すべてのおすすめ
凡に生き抜きたくはない 滑稽な道にはバナナの皮が咲き乱れる
シリアスな持ち主故 そんな気分には成れない 慣れる気質もない
半分ジョーダンの段差は知っている
つまずくんだ 小癪なその段差に
....
葉を落とした蔦は陰鬱な妄想
囚われた家も人も沈黙を叫ぶかのよう
十一月は開けっ放しの箪笥
風や霙しか仕舞われていない空の空
冬は心の真中から始まる
だがものごとの始まりは不明瞭
....
誰も知らない
本当の私は
私の中にしか
いなくて
そんな私を
私が愛してやれなくて
どう救うのだ
ひっぱり出して
向き合うことに
痛みを伴えども
膝小僧の下に生える毛はとても強い
太くて、まっすぐで、
80デニールのタイツも突き抜けそうにピンと生えている
脚に垂直に
地球に水平に
やせた土地にあって
少しの栄養で気まぐれに芽 ....
あともう少しと思うところで
火を止めるのよ
もう薪はくべなくていい
蓋をあけてはだめ
後は鍋ごとさめるのを
待つの
ゆっくりさめながら
ジャムはだんだんジャムになるから
リスの母さんは ....
風邪をひいて一日寝ている
よくもこんなに眠れるものだ
寝ては目覚めてまた夢を見る
夢で野垂れ死にしても不思議ではない
見知らぬ旅館に隠れている
ドアが開いたかと思うと風呂上りの子どもが転がり ....
3 足のある眼鏡
わたしの仲間は誰でも言うのだが
決して信じてはいなかった
「眼鏡には足がある」など
だが 今朝 眼鏡が消えた
確かに洗面台の横に置いたのに
顔を洗っている間にど ....
辿り着いたこの街で
老いていくのだ
運が良ければ
最後の日まで
そのことが
頭の中ではっきりしていて
どこまでも
美しい
晩秋の遊歩道
こんなことを昨日から考えている
診断の結果異常のないはずの子供が
なんらかの障害をもって生まれてきたら
なんらかのミスでそんなことが起こってしまったら
ぼくならどう思うだろう
....
一言で
闇を
止めることが出来たなら
苦労などしない
一言で
死を
止めることが出来るなら
苦労などしない
一言で
世界を
滅亡の淵から救い出せるなら
犠牲はいらない
一言では ....
朝の隅の
見えない朝
埃は歪み
渦を描き
金と緑の河を浮かべる
二重三重にひらく空へ
暗がりは流れ落ちてゆく
樹があり また樹があり
むこうには何も無いかのよう ....
キーを叩き。明朝体を墜し、青白む紙の上へ
滲み、昏い余白を点し、未到の雪のうえを歩
く、ポーチライトが続々と消えて、踝に光だ
けを纏い、潜り、息を止めて、そっと近づき。
加速度をつけた空が硝子 ....
叔母さんが亡くなった
いとこが
「顔も見てやって」と
お棺のふたを開けてくれる
御顔を覗くと
少しも苦しそうでないので
ホッとして
「おばさん」て小さい声で言って
お葬式には少し慣 ....
時折 挫折します
嘘です
いつでも挫折しています
そのうち挫折があたりまえ
嗚呼 挫折こそわが人生わが歌
骨折も痛いが
挫折も痛いああ痛い
坐骨神経痛を略 ....
睫毛が凍る
瞼が開かない
口はからからで
身体は半分もう埋れている
ポップコーンの弾ける音
君の微笑み
オレンジ色の証明
調子外れのピアノ
繋がれた手
誰が引っぺがせと言った ....
懐かしむ 振り返る過去が増えてくる
決してしがみつくものはなく 黄昏は生まれながらにもっている
私の夕刻の風
四季の問わない八方へ広がる 無菌空間の感情
誰にも晒されない 寂しさをずら ....
朝 目覚め コーヒーを片手に空を見上げると
真っ白なカーテンの隙間から 冬になろうとしている風を通り抜け
真っ直ぐな日差しが 私を突き抜けていく
夜 あんなにも心はざわつき 心細くな ....
時を経て散り行く枯れ葉
地に落ちろうとする姿は
その間際まで心奪う様に
我を忘れる程の美しさを
見せ付けては舞い落ちる
少しの風にひらひら落ち
強い風にも優雅に落ち ....
ペットボトルのごみの日
中身(心)はもうとうになくて
キャップ(顔)やら
包装(洋服)やらを
捨て去ったら
みな
潔い裸になった
とても清々しいごみの日には
カラスさえも
素通りする ....
幸せの余韻は漂っていた
静かに訪れる至福の時は
穏やかな心を呼び覚まし
淡い透明の色彩が流れる
珈琲は如何それとも紅茶
ココアに致しましょうか
湯気の立ち込めるカップ
まろやかな香り ....
等圧線の険しい尾根道を
一気に駆け下りた寒気の精鋭に
容赦なく身体を押えつけられて
また2センチ青空が遠のいた
街路樹の痩せた指先から
次々に零れ落ちた枯葉の巡礼を
容赦なく運動靴 ....
MRIに写った骨に
ほんの少しの ヒビ在り
しばし見入る
ヒビは歌わない
ましてや笑わない
責めたりしないし
冗談も言わない
財布の心配もしない
後悔もしない
原因があって
結 ....
時々、人の目を臆することなく
甘えてみたくなる
鼻をあなたの背中に押し付けて
思いっきり
人の匂いを吸い込んでみたくなる
ひなたに寝転んで
雲の形に一喜 ....
君の胸の音を聴いている
瞳を閉じれば浮かんでくる
電車がゆく
車輪の音は確かなリズムを刻む
無機質でいて
それはなぜか温かい
からだじゅうに
張り巡らされた
赤い線路を
休むこと ....
いつも待っている
誰かを
何かを
右手か
左手で
いつまでも招きながら
黄色い砂埃も
べたべたしたちっちゃな手も
酷い陽射しも
すぐに味がしなくなる憐れみも
....
人間は傲慢だ
雨上がりの新中川の土手で
あいつは言った
僕らの目の前に
口いっぱいに雑草を詰め込まれた猫が死んでいる
誰かが死んだ猫に悪趣味ないたずらをしたに違いない
何でも食べよ ....
昔大切だった人に
今さら会いたくなって
噛み締めた唇から
静かに血液が流れた
ふいに起こり上がる衝動を
押さえつけながら
私は耳を澄ませる
『純粋に
ただ純 ....
幸せな夢でした
ありがとうございました
と言って
死ねる日を
ベッドの上、肺のなかの空気を
ぜんぶ吐いて
覗き込む顔に顔で返事をして
さよならも言わず
死ねる日を
私より先に ....
私がもしも
粒子になったら
あなたのところに飛んでいこう
私が
私とわからない
でも
あなたはわかってくれる
(ご遺体の損傷がひどく
(確認にはずいぶん 時間がかかりました
(カ ....
宵のうみ
ひとり佇みけむりを吐く
存在に意味があるとか
たとえば価値があるとか
そういう
思考に飽きた
水面につきが流れている
清らなかぜとともに
ああ
じゆうだ ....
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