吸血鬼は
何百年もの間
そうやって生きてきた

それが
普通だと思っていたから


でも
ある時その吸血鬼は
考えた

「このままでいいのかな、俺。
恋もできないし、健康 ....
「タンバリンをね
買おうと思っているのよ

できれば
きれいな色がいいわ
菜の花色の黄色とか
桃の花のようなピンクとか

ターンターンって
飛び跳ねるような音が鳴ってね
パリョーン ....
雨が雪に変わってロマンティックな夜になる
という歌があったような気がする

北陸の片田舎の雨は冷たい
 
昨日から続いた雪が
遅い朝には
雨に変わった

ワイパー越しに見える女子 ....
故郷へ帰る

山の腹の中へ入っていくように
いくつものトンネルを抜けて
向こうに見える山の
まだ
向こうへ

そこで
私は生まれた

山に沈む夕日を見る
小さな川の土 ....
時々
私の手のひらから
生まれてくるもの

最初は小さな涙
ぬれてる感じがして
よく見ると
小さな水の欠片があふれていた
手のひらを拭いても次から次へと
出てきた
それを見ていた ....
羽のついたボールが
キャッ、キャッ
といいながら落ちてきた

「ほらね僕にだって飛べるんだ
鳥になったんだよ」



「あのね、それは飛んでるんじゃなくて
落ちてるのよ。 ....
死んだように
眠る私を置いて
私は遠くへ
うつろうままに

残された私のまぶたに映るのは
羊水の中から確かに
こちらを見ている何か

それは意思をもって
眠る私のまぶたに
朱 ....
つけっぱなしのテレビから
何の音もしなくなって

それでも
こうして眠らずにいる

何かが
始まるかもしれない



もっと
違うように

もっと
力強く
 ....
怖い

夕闇が迫ってくる気がして
オレンジとグレーの空の下
時々振り向く

何かが追いかけてくる

私には時間は止められない
振り向いても
何も止められない

私の背中を ....
写真の中には
シマウマがいた

写真をとったら
あの人はシマウマになった

シマウマの飼い方を私は知らない
せめて
ロバとかポニーだったらいいのに
町並みにもなじむかもしれない
 ....
「薬を飲み忘れたわ!帰らないと」

マンボウを見に
水族館へ行こうと
誘ったのは彼女の方だったのに
家を出てすぐ言った

「どこが悪いの?」
「知らないわ、生まれてからずっと飲んで ....
あたらしい朝がきた
希望の朝だ

夏休み3日目
寝ぼけた目をこすりながら
ラジオ体操

   喜びに胸をひらけ
   大空あおげ

  「おはようごさ ....
ロープで
グルグル
縛られて
草原に捨てられた

見渡す
地平線
沈む太陽
赤く
照らす
唇から

もうすぐ


ちょっと
 歌ってみようかな
 久しぶりに ....
僕の家は
山を切り崩して立てられた新興住宅地
昔はベッドタウンとして高値で売られていたけれど
今は値崩れして
半値以下だ

僕の家の
となりでは
鬼が数匹、共同生活している
ルームシ ....
緑色の蛇になった私の左手は
悪魔に魂を売り渡そうと
日々 画策している

私の目を盗んでは
悪魔の行方を捜し回っている

赤く先の割れた舌をちょろちょろと出しながら
夜な夜な
徘徊す ....
母が死んだ

夢を見た


病院でオムツをしながらも
うまい物が食べたいと叫ぶのが
私の母であることは間違いない

自分のことしか眼中になく
子供の声がテレビの雑音にかき消されてい ....
黒いシャツにズボンじゃなくてスラックスをはいた
あどけなさの残る女の子は
中学生くらい
うつむいて
診察室から出てきた
お父さんは座る場所を探していた

女の子は体とは不釣合いに
幼児 ....
また

飲み込んでしまった

そして、

私はガラスのコップを握り締めたまま叩きつける
一つ
二つ
三つ
四つ
五つ
家族の数だけ


血だらけの手で
私はあたりかまわ ....
私の口から
猫が生まれる
喉の奥にひっかかって
息苦しい

気付いていたのだけれど
最初それは
小指の先ほどの石だった

幸せな日常を過ごすたびに
大きくなって
ある日
喉まで ....
 そのむかし、とーっても若かった頃、何を血迷ったのか「仲間を作ろう!」と決心したことがあった。「やっぱり仲間といえばバーベキューよね」と数少ない友人に頼み込み、仲間集めをしてもらった。私はとても頑張っ .... 私の腋が臭いのは
あなたのせいじゃないのよ

あなたの腋が臭いのは
私のせいじゃないのよ

ねえ、
そうでしょ、
そうでしょ

足の形がいびつなことだって
うっすら頭がはげている ....
はっと、
目を覚ますと
ベッドの足元に
等身大のアンパンマンがいた
といっても
実物を見るのは初めてだったから
それが等身大なのかどうか
本当のところはわからない
つやつやのほっぺ
 ....
その男は
ひたすらに詩を書き続けた
何も求めず
ただ書き続けた
詩を書くのと同じように
酒を飲み続けた
肴など必要とせず
ただ飲み続けた
血を吐いては飲み続け
罵倒されては書き続け
 ....
私は委員長だけど
黒い服を着た
嫌われ者
黒い服は目印
でも、空がピンクに見えるわけではないの

ごめんね
もう誰の声も聞こえない
いつも
色んな音がいっぺんに耳の中に突入してくる
 ....
オレンジ色のワンピースを着て
散歩に行こう
目的はないけれど
一緒に行こう

あなたは

「心が血でいっぱいだ」

と書いていた

あなたの目に空が何色に写るのか
私の顔がどん ....
桜並木の堤防沿いの道
一人の少年が走っていく
後姿にすばらしく
映画のような櫻吹雪

「少年よ!走っていけ!」

見送る私の後ろから
初老の男が叫ぶ
振り向く私に

「言っちゃ悪 ....
病院の待合室で
子供をお利口にするための薬を
待ちながら
私はどんどん小さくなって
周りがどんどん大きくなって
それとも私が透明になっているのか
どちらかはわからないけれど
私の存在 ....
真っ白
頭の中

言葉になるだろうことが
あるはずだけど

たとえば
あなたを心から愛しているとか
あなたを心底、憎んでいるとか

でも
それは
「ヴィンテージカー専門ショップ ....
便所の少し湿った床を
のた打ち回る
吐き気を抑えて
私は
言葉にならない
叫びをあげながら

「心を返せ」

冷たい床
薄汚れた染み
薄暗い便所の中で

喉の奥にあるはずの
 ....
ふにゃふにゃと
スローモーションで歩いてきた女の人は
いつも穏やかに笑っている友達
「こんにちは」
ふわふわと歩いていった彼女は
ちょっと上等な画用紙くらいの厚みしかなかった

辺りを見 ....
初代ドリンク嬢(96)
タイトル カテゴリ Point 日付
努力家の吸血鬼自由詩5*06/4/10 11:12
踊り子タンバリン自由詩9+*06/1/19 21:35
濁ったグレーの保護色自由詩4*06/1/7 16:50
故郷へ帰る未詩・独白3*05/12/13 11:30
いつも手を握り締めて歩くことにしている自由詩6*05/12/2 13:25
なんでもできるはずだけど自由詩6*05/11/14 15:17
それは今夜見る夢自由詩6*05/10/16 17:09
ここじゃなくてあなたのところ自由詩5*05/10/6 13:52
知らない・・・未詩・独白9*05/9/16 13:18
幸福な妄想自由詩10*05/9/7 21:36
忘れんぼうの水族館自由詩10*05/8/26 10:48
面倒くさい夏休み自由詩8*05/8/20 18:38
グルグル/喰われかけの小動物になって自由詩4*05/7/29 22:42
となりの鬼が島自由詩5*05/7/27 23:21
不実な肉自由詩10*05/7/13 21:40
BGM自由詩5*05/6/22 23:27
静かな風景未詩・独白5*05/6/1 23:04
その破片が私の目に刺さればいいのに未詩・独白3*05/6/1 22:19
台所にはシリアルとかつお節とコーヒー豆が散乱していた自由詩2*05/5/28 0:10
私はバーベキューが嫌いです未詩・独白5*05/5/23 23:53
世界の総てを知っているように自由詩2*05/5/3 14:22
拒絶された切れ端自由詩13*05/4/14 20:58
名もなき詩を書く男の最後自由詩7*05/4/7 12:21
だって、心が血でいっぱいだから自由詩3*05/3/26 0:50
心が血でいっぱいだ自由詩7*05/3/26 0:23
父や、母が死んでも走り続けろ!自由詩4*05/3/7 22:42
なんてことない一日自由詩8*05/3/1 23:19
何にもない重さ自由詩7*05/2/24 22:38
そして、私は鏡に向かって笑う自由詩6*05/2/17 14:48
猥雑な日々自由詩4*05/2/17 0:42

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