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空は
だれの言葉も聴いていない

雪の語りも
風の遊びも
なにひとつ聴いていない


大地は
だれにも組しない

黙りこむ愛にも
困り果てた踵にも
まったく味方しない ....
初めて肺呼吸をした日を思い出せない



あの子が肺呼吸を止めた日を覚えているのに
紙の前には座りたくない
鍵盤の前にいたい

昼ひなか私は没頭する
緊迫する
高揚する


せわしなく
抑揚の激しい旋律を
いつか
さりげなく
やさしく
奏でることができたら
 ....
赤信号を歩いていく人の背中を見ていた
急いでいる訳でもないその人につられて
ひとり、またひとりと流される

流行の最先端を行く
誇らしげに胸を張って
アスファルトに張り付いたガムを
幾人 ....
夕闇がやってくる気配
それは決まって
南向きの玄関の隅から生まれた
冷えていく板張りに寝転がって
図書室で借りてきた本を読んでいると
ふいに呼ばれる
声、
のようなものに

夜が
 ....
揺すらないで
覗かないで
ノックしないで
猫はいや

汚いものが沈んで
息がつまる

追い詰めないで
掬わないで
閉じ込めないで
逃がさないで

窓はどこ
酸素が欲しい
 ....
色褪せてしまうまで
崩れ落ちるまで
見届けたかった
遠くなる影を見送り
不在を確かめたなら
踵を返し
歩きだすはずだったのに
あとからついていったのだ
見失う一歩手前の距離を保ち
二 ....
寒い日に「寒いね」って当たり前のこと
温かくて柔らかい吐息の色でわかっているよ

降り積もった朝の霜を踏んで
砂利道の上のキャッチボール

口遊んだいつもの歌も
溜め込みすぎて漏れ出した ....
仕事帰りにスーパーで きんぴらごぼうを買った
私はこのきんぴらごぼうを作ってくれた人を知らない
きんぴらごぼうを作ってくれた人も私を知らない
でも
きんぴらごぼうは美味しい

きんぴらごぼ ....
悲しみより圧倒的に遅い窓、電車の。
価値の違いを理解できない、爆音の。
情報を情報で重ね続ける、液晶の。
ユーモアの先端に知性が宿る、海馬の。
春風に乗る言葉たち包む、木綿の。
深い深い闇よ ....
私の居る場所は此処にない

誰かが囁く此処ではないと

此処で無ければ何処だろう

私の居るべき彼の地は何処

誰かが囁き森と大河の傍を

私の脳裡に観せてくれた地

思い浮か ....
不幸を願う柏手が冴えて響いている  


 言葉も
 心も
 要らないわ

 偽物の
 熱で
 あたしを
 安心させてよ


 なりすました手から
 たとえ嘘が
 溢れたとしても
 今はただ
 握ったあなたの手が
 あたしには温かすぎ ....
二十歳の私はずるかった
ばかだった

だけど今
二十歳にもどりたい
ずるくてばかで
ほしくてたまらなくて

絶対想いが
願いがかなうはずだとおもっていた
二十歳の頃にもどりたい
 ....
代価は支払わねばならない
そんなこと考えていると恐ろしくなるよ
生まれて死ぬことが
こんなにも恐ろしいことだなんて
生きていることが
こんなにも犠牲を強いることだなんて

厳しい因果律の ....
気になることが落ちていました
拾ってみると
心の中に小さな点ができました

小さな点は振動し
私の心はふるえました

ふるえた私の心は
私の意識や無意識を使って
思考や記憶を
言葉 ....
ほんとうのこと
それは大抵が言ってはいけない

どんなに親しくなっても
むしろ親しいからこそ言えない

私が真っ黒なこころの持ち主で
ほんとうのことはいつだって真っ黒だから

もしだ ....
主人公であるなら
殺されてはいけない
最初に殺される被害者は主人公ではないからだ
犯人か探偵であるべきだ
だが誰かが殺されなければ
犯人は犯人たりえず
探偵も登場しないだろう
つまり殺さ ....
苦いものは苦手だ。
子供の頃から苦いものを避けてきた。
だから、いつも甘い毒を口いっぱいに頬張って生きてきた。
頬張れば見栄えが良くなると信じていた。
遅延性の劇薬と知らずに致死量を超えていた ....
瓶の中にとり残された
ピクルスひとつ

蓋が開くのを ただ
待っているだけの日々

見通しが良すぎて
すっぱい孤独

 
 《ピクルス:2013年11月10日》
腰が大きく曲がった
近所のおばあちゃんが通るたび
あの中には何が入っているの? 
と、母に質問して
そんなこと聞いてはいけません
と、言われた

大人はいつだって
ほしい答えをくれやし ....
おおゆきが降った夜
雲の切れ間で
三日月につかまって
空中ブランコしてたのは
木の葉の舞う頃
行方不明になった黒ネコ

最初は新聞の折り込みチラシ
猫のアップの写真の下に
「飼い猫を ....
夕方過ぎの薄闇の中

自転車に跨った

塾帰りの少年少女

信号機は止まれのままだ

いずれ青に変わる時が来るのだから

ゆっくり大人になればいい


僕はと言えば車の中
 ....
私は白馬に乗り風をきり野原を駆けている

白馬は翼を広げ天空へと舞い上がっていく


私は音楽を聴きながら幸せをかみしめよう

何を齷齪し何を不安がっているのだろうか


美に触れ ....
1980年になったと
あの日、テレビはカラフルにうたっていた

パロディでも懐古趣味でもなく
アイドル歌手は真っ正面に
キラキラな服を着て歌い
その後に続いてニューミュージックがかかる
 ....
半年ぶりの実家はいつも通り
父は孫と はしゃぎ
母はセカセカと 動いている

ちょっと気になる
カレンダーと
冷蔵庫に貼られたメモ用紙の枚数が

カレンダーはもう日付がわからないくらい ....
どんな小さな出来事でも
記念日に出来る
大切な一日を生み出せる

二人が出逢った日も記念日
初めて抱き合った日も記念日

記念日が増えると楽しい
その日が来る度に
より良い関係になっ ....
伯父さんのお葬式の日に
父に会いに行った
病床で 夢と現のあわいを
ゆっくり行き来している父は
「今○○さんが来て行った」と
仲良くしていた兄の名を言う
その人が亡くなったという事を
お ....
栗色のたてがみをなびかせ
どこまでも駆けて行く
その凛々しい姿どこまでも
草原の果て 日の昇る場所
おまえは駆ける 駆ける
休むことを知らない
この大地をどこまでも
おまえはひとり駆けて ....
美しい音楽が流れた時、私の過去は蘇った
私の脳裡を揺さぶり私の心をも揺さぶった

蘇る過去を追いかけて遠い遠い記憶を探す
私は現から翻り遠い記憶を辿り追いかける

記憶の世界はとても淡い色 ....
クナリさんの自由詩おすすめリスト(420)
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