涙は溢れ、暮色に触れて、花と為す。
 鷺は佇み、川面は艶やか、凛と為す。
 石は固く、蜉蝣の舞う、誰が聞く。
 風が立ち、影は霞、泡沫の夢を見る。

 夢亡き後に山は燃え、心に映る。
 ....
 思い出の公園でブランコが揺れていた。
 横浜に降る霧雨は仄かに青色で。
 なぜだか僕は独りぼっちで寂しくて。
 今在る幸せに気付く事も無かった。

 誰もいない公園で僕はブランコに揺ら ....
 夜のテラスに薔薇が咲く。
 花びら、それは鮮やかな血の滴り。
 消える事の無い悔恨だ。
 それは私らの繋がりにも似ている。

 夜空に瞬く星々はじっと見つめる目の玉だ。
 恐るべき幻 ....
 黄昏時に降る蝉しぐれ。
 巡る思いは故郷に焼かれ、
 砕ける波には顔が現われ、
 存在すらも消えてゆく。

 幼子の手を引いて寺の参道をゆく。
 夢かうつつか幻か。
 奥手に望む海 ....
 吹く風に捕らわれた身は山を駆ける。
 幾たびも過ぎていった時を頼りに。
 先人達の漲る力に生を覚えて、
 村はずれの舗道にただ立ち尽くす。

 吹く風に捕らわれた身は川を渡る。
 輪 ....
 戦い方を知らない僕は狩人だ。
 森の奥に隠れてじっと獲物を待っている。
 獲物を見つけても何も出来ずただ見送るだけ。
 消えるのは簡単だけどそうはいかないんだ。

 人は僕を優しいと言 ....
 明日への旅路の始まりはどうしようもないほどに、ここ、なんだ。
 僕は驚くほど体力を消耗している。
 朝を恐れていくら夜にしがみつこうとしても煙草の灰が増えるだけ。
 人は自分に自信を持てと ....
 炎に燃える薔薇のように生きていたい。
 流離う月日に惑わされずに。
 漂う雲はそのままに。
 決して自分を見失わないように。

 夜毎気の狂いそうな夢を見る。
 精神崩壊するその前に ....
 森の緑を照らす太陽が心地良い朝。
 緑という緑が生気に満ちて光り輝いている。
 森の奥からモーツァルトのクラリネット五重奏曲が聴こえてくる。
 精霊たちが奏でる音色に聴き惚れていると心に勇 ....
 眼鏡の奥の青い瞳が血で染まる時、埠頭から飛び立つ鳥よ、憎しみに湧け。
 人間の弱さを自分の弱さと重ね合わせ、逃避する心よ、悲しみに暮れろ。
 存在を日々消費してゆく者が夕景に若いエキスを吸い ....
 花弁が散り際に吐いた赤い呪縛。
 自由は青い額縁の中にある。
 生き苦しさには最良のグレーを捧げ、
 人生の愉悦は黄色い生物の口の中。

 理解を包括した若草の懐にはナイフが隠されてい ....
 記憶の彼方に浮かぶ一艘の客船は時を巡る。
 大海原は凪いでいる。
 トランス状態に入る前の静けさに音楽は語る。
 安らぎはいまだ訪れはしない。

 多少の情緒不安定は正常だ。
 海は ....
 誰でも自由に自販機でタバコが買えた頃、あれは15の夜だった。
 わずかな金さえあればタスポなんていらない時代。
 最初のタバコを吸いこんだ時の高揚感。
 格好つけたがりの少年は大人との境界 ....
 解放の日、森に朝霧流れ、緑の木々が薄青に沁みている。
 貴方の透き通った声が森に響き、鳥たちは讃美歌を歌っている。
 まったく突然に新しき日々が訪れた。
 それは過去を失った人々にも同じ事 ....
 サーカスが去って行く。
 ネルソン坊やが月に向かって口笛を吹く。
 ジェームズ夫妻は互いを罵り合う事で生への愉悦を感じている。
 駄馬が一頭、自分の運命も気にせずに草を食んでいる。

 ....
 山の麓の小さな村に今年も初夏がやってくる。
 黄昏時の老人が野菜を背中にしょっている。
 雁の群れが西の空に飛んでゆくのを目で追うと、
 彼方の空には一番星が瞬いている。

 憧れの初 ....
 揺れる心を歌うには夜がいい。
 闇鳥のハミングなど求めはしないが、
 自分の影法師が闇に沈む時
 初めて人は自分探しの旅に出る。

 色々な人や物に出会う旅。
 惑いの日々はやがて過 ....
 白い景色の中で回るメリーゴーランドに人はいない。
 何かの気配を感じる朝はいつもより濃い目の珈琲を飲む。
 人工的な村は閑散として涼しげだ。
 そして私は今日もまた何かに迫られて過ごすのだ ....
 海を見ていた。
 港を行き交う人々の足音を聞いていた。
 岸壁に寄せる波の音に海鳥たちの鳴き声がかき消されてゆく。
 視覚よりも聴覚が敏感なそんな午後だった。

 海の色は藍色。
  ....
 自由を求めて彷徨う魂は蛍。
 夜の神秘を嗅ぎ分けて、集まる。
 静けさの中にちらちらと煌く光は
 あらゆる煩悩を消してゆく。

 今ここに在る事の意味を考える者は
 光に頼りを探し、 ....
 黄緑色の日輪が大地を包む朝。
 夢を見る人々の衣は虹色で、頭上の天使は
 煌びやかな金粉を撒いている。
 祈りよ、天に届け。

 流転の中で千変万化する魂は
 一輪の花によって極まれ ....
 整いすぎた言の葉に揺れる心は幼くて
 何を何の為に信じるのかすら分からなくなる。
 今日の夕暮れは冗長だ。
 そのうち私は僕になる。

 さなぎが蝶になる季節。
 過去の不幸を乗り越 ....
 オレンジ色の世界が僕に優しい。
 季節の抜け殻が道路脇に溜まっている。
 それは次の季節に託した遺言のようで。
 澱んだ色に鮮烈なオレンジが溶けてゆく。

 僕には悲しみを持つ権利もな ....
 散りゆく桜に想いを寄せて書き下す一編の詩。
 夢に刻まれる走馬燈。
 愛をそれと気付かずに駆け抜けた青春。
 後悔の後の懺悔を心はどう捕らえようか。

 恍惚と愉楽の両翼にまやかしの日 ....
 白樺の林を抜けるととても小さな家がある。
 初めて出会った僕らはそこで小さな約束をした。
 暖かくなったらまた会おう。
 毎年初夏になったらまた会おう。

 三度目の初夏僕は彼女にプロ ....
 時が静かに化粧をして私に迫ってくる。
 時の誘惑は川沿いに咲く桜のように美しい。
 誘惑を美しいと捉える心は不純であろうか。
 年を追う毎に時の魅惑に囚われてゆく。

 一瞬で燃え盛る ....
 頭の内側から幾つもの瞳が僕の心を覗こうとしている。
 激しい頭痛は時の行方を激しく見つめている。
 これは夢であろうか。
 僕には火炙りにされた女の姿が見える。

 今ここに生きる事に ....
 真昼に地を這いまわるいくつもの影を私は踏めずにいた。
 流れゆく時までも私のせいで歪めてしまうかもしれない。
 私の病はすんでのところで踏みとどまっている。
 消えない記憶は墓場まで持って ....
 西日の差す窓から遥か遠方の山々を望む。
 白く輝く飛行機雲を眺め、彼方に飛び去る鳥たちを見つめる。
 視線は常に前方を向いている。
 彼らの優しさを感じ、ゆっくりと目を閉じる。

 す ....
 銀色の雨が音もなく降っている。
 テラス越しに見る常緑樹の緑は鮮やかで、
 一日の予感は謎めいている。
 
 雲に覆われた空は以前読んだロシア文学のようだ。
 テラスに置かれた二脚の白 ....
ヒヤシンス(425)
タイトル カテゴリ Point 日付
自由詩2*17/8/14 2:35
夢幻自由詩3*17/8/12 6:48
形象自由詩4*17/8/4 7:10
黄昏時自由詩4*17/7/29 6:39
吹く風に自由詩4*17/7/25 9:30
獲物の狩人自由詩2*17/7/22 4:27
夜の独り言自由詩2*17/7/22 4:01
薔薇自由詩1*17/7/22 3:39
素晴らしき朝自由詩4*17/7/15 6:54
沈黙の海自由詩5*17/7/15 5:21
流転自由詩2*17/7/8 3:51
邪心自由詩5*17/7/8 3:06
永遠の夜自由詩5*17/7/1 7:03
解放の日自由詩6*17/6/24 7:03
サーカス自由詩5*17/6/17 2:56
初夏に。自由詩6*17/6/10 7:01
ジンジャーエールを飲みながら。自由詩5*17/6/3 6:56
無題自由詩9*17/5/28 7:28
憂鬱自由詩6*17/5/20 6:40
魂を繋ぐ者自由詩5*17/5/13 5:31
サクヤ自由詩3*17/5/6 7:19
五月の少年自由詩3*17/4/29 6:12
夕方の癖自由詩4*17/4/15 6:01
自由詩3*17/4/8 6:03
大きな幸せ自由詩2*17/4/1 6:06
時の化粧自由詩5*17/3/25 5:14
時の行方自由詩2*17/3/25 4:24
時の心自由詩1*17/3/25 3:54
美、夕暮れ時の唄自由詩3*17/3/18 4:10
週の半ば頃自由詩3*17/3/18 3:09

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