めてほしかったから
泣かなかったのは
泣けなかったから
望まないのは
叶わないのが怖かったから
受け入れられないのが
受け止められないのが
拒絶され ....
全国から観光客がえっさほいさとやってくる
そんな地元の夏祭り
北の短い夏だからこそエネルギー爆発!
なんていうキャッチフレーズ
どうなのかなあ
どうだっていいけど最近ずいぶん積雪量も減りまし ....
「ママ、ママ、ママ」
と呼ばれて
振り向く
ホームセンターの中
カゴの中に
ふくろうの仔
ああ、
お前かあ
覗き込むと
何度も何度も
「ママ、ママ、ママ」
ふと気がつくと
周り ....
パパが怒って
僕のハーモニカを曲げてしまった
銀色と水色のハーモニカは
真ん中あたりで
ぐにゃり
と曲がっていた
幼稚園生の僕は
今度
新しくハーモニカ ....
昼が過ぎる。真夏日が待機した窓を開いた。
半裸な都会の露出度は、夕方に足を突っ込んでいる。
ベランダから返り討ちをしてやろうと、長袖に手をかけてやめた。
―ソファーの色、体毛よりも淡い、素肌 ....
脳みそが
君にとっぷりと浸かってしまって
手がつけられない
引きずり上げても 引きずり上げても
ひたひた滴る君の残像が
後を絶たず 伝って落ちる
もはや私は 君で形成されている
....
生きるときも死ぬときも
私はいつも あなたと共にいます
この生命は あなたと出会うためのもの
あなたが傍にいることが
私の生きる道にある幸せです
たとえ背に矢を打たれても
あなたが生きてと ....
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