花を売る乙女は夜に何を見る 裏路地の隅に椿ひとつ咲く


造花売る乙女が蝶を飲み込んだ 偽花に隠れ口元拭う


蔓草で乙女三人手を繋ぎ四回回るとほらバターになる


鬻ぐ女ら ....
襖の向こうには、四人の女が跪いている。

昨夜うっかり部品を落としてしまい
カヤコが動かなくなっている。

僕には珍しく覗き穴ではなく
腹全体を空洞にして、中に赤テントを吊るした。
無く ....
5と6の歌の隙間に空の青 震える指でこじ開ける朝


メリメン区啄ばむ鳥が跡残す 緑雨降る夜波ひたひたと


目覚め行く身体は冬を思い出す 凍れる雲の流れを待つ頬


化石サ ....
*
彼の部屋を訪ねたら、押入れの中に裸の女の人がいた。
その人は手招きして、私に臍を覗けと言う。
「サイコグラフィアに出ていたのは、私のおかあさん。」
彼女が言う。
「かあさんは春画を見せた ....
精霊が来て、持ち去った
取りこぼすのは私
廊下に生温い王冠が落ちている

寒い、
寒いこの手をご覧
肺が裂けてしたたるよクリクーシカ

嘘つき女
私をご覧
私の肌は今、色を変える
 ....
猫を飼えない代わりに、木の苗を買ってきた。

シンクの上に置きたかったから、鉢は百均の小さなのにした。

猫を飼えない代わりに、水をやって日に当てて、肥料をやってあれこれ構う。

  あた ....
鬻ぐ女

貰った鞄は質に入れ
貰った熱はすぐ冷える

縫い取り縫い取り
骨を探し呼吸を刻んでゆく

日が落ちたら
そうね今から
初めて出会うあなたの側で
あたたかいかなしみに埋も ....
*
蜂男は全部が蜂でできている。

顔も、身体も、腕も足も
ぜんぶぜんぶが蜂でできている。

黄色がかったオレンジと、黒の縞の蜂でできている。

だから
側を歩くとブンブンブンブ ....
「マーブル」
盗む手の平の中に赤溶ける机に隠した白い罪たち

「ラム」
砂浜に焼け跡残して乙女去る贄の羊が丘の上で鳴く

「頭痛」
病む棘は所詮誰にも分からない晴れた日曜泣きたい独り ....
こいをしらないかたつむりのおんなは
あいすることをしっていたかのじょを
ただひとつわからないとおもう

おまえのすべてをしっていると
だからおまえはわたしをあいすのだと
おんなはかのじょの ....
「またあした」嘘になるけど手を振った。残り三分、世界終わります。 「お前は泣き方を忘れたね。」
幼い私が言う。

「いらっしゃいませ」
笑う私。

「こちらへお願いします」
客に背を向ける。
途端、
ガラスの中に目が映る。

「悲しい理由は見つ ....
花が口々に言う

さざめくはわたしの耳
波のよう揺れ広がる青

かがみ込んで
口付ける
いとしいお前は半ば骨

花が言うのはわたしの秘密

手折ってやろうよ
煩くしたら

 ....
おおきなとりが 
そらからおちて
わたしにあかい 
きばを、みせる

あいたくちのは
きいろのしたが
わたしのかおを
したからなでる

おおきなとりの 
なまえはしらない
わた ....
うつくしいものが見たい。

見せてください。わたしに。

身に余るしあわせ。

取りこぼす歌。

たくさんの世界を見せてください。

ただ、うつくしいものが見たい。

なにかう ....
1、

ある朝起きたら母さんが
顔を剥がしていた。

止めようとしたけど怖かったから、柱の陰に隠れて見てた。

あちこち痒かったから(かいたら芽が出るわけだけれども)「痒い」に集中してお ....
そらのはじっこを
ちくちくしたおれんじがながれていった
何度飛んで 実りを散らす
爪の赤さは 下の温さは
みんなみんな
その日の為のもの

皮を剥がれてしまえば
身体は本当に白い

その歯でもって傷つけよ
噛め、証が欲しい

種は芽吹 ....
ボルトを緩めると
あめ色が流れ出てきてしまいそうで
おとといから触らないようにしている。

頭の中は、それ。

誘蛾灯の青の下、
ただ、乞うている。

声だけが残る
焼け落ちて
 ....
雨粒に触れて 膜は破れた

私の巡ったしるしの中に

遠く、緑が燃えた



児戯の様、六番目の足を伸ばす

かそけき予感は 手のひらの中



(水盤を御覧よ、花が 踊る ....
なりむきさんど

はせさんず

からかみとおす

よはあけたまふ

ややこのねぶめ

すすたりし

むめうるあかし

みなもれむ

あけむじこきゆ

えめおわせ
 ....
二つの窓から世界を見ている

わたしたち

魂を燃やしている

赤く腫れた胸

こおろぎは鳴いている

そこへ蜂蜜

指が、手のひらが包んで撫でる

輪唱・波の震え

 ....
ちいさいお魚 池の中にいて
緑の葉の下 見え隠れする

山茶花が咲いて 悲しい日だから
私 うずくまっているの

寒いお魚は 貝で出来てる
寒い山茶花は じくじくこぼれる
寒い私 傘を ....
懐疑的な夜の上を
ひとり、女は行った。

光るものは
上にも下にも見えて
波が寄せるだけ、心が騒ぐ。

足元で魚が幾匹かはねた。
踵が折れて、靴は捨てた。

行きたい場所なぞどこに ....
カンフルで突き刺して

(かわいそうだよみんな)

わたしは火種を弄ぶ

世界は全部私の玩具

(かわいそうだよみんな)

昼夜が曖昧かつ液化して、
最近7時を見ていない。

 ....
首の赤い羊
足を投げ出して動かないそれから
時計回りに楽園が広がる

歌はいかが、
黄色いメロディ

温度はいかが、
子供にお帰り

赤い林檎に恋人はいかが、
望むならほら、何で ....
誰とも分からぬ手を取って

淡く土を開いてゆく

群の匂いは 偽って春

繋いだ指先から溶け混じるうち

赤く、白く、甘く染まる



羊水の中、震える声で目覚めを歌う
花屋の前を通ったら
裸足の子が、何かの種を配っていたので
通りすがりに目も合わせずに受け取った。

人が多くて
目が開かなくて
こんな日は
泣きたくて仕方ない

斜めに切り取ってくだ ....
思春期の頃の女の子は皆 腐った生ゴミの匂いがする


授業中廊下でひとりアラベスク 群れを離れた自由と孤独


夕刻の音楽室でピルエット オレンジ色の音符転がる


白カーテン 簡素 ....
お前のために 歌っているよ

昼でも夜でも 街中でさえも

お前に恋しているのだ 私



お前を思って 名前を呼ぶよ

聞こえないのが 幸いだ

叫びすぎたら 喉が 裂けて
 ....
ミゼット(179)
タイトル カテゴリ Point 日付
短歌3*06/11/17 22:11
それから自由詩1*06/11/16 23:00
青についてのいくつかのこと[group]短歌7*06/11/9 22:02
彼は芸術家自由詩2*06/11/3 0:33
果実自由詩3*06/11/1 23:02
ひとりでくらす自由詩2*06/10/29 22:08
鬻ぐ女自由詩3*06/10/27 23:14
蜂男自由詩5*06/10/26 22:36
ミゼット(1〜10)短歌3*06/10/15 21:56
かたつむり自由詩1*06/10/7 22:39
 たそがれ 短歌1*06/9/18 15:52
悲しみ自由詩3*06/9/3 22:30
つみびと自由詩3*06/8/23 0:15
天啓自由詩4*06/8/13 17:08
桃の匂い自由詩4*06/7/14 20:59
その頃自由詩5*06/6/13 22:33
 あ け 自由詩2*06/6/12 21:33
自由詩1*06/4/16 22:47
ソウ自由詩5*06/4/13 15:45
春雷自由詩6*06/4/2 21:44
風声自由詩0*06/3/8 23:41
睦む自由詩2*06/3/5 22:49
遠い春の日自由詩3*06/3/4 16:29
帰りたい家自由詩2*06/2/24 23:58
オレンジ自由詩1*06/2/22 1:36
ぱらいそ自由詩1*06/2/14 22:49
未分化の赤自由詩3*06/2/13 21:32
めまい自由詩1*06/2/9 17:40
百合の咲く頃短歌2*06/2/4 23:39
水仙のうた自由詩1*06/2/3 21:28

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