キャベツむくとき
裏がわの水分があるでしょう
それをすくいとるように
いつも触れてくれた
あなた
晴れわたるほど影は濃く
それにかくれて口づけた

陽のもとでなく
影の落ちる場所に恋はあったね
ながい柵があり
(たとえばそれは
夜だったり朝だったり
場所だったり人だったり
あるいは思想だったりするけれども)
ともかくながい柵があり

内側というのは
どちらですか

檻 ....
きのうは
鯛や牛肉をたべ
上等の酒をのみ
なめらかな衣服で
わらっていた
わたしが
三秒に一回
情事を思い出すことが
いけなかったとは
思わないけど
その考えが
救済のように思え ....
おどろくほど小さな空間におさめられているわたしの心臓
鞄ひとつの荷物も滑稽におもえるほどに

それが
あなたの腕のうちにあって
はじめて機能するなんて

わたしがいつでも捨ててもいい ....
扉を開けると夏が直角に立っている午前。

明石を経ち、埼玉を経て岩手へ、の途中で気仙沼に寄り、盛岡を折り返し仙台を通りまた埼玉へ帰って来た。明日また明石へ帰る。新幹線で。夫と。行きよりも増えた荷物 ....
たぶんあのとき
奪って逃げなかったのが
答えだった
ぼくのなかの
ぼくたちの
晴れた日で
季節が傾いて花は咲いていた


たぶんあのとき
立ちすくんだことが
答えだった
わ ....
梅干の転がる先の卵焼き

群青の布引いて気持ちだけ海

雨の日の青菜は少しだけ薄味

のり弁の日はいつもよりいいお茶で

蓋をするときのひそかな緊張感
影の濃くなる季節には男物のシャツを着て立っていた君

アスファルトさえ色づいて騒がしいから両の耳ふさぎたくなる

日に一個積む諦めの白々しくかがやく三百六十個目
いまでも死にたくなるけど
それにはそれなりの元気がいる
動脈を切るのも、錠剤を用意するのも、ロープをかける梁をみつけるのも
けっこうな重労働だ
死にたいひとは死ねばいいよ
応援しないけど ....
むかし
愛されたら世界が変わるとおもっていた

愛し合うのは
ひとつになることだとおもっていた

でもぜんぜんちがった
愛されるのは
自分は世界にひとりしかいないと思い知ることだっ ....
自分とはぜんぜん似ていないものを あつめて暮らす 花とか夢とか ちか道を知っているけどおしえない 君との時間が縮まるようで

はえ際に濡れるうぶ毛を ひそやかなものにたとえる ばれないように

百年が経てば僕たちも街も無くなることだし 遠まわりしよう

 ....
ドーナツの 真ん中の食べかたを
かれは知っていたよ

そんなところが
たまらなく 好きだった
あなたを手に入れようとおもったら
あなたの妻や
あなたの妻の膨れたおなかも手に入れようとしなきゃならない

それも、
手に入れられるかどうかはわからないままに

あなたが慈しむあなた ....
なんでも持っているひとっていいよね。
と、友人が言うので、
たしかにそうかもしれないけど、なんでも持っているひとを見たことがない。
と、返した。そうしたら、
あなたは、なんでも持っているじゃな ....
魚焼き網と食器桶をハイターに漬けて、便器とあらゆる排水溝にそれ用の洗剤を流し込む間に、うちじゅうの床を拭く。鏡とテレビとパソコンの埃を柔らかい乾いた布で磨いたあとで、便器とあらゆる排水溝とハイター .... ひとりじめする贅沢と
分け合える幸福

ナナ、ぼくたちは、
ひとりでは幸福になりにくいみたいだから

壁の白さに飽きたら
青空のしたに降りといで

ナナ、
世界は用意されて ....
グレープフルーツ搾るなら
男の子つれてきたってだめよ
女の子を抱くような強さでね
って
言ってもわからないでしょう?
カレーにかびが
ういていたので
かきまわして食べた

わたしは
いったい
どのくらいのかびで
出来ているのだろう
セックスのあと
べたべたしたキスをくれる男よりも
冷えたビールを寄越す男のほうが好き
もしそれが
火傷しそうに香るコーヒーだったら
きっと愛してしまう

セックスの前に
愛を口にする男 ....
靴はかるくて
空は青色
人もまばらな
枯れた海辺で

飴玉がわりの太陽を
半分こして舐めながら
横切る不幸を指差して

かなしい色を
指にともして
柔らかい絵を
ふたりで描 ....
いくつもの賭けをした

あの坂道を
はやくのぼりきった方が勝ちだ
瓶入りのコーラを賭けて

角の犬に吠えられたら負け
一杯の牛丼を賭けて

先に恋人のできたほうが勝ちね
きれい ....
何度もおもいだす
何度も何度もくりかえし
手首のあたりにあるうすい火傷のあと
ささくれた働き者の指
左がわの耳たぶに指すピアス
くるぶしの刺青
うすい無精髭。

(わたしはむかしあなた ....
真昼間に
なんの不満もなく
とつ然死にたくなるんだ

晴れた日に
ささやかな痛みをいつも
道端に捨てているんだ

ごみ箱には
いつもそんな取るに足らない悪意が紛れているんだ

 ....
くみふせて あせばんだのち からからに かわいたのどに すべる液体

ささくれてささる六畳 古畳 色の移りは 抱き合うかたち

ため息はしめる身体を押し出して 指の先までしずかに浸して
 ....
根腐れの根だけ残して摘み取られ 花だけを見て「咲く」を愛でられ どうして気がつかなかったんだろう
わたしたちはおなじものじゃなかったのに

溶けるほどちかくにいたのに
なんで気がつかなかったんだろう
それが恋なら
わたしがあなたじゃないことくらい
 ....
16時から仕事のきみには
10時半は夜中の3時

まばらな髭と
からまるシーツ
ぜんぜん正しくない場所で
持たない同士で
持ち寄らず
なんにも奪わず
抱き合った

夜がくるの ....
今日が終わる前に
きっと逃がしてあげる

飼い殺した卵も
腐った根っこも
もう気にしなくていいんだよ

わたしが逃がしてあげるから
見えない遠くまで走って行ってね

いつも
 ....
はるな(1734)
タイトル カテゴリ Point 日付
あなた自由詩311/7/23 14:01
快晴自由詩411/7/23 13:56
インタラクティブ自由詩1111/7/21 12:52
安泰自由詩311/7/19 2:14
心臓自由詩111/7/19 2:05
前日のこと[group]散文(批評 ...411/7/19 0:22
たぶんそれが自由詩211/7/15 1:19
弁当箱と川柳511/7/14 21:23
もういないのに[group]短歌111/7/14 13:49
バージン2自由詩111/7/13 17:00
バージン自由詩611/7/13 16:57
生活[group]短歌611/7/10 8:41
ちか道[group]短歌111/7/10 2:16
真ん中自由詩111/7/8 0:12
やりかた自由詩1+11/7/8 0:02
よく訓練されたウエイター自由詩611/7/5 18:44
捨てるのこと[group]散文(批評 ...511/7/5 18:23
分け合う自由詩311/7/5 16:10
ジュース自由詩011/7/4 2:44
かび自由詩411/6/29 21:01
愛とか自由詩511/6/28 16:00
空は青色自由詩411/6/28 15:48
坂道自由詩511/6/27 0:31
肋骨自由詩111/6/24 11:24
真昼自由詩211/6/24 10:54
液体[group]短歌211/6/21 22:14
根腐[group]短歌211/6/21 22:05
32日自由詩211/6/21 16:32
ぜんぜん正しくない二人自由詩711/6/21 0:10
助走自由詩111/6/20 23:55

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