すべてのおすすめ
あゝ薔薇が咲きました
昨日までは蕾であったのに
馬鹿だね 何もこんな寒い日を
選んで咲くことないのに
小学校から知っている息子の友達は自衛隊に入隊するといいます
有事の際には戦うので ....
雪祭りで賑わう
地下街をあるいていた
柱の影から目の前に現れた人物が一瞬父かと思った
現実の父より
かなり若いし
実際の父は
病院のベッドで
寝たきりだと
すぐに気づいた
似 ....
冬に溶けていた
欠片が
今、きらきらと
夜に降る
氷の棘でした
ひとつはカイの目の中に
ひとつはカイの心臓に
結晶というものは
なんて
おそろしいものでしょう
この世に ....
あおに 生まれ
あおとして 過ごし
あおのままで 逝きたい
たとえ馬鹿にされ、笑われようとも
そして、また
あおで、
私の紡ぐ衣は
フリーサイズではない
ピッタリ合う人と
ぜんぜん
似合わない人がいる
人それぞれ
好みがあるだろう
色や柄が気に入らなければ
あなたの箪笥から
どうか 放り出してく ....
猫になりたい
すまして本を読む
あなたの足もとでじゃれつきたい
猫になりたい
そのページをたどる指先で
やさしくのどを撫でて欲しい
猫になりたい
こんなに寒い冬の日は
あなたと ....
娘の反抗期も
そろそろ終わりかなあと
やれやれと思う反面
なんだかそれはそれで
一抹のさみしさもあり
手放した自覚もなく
ああ、季節というものは
こんな風に過ぎてゆくものなんだと思う
....
異国の少女の瞳のよう 青く澄み
だが雲はお構いなしに夢の中の鰐だ
純白に生れ落ち
気まぐれな冬の微笑みにほだされる
だが夜には冷たくあしらわれ
朝には固く汚れた肢体を通りに ....
いちごをひとつ
妹のいちごパフェにのせる姉
それは僕の役だったのに
知らなかったよ
いつのまに
大人になったの
少し
さびしく
それより少し
....
手紙を入れて
春の小川へ流してやるのだ
壜はゆらゆら流れて行って
コルクの栓もしだいに腐り
水が浸み
河口近くに沈むだろう
それとも海へ流れ着き
波に揉まれ
誰も聞かない音をたて
....
静かに落ちる
柔らかな子宮壁に
着床する種のように
或いは
夜という
高濃度の詩を含んだ海へ
魂だけが
えら呼吸を忘れてはいない
無意識という
立方体の
泡を
吐く
水 ....
低い雲が私を覆う度哀しみが私を覆う
あたかも行く末を暗示しているように
不安に苛まれる一時は得体の知れない
靄が私を取り囲み前面に立ちはだかる
私は顔を覆い蹲り今が去るのを待っ ....
{引用=一昨日の夜のこと}
薄緑の籠に
シャツや下着が
溜まってきたので
洗濯機にそれらを
雑多に放り込み
湯船に張った
冷めかけたお湯に
ホースを通したと ....
朝 目覚めたら
鳥の巣箱の中にいた
市会議員選挙の告示のニュースが
母屋の方から聴こえてくる
体を起こし 何となく上を向いて
首を伸ばしてお口をあんぐり
母がテントウムシを口移ししてき ....
スーパーの買い物袋を持って
踏切の前で電車が通りすぎるのを
僕は待っていた
その時、電車が僕の前を横切り、そしてその刹那
明るい車内の中の人達の姿が一瞬だけ見えた
人々は ....
おこる人は キライですか
キライな人ほど 好きになろうと
努力しますか しませんか
どうでも いいのですか
キライな人から 逃げ出したなら
そこは あなたワールド
誰も ....
思い過ごしと錯覚が
視線の先に入り混じる
景色はとても美しいのに
人の思いが何処にあるかなんて
良い言葉の中にも
悪い噂の中にも見つからない
結論を ....
幾重にも
連なってゆく
痛みの無言に慣れてしまう
その痛み
それは
誰にも明かせないから
誰もがみんな
重たく齢を
重ねる
褒美のような光の背には
忘れられ過ぎた美 ....
温かいご飯
温かいお風呂
温かい布団
この三つは
心まで温めてくれる
寒い冬の夜
わたしは寝る前に
下布団とシーツの間に敷いた
電気毛布のスイッチを入れておく
しばらくし ....
かあさんの
みずたまもようのワンピース
あれ、手作りなんやでって
こそっと打ち明けた
キヨちゃんが
ほんま? すごいなー
でもどこからが手作りなん? って
イケズゆうから
どこもかしこ ....
けぶる空 さよなら
いつか またね
わたしを待っていてくれるのなら
きっと すみれ色で出迎えて
真夜は訪れ
いのちたちは
息をひそめる
ちいさなさよならの
行き交う街角
きっ ....
あの{ルビ娘=こ}が部屋から出なくなって
もう既に一年の半分が過ぎたはず
年越し蕎麦も初詣も
僕へのチョコレートも無かったね
あの娘の部屋は
もう既に取り壊しが決まってる
古い古い ....
君は君自身のためにルールをたくさん作った
例えば
本を読むとき
君は一度開いた目的のページを
わざわざ1度閉じてから
再びゆっくり開いて本を読み始める
例えば
朝の ....
押してダメなら爆破
どこに有るかも分からないのならば、もう探す意味もないのだ。言葉にしても定まらないユートピア。黄金郷。息を吐かせる暇もないような、ほとばしる輝き。どれももうきみには必要がないだろう。(つま ....
かんかん光る
かんかん踏切
かんかん降りる遮断機の
かんかん赤い光の点滅
その先線路を
飛んで行く
暗闇の中
急行電車が
飛んでゆく。
かんかん手を振る二歳の息子
電車を見 ....
もう少しだけ待って欲しかった
きっともっとうまく笑えるはずだったのに
まだ恋が芽を出す途中
強制的に打ち切られてさ
なすすべもなく ほら さよなら
曖昧で でもそれ以上踏み込めなくて ....
熱を帯びた扁桃を
通過する
酸味をふくんだえきたいは
ほどよく冷えて
生きていることが
すみずみまで広がっていく
――体温計の中の赤いめもりが行ったり来たり
ひとふさ
ひとふさに
大 ....
しろい紙に 向き合い
しろい箱を 造り
しろい心を 持ち歩く
あるとき それは逝った病室
あるとき それは骨壺
海沿いを走る電車を降りると
そこはまるで見知らぬ ふるさと ....
孤独の足音が聴こえた
孤独は私を追いかける
私は後ろを振り向いて
あなたの来るのを待つ
孤独の息吹が聴こえた
孤独は私に息を吹いた
私は後ろを振り向かず
あなたの息吹を受ける
....
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