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何もかもがかすんでゆく
人も 街も
さくらの艶列が
そこだけ
重ね着みたいに咲き誇る
生きのびる
自信がある者の
惜しげない
笑み
見下ろす川は
あの夏
爛れた皮膚を ....
私は
そらに放たれた宇宙飛行士
オフィスの
隅っこで見上げてる
ホワイトボード
お知らせのメモ
ホチキス
こんな朝から
遠い宇宙の孤独を想う
私とどこが違うのだろう
正 ....
やり残したことはありませんか と
問われたらなんて答えよう
みんな
どこに帰るのだろう
ふるさとはもう
名前も奪われて
体育館ばかりがきれいになる
過去は
ただのおとぎ話で
....
あなたに雨がふればいい
ブラウスが
やわらかく貼りついて
疎ましく思えばいい
あなたに雨がふればいい
ことばが
あなたを脱げばいい
小さな偶然を
言 ....
ほんとうに欲しいと思ったんだ
あの夜
だから
ここにいるだけで
しあわせ
夏が終っても
君が胸を泳ぐから
クロール
息つぎをせずに
どこ ....
久しぶりの帰省すると
父も母もさらに
小さい
そのくせ
私の好物に
ことのほか敏感
いなり寿司とか
フルーツとか
裏手にある斜面の先に
小さな墓地があり
花を ....
ボクは君を
幸せにしないでしょう
それと
逢いたい気持ちとは
別
小さなパラソルに
寄り添って歩く
少しだけ
雨が降って
兄はケッコンしてつまらなくなった
と
私は思う
別段
破天荒な人生などではなく
公務員の次くらいにお堅いお仕事
今ドキの中学生に現代文やバスケットなどを
教えているらし ....
ふと
背中は正中から割れて
わたしはゆるゆると
中から這い出した
新しい皮膚は
まだ少しだけ熱い
背中には
哀しい羽が生えている
わたしは約束の空へ
短さを張り合うよ ....
ある朝
会社までの道を急いでいると
見慣れた制服姿
サルサ銀行のお兄ちゃんだわね
あ、そ、と思って通りすぎようとしたら
突然制服は
深々とお辞儀をして
申し訳ありません、と
わたしに向 ....