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木漏れ日よりも冷たいから
慣れるのも早い都会の暮らしで

瞼の重さに振り回されて
夜の長さが一人で歩いた

さよならは何故
終わってしまうのか

もしもこの雨が痛みを
強くするもの ....
今この場所から離れていく
飛行機や新幹線のように
全てを持っていけないから
思い出に変えて胸にしまうんだ

時が経てばあの日の涙も
私を飾ったリボンみたいに
滑り台を作り未来へと進む
 ....
海面を渡る光の長さで
私はスカートを履いた

浮き輪が欲しくなるくらい
慣れなくてうまく泳げずに

恋が満ちて来たから浮かぶ心
めくられて分かる薄い血管に

あなたが流れて来るまで
 ....
歩道橋に置き忘れたコーヒー
読みかけの本にこぼしたまま

君が吹き出しに入れた言葉は
走りながら抱ける愛みたいだ

街が汚れてるから見て来いよ
幸せを濡らす景色に気づいて

歩道橋へ ....
小説のラストに書かれている
夢はまだ本当を知らないまま

ぶつかることや慰め合うこと
抱えたものが不安だとしても
落とさなくて良かったと思う

いつも挟んでいる栞みたいに
数ページ先の ....
ひこうき雲の真っ直ぐな心に
傾けた頬が日焼けをする

重さのない林檎を乗せたまま
走ることができるまで

ジグザグに進んだこの道に
打ち水が飛んで来る

ひこうき雲の尻尾を掴まえて
 ....
歯ブラシの先が割れて開くまで
僕等は何を磨いて来たんだ

青春が落ちてまた繰り返した
砂時計の窓かも知れない

心臓に咲いた花のように
誰かを包める優しさはもう

屋根がなくても登っ ....
真夜中を折り返す靴下に
冷たい指を隠して座った

追われているような気分
追いかけてるような時間

迷路を抜け出す道がない
その胸の果てはどこなの

ススキが揺れて手を振り
さよな ....
美しい寝顔に何を置こうか

鼻の高さに届く影を

閉じ込めるまで近くに行き

寝息を感じるだけで

輪郭の間を泳ぐ空気を拾う

この世界の限界ほど

目の前にある青い瞼が散り
 ....
胸のロケットが燃料を探し
手が届かないまま

延長コードの先に明日がある
ような気がしてた

ミルクを入れたばかりの
コーヒーみたいに

白い道で誘う夢がひとつ
寝返りを打つと消え ....
自転車置き場に届く光が
まだ短くて生まれたばかりで

跳ねた髪の毛を撫でる時だけ
僕の顔を見つめるように

寝返りを打ったその体は
宙に浮くほど細かい指先で

カゴの中を編んでいるけ ....
僕達の耳は離れていても
ハートの片割れを探している
だから髪の毛で隠さないでね

風に震える柔らかいカーブを
何周すれば君に辿り着くの

脇目も触れず歩いてきた道に
ピンクの朝焼けが広 ....
丸くて赤いクリスマスの飾り
掃除機で吸い込もうとした

それでもなくならなかった
休日や祝日の分だけ
飛行機やホテルのように
予約するものがない

果物も野菜も交換してきて
夜が長く ....
紡いで解いた言葉のように

生まれ変わるならこの胸の中で


まだ熱かった心に手が届き

絵の具みたいに掻き混ぜる時間が

過去は薄くて未来は濃くなる


パレットに乗せた彗星 ....
マフラーの幅を
広くするたびに
寒さが消えて
世界が歌うの

林檎に耳をつけると
逃げるから
丸噛りの芯を
重ねたまま
倒れなかったら
恋が叶うとか

希望の中に
ほんの少し ....
分裂していく
シャボンのように
ストローの先で
すくいあげられる

言葉が刺さり
心臓を増やして
数える間もなく
百個になった

ありがとうという
声を返したから
ひとつ減った ....
ペダルを漕ぐのはいつも空の上
丸い寝顔を追い越してゆく

安心を舐めた両足の裏に
広がる明日が水を溢すなら

吐く息の白さを堪える前に
黒い地面に叩きつけられる

アスファルトに擦っ ....
折れた傘が
螺旋に落ちる

胸元の開いた
洋服を刺して

踊ってる
わけじゃない

狂ってる
だけの足音

何度目だろう
近づく冬に

抗えないから
マフラーの先で
 ....
ズボンの人には負けると思った

スカートの裾を広げてみても
立ち位置を示すパラソルの上で
夢を転がす時間を閉じるの

下手クソだったラケットの扱い
これが人なら表しか見ない
悪い癖を抱 ....
足踏みをしてた昨日の空を
吊り上げた指が時間を解く

小さな結び目の数だけ休み
穴のような満月に落ちると

心に通す糸を増やしたり
交わるたびに染まっていくけれど
寂しさを繋げて鈴にす ....
春の吐息は明るくて迷う

風が散らした花びらの上に
座る場所もなく青い空を立て
ベンチにするなら絵を描きたい

眩しい景色に負けているのは
心を脱いでも走らないことを
覚えてしまった大 ....
呼吸の出口を塞ごうとした

その光でもあの背中でも

届かなかったと悔やむ間もなく

踵が地面を嫌がっている

誰かのリュックで飛べるほど軽い
夢を抱えても笑わないでね

次のペ ....
握った拳で
光が折れる

俺はいま
障害物になって
誰の視線でも
強く感じる

なぁ信号機
お前の心は
矢印なんかじゃ
曲がりはしない

真っ直ぐに立って
その痛みだけを
 ....
消えてしまえと蹴飛ばしたままの
不揃いな石が僕の過去なんだ

尖ってばかりで角が取れずに
哀しみを包む言葉を待ってる

悪いなさっきは痛かっただろう
これあげると言って被せた帽子は
数 ....
ハチミツを垂らしたような首輪で
繋がっている空を眺めると
どこかで優しい声が聞こえる
月の砂漠に迷い込んでいた

あれが好きとかこれが嫌いとか
輪っかを投げるうちに出会ったから
正面を向 ....
哀しみが蓋を
閉じて転がる

苦い言葉を
胸に張りつけて

風は吹かない
光は裂けてく

汚れたTシャツが
邪魔だと怒鳴る

ここは真っ暗な
洗濯機の中

乱れた心が
 ....
つま先で立つと地面が揺れて
あらゆる命が追い越してゆく

足音や虫の音が触れる場所で
上を向いたら広い空の端に
糸口があって傷を縫えるまで
花が咲いてると訊いてみたくなる

お願いだか ....
負けちゃった
あの人はいつも
自分でいられる

何を言っても
誰を選んでも

どうしたらいい
比べるたびに
笑顔が減っていく

何を忘れても
誰を憎んでも

今日は許して
 ....
冬の始まり秋の忘れ物

真っ赤な紅葉が
地面に寝そべり
手袋と間違われて
拾われる

掌に乗せる小さな芸術

手を温めるには
物足りないけど
目を休めるには
十分すぎる

 ....
傾けた心に
足りない言葉

底が抜けてる
ガラスのコップで
何をすくっても
こぼれしまう

ゼロに戻って
喉が渇いたな

きっと欲しいものが
あったはずだ

縁をなぞるだけ ....
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