映える緑の並木道をゆくと教会がある。
 尖塔が銀色に輝き、裏手を流れる川のせせらぎが聞こえる。
 数知れぬ魂の鼓動は木の十字架の前で私を探している。
 まるで異国の者を探るような眼差しで。 ....
 朝焼けが目に染みる。
 夜の魔法がゆっくりと溶けてゆく中、
 寝ぼけた国道がやけに青白い。
 心にゆとりがあるようだ。

 夜と朝の境目の時間。
 僕は一人車を走らせる。
 バイク ....
 頭の内側から小さな手が生えて
 目の玉を内側からひっくり返す。
 黒目が僕の脳内を観察している。
 まだ手遅れではない。

 頭の一部分を小さな手が刺激する。
 耳の奥からがさごそ音 ....
 届いた風の便りに耳を傾けると冬の音色がした。
 煤けた樅の木に電飾が灯った。
 静かなメロディーが部屋中に染み渡った。
 心の状態に合わせて蝋燭が揺れていた。

 窓の外は雪だった。
 ....
 黒い指先でノートに描く空想は踊る。
 悲しみのインク、苦しさのインクはすぐに消えた。
 快楽のインク、喜びのインクだけがノートに刻まれる。
 夜は静かに更けてゆく。

 ノートに綴った ....
 異教の里で出会ったのは魂の遍歴だった。
 彼や彼女が生まれ、死に、そして生まれた。
 前世の記憶が正しければ、私はハーブ売りで彼女はほんの少女だった。
 そして二人でいびつな小窓から覗いた ....
 ため息交じりの朝、風はそよぎ、鳥は歌う。
 ベランダに用意されたささやかな食事。
 葉を落とした木々が静かな影を落としている。
 すべてが謙虚な幸せに包まれている。

 注がれた珈琲に ....
 午前のアトリエに光は射し、人はいない。
 淡いキャンバスに薄くデッサンが描かれている。
 海だ。
 透明で純粋な世界がそこにあった。

 時間と空間の概念をその筆に携えて、
 その海 ....
 村のはずれの小さな宿で彼の残したシベリウスを聴いていた。
 作品75の5、樅の木。
 流れるようなその旋律に眩暈を覚える。
 まるで夢のように去っていった彼みたいに。

 夕暮れの中、 ....
 人はそれぞれ心に悲しみを持っている。
 でもさ、くよくよするなよ。
 明日は必ずやって来るんだから。
 
 もしかしたらあなたは今人生のどん底かもしれない。
 でもさ、くよくよするなよ ....
 物思いに耽るあなたの横顔は美しい。
 優しさの奥に深い悲しみが見える。
 寂しい思いをさせていたならごめんね。
 ただ寄り添うだけの私を許してね。

 遥かに広がる大海原にカモメが戯れ ....
 あの日、貴方が見せた笑顔は優しさそのものだった。
 あの日、貴方が零した涙は悲しみそのものだった。
 あの日、貴方が褒めた私は嘘そのものだった。
 あの日、貴方がくれた温もりに気付けなかっ ....
 窓辺に花が咲いている。
 そっと静かに祈りを捧げる。
 祈りとは願いの最上級。
 花はじっと沈黙して私の願いを叶えてくれる。

 窓辺に花が咲いている。
 時は輝きを放ち、移ろう。
 ....
 晩秋の高原に吹く風が肌に冷たい。
 今は昔の心をもって現実を生きている。
 求める事も縋る事すら許されない。
 寂しさは明けては暮れてゆくものだ。

 退きながら遠景を見ている。
  ....
 閉ざされている。
 この窓も、どの窓も。
 ・・・城門も。
 あの森の教会の扉も?

 閉ざされている。
 パリの冬も。
 ニューヨークの夜も。
 もしかしたら私の心も?

 ....
 秋の夕暮れ、お寺の境内でようやく歩き始めた小さな君が笑っている。
 空の彼方に雁の群れが飛んでゆく。
 秋の夕空は私の感情に似ている。
 どうしようもなく弱いくせに明日に希望を託している。
 ....
 よく晴れた日、木の下に立って空を見上げる。
 くたびれた木の葉が太陽の光を受けてオレンジ色に透けていた。
 これほど美しい情景があろうか。
 溢れた感情がフレームに収まり切れずシャッターは ....
 黄昏は鮮やかにそして静かに去っていった。
 闇を目の前にして心はざわついた。
 木の実が落ちた。
 ピアノが鳴った。

 心の暴動だ。
 目の玉が飛び出たがへその緒みたいなやつで体と ....
 優しさ溢れるその丘で、流れゆく雲を見ている。
 草の上に寝転がって思い切り深呼吸。
 緑の匂い。小さな花の匂い。澄み切った空気の匂い。
 今の僕は寂しくないよ。
 あなたの背中を追いかけ ....
寝起きに熱いココアを一杯、これから朝を迎えます。
あなたに吹く風を私にも分けてもらえませんか。
春の嵐のような昨日をすーっと忘れてしまいたいのです。
 
雲の多い朝ですね。
 ....
 多摩南野に吹く風が透明度を増してゆく。
 秋が季節の扉を開ける。
 時の歩みに歩幅を揃えると、
 あっという間に歳をとる。

 嬉しい時、私は笑う。
 悲しい時、私は泣く。
 楽し ....
 早朝の森で思いがけず、たった今闇を超えてきたばかりの光と出会った。
 昨晩の雨で緑はいっそう鮮やかに輝き、濃い匂いが辺り一面漂っていた。
 貴方の散歩道を熟知していた私は先回りをしていつもの ....
 ほんの少しの願望に疲れを感じる昼下がり。
 九月の雨は遠く憂いを含んでいる。
 彷徨う人は彷徨い、佇む人は佇み。
 寂しがり屋の誰かの心は僕を郷愁に誘う。

 非日常の中に日常を見つけ ....
 
 夕暮れ、時は奏で、美酒に酔う。
 天空のカーテンは降ろされ、夜が舞う。
 見つめる瞳に、内なるものは恐れ、
 夜空の瞬きは、最期の光を大地に落とす。
 崩れかけた古城のほとりでは、子供 ....
 夏の日差しが音を立てて崩れてゆく。
 音楽は鳴り続けていた。
 誰かの後ろに隠れているのは誰?
 曇天は私の心模様に似ている。

 誰かの奏でる音楽に耳を澄ませていた。
 時折見せる ....
 意識と無意識との狭間で郭公が啼いている。
 青い円柱に気配を感じると、不思議なサークルだ。
 闇は薄くなり、密かに青みを帯びて、やがて黄色く変化する。
 私が彷徨っているのは今此処である。 ....
 茶色い瞳のその奥に青い瞳が眠っている。
 揺り籠から墓場まで、漂い人は驢馬に跨り町を出て、
 二度と同じ場所に帰る事は無い。
 天上へと続く道も途中で途切れている。

 ならば進もう、 ....
 海を見ていた。
 あなたと私の隔たりをどうしたら埋められるのか考えていた。
 夢にあなたが現れてその時は号泣していたのに
 朝目が覚めてみると枕はほんの少し滲みているばかり。

 海は ....
 深い眠りに就く前にお前の笑顔をもう一度見たい。
 お前の笑顔は私と子供とを優しくさせる。
 たった一度の夜に訪れる魔法の力。
 さあ、私らに笑顔を見せておくれ。

 お前は病床で安らか ....
 見知らぬ空が今日もやって来る。
 貴方は暖炉の前で歌を唄い、私はキャンバスの前で筆を握っている。
 ささやかな想いはカーテンの隙間から顔を覗かせ、
 私の下手くそな口笛を笑っている。

 ....
ヒヤシンス(425)
タイトル カテゴリ Point 日付
映える緑の自由詩4*18/1/13 5:21
朝焼けが。自由詩3*18/1/6 4:42
未来自由詩2*17/12/29 6:15
夜の歌。自由詩3*17/12/23 4:21
黒い指先~夜に。自由詩4*17/12/9 4:53
遍歴綴り~午後に。自由詩5*17/12/9 4:26
巡る心~朝に。自由詩3*17/12/9 3:56
午前のアトリエ自由詩6*17/12/2 4:19
樅の木自由詩1*17/11/25 7:33
くよくよするなよ自由詩017/11/25 3:53
二人一緒に自由詩2*17/11/18 4:31
あの日自由詩3*17/11/18 4:09
時の輝き自由詩1*17/11/18 3:35
晩秋の高原自由詩4*17/11/11 6:18
閉ざされたもの自由詩5*17/11/4 5:06
逃避自由詩4*17/10/28 4:26
秋の名残り自由詩8*17/10/28 3:39
、、、自由詩3*17/10/21 5:01
自由詩2*17/10/21 4:26
朝メール自由詩8*17/10/14 8:25
平凡な詩自由詩6*17/10/7 7:01
朝の幻想自由詩5*17/9/23 7:34
九月の雨自由詩5*17/9/23 6:15
新しき夜明け自由詩3*17/9/16 6:19
夏の日差しが自由詩5*17/8/26 4:32
変態サークル自由詩3*17/8/19 6:04
手記より自由詩3*17/8/19 5:17
海を見ていた自由詩3*17/8/19 4:19
一日の祈り自由詩9*17/8/14 4:01
見知らぬ空が自由詩1*17/8/14 3:27

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