すべてのおすすめ
なにかが流れでて
わたしが生まれ
太古のひかり
夜のそこから
力を貰い
未来のひかり
わたしから流れでる
捧げられ 捧げる 全ては捧げもの
マホガニーの卓上で喫する
ココアにもはや甘さが無い
食傷気味の男によってもたらされる
ひとつの清涼剤としての
装飾品への
空虚な安らぎのひと時
つねに持続する
怠ることが許されない日々
....
湖畔の公園
鬱蒼とした森の道
イヤホンの耳栓で
外界を遮断しながら
今日もコーヒーショップで
光熱費と時間を減らし終えたのち
その黒く湿った撓垂れから
さらに咽る風を送る
帽子を目深に ....
突風に路上の白いビニール袋が
ふくらみ舞い上がる、朝
早い流れの川の水面を
つーーー
と、流れに身をまかせ
ひとり目の鴨はゆく
三メートル後ろでは
細い足をじたばたさせて
安住 ....
{引用=米カリフォルニア州の出張先にて父危篤の報に接した日の深夜一時、外に出て見上げた空に浮んだ月を見てゐるうちにふと現れたことばを記した。その約六時間後、日本時間の八月十日午後十一時五十七分、父逝去 ....
川の{ルビ畔=ほとり}に身を屈め
婦人は洗濯物を
無心にこする
額に、汗は滲み
袖を捲った腕に水は、跳ね
風に揺らめく、草々と
汚れを溶かす
川の流れと
背後をゆらりと過ぎる、 ....
また朝だ
迷い込んで
迎えた朝だ
帰る処はとっくに消えたし
此処はいったい何処だろう
もう混乱困惑越えちまった
しかしいったい何処だろう
あの人達はもう居ない
根っこは元から失 ....
あいつをほめたい
さいこうにほめたい
せかいをあけてあげたい
ひきだしをたくさんつくってあげたい
おれがなんじゅうねんもかけてまなんだことを
あいつにぜんぶわたしたい
....
陽だまり
吹き溜まり
ミケ ブチ シマ トラ まだら模様の
猫だまり
ミャー ミャー
気ままに生きる
ウッー 手をだす
プイ と方向転換 ....
直立して手が自由に使えるようになったので
人間は
手と手をつなげるようになった
淋しい者どうし手をつなげるようになった
悲しい者どうし手をつなげるようになった
苦しい者どうし手をつなげるよう ....
朝だ
もうこんなに明るい
のだね
不思議だよ、
それにしても
昨夜はあんなに
ふらふらだったのに
今朝まで一眠りすれば
力、漲り
こうして詩が書ける駆ける
眠りの底から
....
仕事をさぼって美術館
展示室をうろついていると
赤いワンピースの女がついて来る
立ち止り絵を眺める横で
ぼそぼそと蘊蓄を語るのだ
頼んでもいないのに不躾な
学芸員にしてはずいぶん
粗野で ....
季節は 夏をわすれて
夏とも秋ともいえない
空白の季節がうまれた
夏をさがして 野山をかけても
秋のみのりの かげりを
みつけるばかり
朝おきて そらをみあげると
いいし ....
行きたい時に
ふらっと行って
世間話などをして帰る
そんな場合が
リタイアすると必要になってくる
黒焦げのアカツメクサを労うように
レースフラワーが風に揺れ
夏が終わると歌っている
排気ガスまみれの分離帯にも
芽吹いた種は繁らせた
波打つ夏の色
色褪せた空のキャンバスに
ぽたりと ....
{引用=夜明けのこない夜はないさ
あなたがぽつりいう}
懐かしい歌が
あの頃の私を連れてきた
そして今の私が唄うのを
遠い窓枠にもたれて
聞くともなく聞いている
夜のはてない深さと距 ....
消え入りそうだったんだ
夜明け前に
悪夢で目覚めると
孤立に窒息して
消え入りそうだったんだ
そんなとき
何気なく手を差し伸べてくれる隣人が居た
「水が欲しいんだろ」、
ってト ....
サイレンが鳴り、正午を呼ぶ
けだるい声はアカシアの雨を歌い
直後に威勢ばかりで縁取られたシュプレヒコールが
アンポハンタイを叫ぶ
(アカシアの雨とは、どんな色だろう)
浸りすぎてしまった ....
大時計の針の上で寝そべる
空の瑠璃色を映す
湖の波紋が 夜の膜のように拡がってゆく
その浅い水の褥のうえには
夏に日焼けした物憂げな表情が
よりいっそうに青く映り込んでいる
その細ながい胴 ....
動かない川の水に、
漆黒と銀白の陰陽
濃密に混じり輝いている
対岸の雑木林、
淡い陽光に照らされ
そよとも揺れず
枝絡み合い重なる奥に
白い空間 ぽっかり開く
凝視されている気 ....
勾留されて取り調べを受けた。一日めでいちいち真剣に返答していたら体もたないことに気づいた。取調室に向かう際かならずロッカーを通る。そこでだけしばらく時間が潰せる。ロッカーのなかにノートを広げて今日のこ ....
画面の外の半分は淡い光で
覆われていた
手を洗いながらずっと
考えていた
冷たい風が金属製のゴミ入れを擦るときの
音のことを
スクリーンの前には誰もいない
ついに解くことのなかった結 ....
童話のように優しいあたたかい詩
読者を拒絶していると怒られる詩
多分どちらもたいせつ
甘い物と
お野菜
ほっこりとしゃっきりに感謝を
日常の大切さを素直に現す詩
心の風景を婉曲で ....
ずるい 壁のなかに
流砂めいた音がしまって
わたしへ近づいて こない
明け方 俯き 烏龍茶をのみながら
アンナ・カレーニナを読んでいるわたしへ
響け おおきな ....
夫婦は人生のパートナーだ
二人で乗り越えてきたものが
どれだけあるかである
(ねむっているように、うつろに開いて
よこたわっていても、私には見えてる)
瞬きで合図をくれていた
感情もなぜかくみ取れた
そんなにあふれていたんだね
枕元にたくさん落ちていたよ
....
反転した
薄暗い影の
なかに
取り込まれて
居た
なんだったかな
何処だったかな
うちゅうの窪みに
休らって
然るべき場所に確保され
受け留められて
ふんわりと明るみ目覚めた
....
口だけやんか
とか 言うけれど
言葉にするって
けっこう大事やぞ
言葉が引っぱってって
きみが信じきれていなかった
場所へ
夢、とか名付けていた場所へ
たどり着ける
こともあ ....
ぼくの身に止まった蝶が
羽根をやすめることができる速度と
やわらかさで生きていく
だまされても理不尽に遭っても
戦争になっても
失意のときも得意のときも
その蝶 ....
ひざまづいてしまおう
ーもういっぱいいっぱいのときは
ゆだねてしまおう
ーもうなすすべがないときは
こうべを垂れ土の上に額を擦りつけ
自らの血と熱を地球の青さに流し込む
秋口が ....
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