communication breakdown (10〜12)

  花束

ちかくの花屋が閉店すると聞いたので
生まれてはじめて
花を買い ....
夢からはもう
とうに醒めてはいるというのに


僕の現実は
まるで夢に似てしまう



夜中でもなく
朝でもなく
ただの希薄な時間に



冷たくもなく
暖かくもない
 ....
高架下の
冷えたコンクリートに
みみを添えて
こうこうとひかる夜の電車の
進む方向を
聞いている

せわしなく交差する線が
夜へと潜る
瞬間
手にするのは
あざやかに灯るうたごえ ....
午前三時

真っ暗な畳の部屋の、布団の上。

窓を少し開けて、扇風機を回す。

部屋の奥から君がシャワーを浴びる音。

一つの布団に一人で大の字になる。

周期的な風の音を聞きなが ....
街に忘れかけられた
公園のベンチに座って
西日の中の滑り台の上では
始まりかけた夏が
くるくると回っている

夜に向かっている
夕暮れの片隅で
ジャングルジムの天辺じゃ
出たがりの金 ....
ここに来るまでずっと
つま先だけ
見ていた

たどりついたとき
誰かが待っていて
ほめてくれたりする
どこかはどこ

軒下に避難した朝顔も
こうべを垂れるので
昨夜から宿っていた ....
90%知りたい
だけどそれはやめておく

死ぬのはいくつの歳か
それを聞きたいけど
聞かないことにする

と、57歳のおじさんが言った



ぼくの座る
駅前の公園のベンチの前 ....
漢字の
「小」って
お母さんが真ん中に寝て
子供が両脇に寝てる様子に
似てるね

まいばん
そうやって
寝ています
見上げると
空は昼寝をしていて
そのすきに
雲は氷になっていた

このごろは
どうにも喉がかわくんだよ、
と手を伸ばしても


涼しいかたまりが
つるんと通りすぎて
ぼくはま ....
君はただひたすらに自動券売機をつくっている
外、春はとっくに酸化してしまった
困るね、こんな雨の日は
花壇に水をあげることもできない
僕の手の中で冷たくなっている冷蔵庫
その扉を開け ....
僕は君となら

地の果てまで行ってもいいよ

海の彼方まで行ってもいいよ

だけど

君と僕だけでは生きてはいけない

砂漠で骨になるか

海に浮かぶかもしれない



 ....
なかないかおの
きみがすき

ゆるまるこころと
うらはらに

なかないつもりの
きみがすき


くちもとむすんで
このつぎが

はじまるときを
じっとまつ

なかないか ....
大きな円を描いて
ゆっくりとゆっくりと
海沿いの風車
丘の上から

当たり前にそこにある日々とか
ここで今に生きてることとか

海に臨んで
やわらかい強風に
回転している


 ....
太陽の先っぽで
ひとつの影が泣く



拭い切れない泥濘に
怯むことに怯む半分と


混じり気のない
夕景の旋律に
委ねてしまえる半分と



けれど太陽が映す
そ ....
もしも宇宙人がいるのなら

宇宙猫とか

宇宙犬とかも

いるのかな


宇宙金魚ぐらいなら

ボクはちょっと

会ってみたいです
私の紫陽花が色を求めはじめる

もう一度白い雨の日を思い描く

止まない雨はないのですね

白く白く煙のようにぬれていた

私の白い紫陽花を

一目でいいから見せたかった


 ....
 
 知らない街で
 洗濯物が揺れている
 風に洗われて
 青空を映しながら


 知らない道に
 鳥の羽根が落ちている
 素通りなど出来なかった
「これは大空の破片なのだ」と
 ....
パンダ部の先輩は
いばってる
パンダ部にいる人は
出世が早いという噂
コアラ部の部長は
いつも深刻な顔してるけど
その割に
取り越し苦労が多い
ゾウ部の女性社員は
いつも大量の書類を ....
僕の夢は
夢を見なくなる
ことだったりしたから

僕は夢を
宇宙に放り投げたり
地面深くに埋めたりした


ある日外へ出てみると
地面には夢が
もさもさ生えてきてたり

空 ....
手足があったらヘビだって
歩いていたに違いない
晴れた日には日傘のひとつでも差してさ
そうだね、父さん
だからまだ
どこかで生きてて
ひるがえる灰色のシャツ
がそっぽを向く夕暮れ
の片隅に咲いている花
とそれをなじるあなた



本当は愛してたいのに
を口にしないひと
そして思ってもいないのかも
と勝手に悲し ....
きいちごを
てのひらのまんなかに


そのとき
ぼくは
きいちごのまんなかに


ぼくは
ちのかたまりになって

なみだをなくす
かわきをなくす


ぼくは
きいちご ....
6月の快晴に出会って
やあ久しぶり なんて手を挙げたりして
からからに乾こうとしてる街を
隙間を見つけながら走り抜けたりする

名前も知らない鳥が
真似できないような声を出してる
それに ....
夜の汀に
静かに打ち寄せる旋律が
月を濡らし
とびきり無垢なくらやみ
豊かな潮騒に包まれる
すべての静かなあなたたち
今はただ
波間に映りこんだ月のように
やさしく揺れて
なにも持た ....
冬の配達人が
夏に来て
僕に言う

「君の手紙には切手があと十円足りません。」

早く切手を買わなくちゃ



朝の配達人が
夜に来て
僕に言う

「君が書いた宛先は薄くて ....
ふせじ の なかの
ながい ゆめ

とんとん どうにか
すすけてく

ならくのそら は
しらせぬ いろで

ここやら どこやら
さき ゆれる

わたらせ まい よ
と ....
この街は地図に載っているのに
どうして迷ってしまうんだろう


いつも見る夢のイメージで
飛び越えてみようとしたけれど
上手くいかないものだね
今日と明日の境界線は
思いのほか広い
 ....
軋む煌き

行き先を失くした
かりそめの駅の灯り

遠く流れ着く唄は
「人見知りのブルース」


ポツリ雨


繰り返す情熱の合間に降る
孤独より苦い必然の雨

雨は溢れ ....
あなたがするり
と躱す度に

僕の身体は
曲がっていきます

人を遠ざけそうです
喉が貼りつきそうです

薄い枯葉のようです
水を飲ませてください


あなたがひらり
と逃 ....
その時のぼくには
どんな光も
光 だった


高層ビルのあちこちでは
松明が焚かれ
人はそれを
空から眺めては
都会などと
よぶ


灯台ならば
向かうべき先を
教えてく ....
玉兎さんのおすすめリスト(389)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
communication_breakdown_(10〜12 ...- アンテ自由詩4*04-6-24
名前- 松本 涼自由詩5*04-6-24
羊水- 自由詩504-6-24
夜中の扇風機- 鷺沼 踊自由詩204-6-24
忘れかけの公園のベンチで- 霜天自由詩904-6-24
そのもの- 望月 ゆ ...自由詩7*04-6-24
路上で無料占いをしていた時の話- よだかい ...自由詩2504-6-23
「小」- チアーヌ自由詩11*04-6-23
キヲク- 望月 ゆ ...自由詩6*04-6-22
ホームセンター- たもつ自由詩1204-6-22
★92_カタスミデ…- 貴水 水 ...自由詩9*04-6-21
なかないかお- 松本 涼自由詩5*04-6-21
海に臨む- 霜天自由詩604-6-20
夕景- 松本 涼自由詩3*04-6-20
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配達人- 松本 涼自由詩8*04-6-15
わたる- 砂木自由詩7*04-6-15
空は僕で僕だった- 霜天自由詩804-6-15
「人見知りのブルース」- 松本 涼自由詩4*04-6-14
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漁火- 望月 ゆ ...自由詩8*04-6-14

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