かけおちだというのに
きみは鞄いっぱいに猫をつめてきた
折れそうに細い指を赤くしながら

地下街でのむビールは
すこしだけ甘い気がする。
そう言って靴を脱いで
もうここでもいいかあ、 ....
いまからじゃおそすぎるねと笑うから
星は落ちるし 僕も落ちるし
 
清潔な指のあいだで跳ねる闇
わたしはたぶん すべて失う
光から溢れ散ばる蜜の束 あの子の耳を少しゆらした

手をとめて見てほら部屋の隅にある 打ち明け話のなれのはて
あなたは長い間わたしの神様だったように思う。たまに来て笑って、ちょっと触ってくれる神様。見るたびに薄く透けるようになって、最後には滴る水になった。いまは、そして「あなた」という言葉になった。
ど ....
たぶん、文字に本当に重さがあって、わたしのなかにあるのだ。
文字が体のなかにないとき、軽くて、食べる必要がある。
あんまり文字が多すぎるとき、ものを食べられない。

人参を刻んで、夜な ....
つぶれるような思いで
たどりつくと
あなたはすでに
水になってしまっていた
流れていくので
じきに川になり
いつかは海にもなるだろう

ここはまだ高いのだ
流れていく先がある ....
なんにでもバターをつけるきみのくせ
そしてわたしは蝶を見つける
からだに良い毒と
わるい本当をひと匙ずつ
掬って舐めたら昏倒だ

他人の言葉で計る幸福
焼き切れない過去
最後の合図の前に
甘い
嘘をついてくれよ
わーい春のさかさま
黄色い花を摘む
卵を買いに行って
転んで帰ってくる

いつかまたここに来ようねって
言ったそばから消えて行った
ちいさく、ずるい人たち

どんな歌も届かないよ ....
遠くまで来たねと言うが それは嘘
散々愛して 行止まりだよ
底なしに冷えるからだとしゃぼん玉 愛されながら 高く飛べずに 欠けたようなよろこびが
胸におちるたび
あなたのかたちになってへこみました

愛だと言い切ればよかったね
宙にうかべたまま
少しずつすりへって
もう見えないのにここにある気持でい ....
たしかな春の日差しを得ました。土曜日、風は必要以上につめたく、でもそれよりも空気のなかに溶けている季節がしきりに春を叫びます。わたしたちは指先をひんやりに染めながら、ねえねえ来たよね、これだよね、と笑 .... 発せられた愛が受容されるまでに変質するってことだろうか
降る雪がしだいに霙になるように
ふつうの家に住みたかった
屋根があって壁があって少しあたたかくて
窓があって扉があって好きなときに出 ....
メレンゲの夜
それはそうだ、
固まってしまう

色の無い刺繍糸で
編みこんでいく
君の体は
気持を置いて
でていってしまった

ここにあったのは
変色した果物
片方しかない手袋 ....
また体の向こうがわで文字が跳ねている。戻っておいで、戻っておいでって思いながら見つめていると溶けて行ってしまう。さきに起きた娘が炭酸水をのみながら、まだ眠ってていーんだよ、と言う。やさしい。朝から .... 明日になれば休みだから、汚れた布を洗うこともできるし、床を磨くこともできるし、冷蔵庫で賞味期限を切らせつつあるあれあそれをいっぺんに捨てることもできる。捨てることができる…って思うのは確実な希望。ここ .... ところで
説明のつく恋などないのだと
言ったところで理解しない
あなたのかわいい肌から放たれる熱をまにうけながら
生まれ変わったら 工場になろう
と思う
頑健な 灰色の
工場にな ....
蜂蜜をなめて凌いだ一日のうち30分だけ陽が当たる床で すこんと抜ければよかったものを、しぶといかさぶたみたいにしがみついてきたない。そういう蓋、風向きでいくらでも変わる。わあわあ言いながら、生活していかなければならないとおもったから。自分の足で立って、立 .... すみれの日あなたは今もそこにいて横断歩道を渡らない

右岸には青い鳥がいて左岸には神様が居る 私ふやける

だれだって皮膚を剥いたら一緒でしょ いいえあなたの骨はとくべつ
この眠りは
右往左往して
うまれた震えが
体の向こう側で
言葉になる それが
びしょびしょに吐き出され
それから永く忘れられ
眠りのなかでもう一度震えると
詩は そこにいて
 ....
まだ植物の世話はできていますか、と医師が言うのではいと答える、じゃあそういう喜びは感じるのですねと彼はまた言う、喜びですか、喜びを感じます、でも枯らしたらいけないと思って…と言うと医師はすぐさまパ .... 冷えていくストーブ
無い言葉
缶の羊

音のないテレビに
二拍遅れの字幕が流れていく

違うこれは
生活ではない
と思う
けれども
校庭のいちばん端、フェンスのところにはノブドウとヘクソカズラが生えてた。ノブドウはとくに実がきれいなので特別に思ってた。裏庭のどくだみが茂るところは一部分高くなってて、そこに立つとちょうど図工室が中ま .... おかしな箱だなと思ったところで目が覚める
わたしは眠っていたわけではなかったのだ
かわいいあの子がスカートにスープをかけられてるときや
足が遅くて詰られた子が来なくなったとき
集合時間 ....
わたしには、これが、生活なのか、感情なのか、問題なのか気の迷いなのかもうわからず、砦のように敷き詰めた綿の部屋で、あとからあとから湧いてくる埃を集めて捨てている。壊れた予測変換機能付きの思考、締ま .... あなたは林檎のかたちをした蜜柑です
濡れた皮を剥きながら
でも 必要だったのは
その 一つ分のくぼみだけでした
ふたが空いてしまう。
でも、鍵はしていなかった
おもたいふたでもなかったし、
あかない理由もなかったのだ。

蓋が開いてしまうと思う。
水がたくさん入っている。
それから間違えも入っ ....
はるな(1715)
タイトル カテゴリ Point 日付
文書グループ
ちりぬるを文書グループ24/4/4
日々のこと文書グループ24/3/26
メモ文書グループ24/3/26
手帳文書グループ12/3/13
投稿作品
地下街自由詩224/4/19 8:21
落下短歌024/4/17 20:08
清潔な指短歌224/4/17 20:05
蜜の束・うちあけ話短歌324/4/12 11:13
メモ(呪文)自由詩524/4/12 11:00
メモ散文(批評 ...324/4/5 10:03
水になってしまっていた自由詩324/4/4 19:05
バター、蝶[group]短歌124/4/1 10:46
自由詩224/3/30 6:06
さかさま自由詩424/3/26 12:03
行止まり[group]短歌324/3/24 21:43
しゃぼん玉[group]短歌324/3/22 11:12
よろこび自由詩624/3/19 13:47
メモ[group]散文(批評 ...324/3/11 10:27
自由詩524/2/26 6:29
メレンゲ自由詩624/2/20 10:43
メモ[group]散文(批評 ...524/2/19 14:35
地獄の日自由詩224/2/13 12:35
排熱自由詩524/2/9 11:56
[group]短歌024/1/31 11:55
メモ[group]散文(批評 ...224/1/29 14:22
すみれの日[group]短歌324/1/16 23:05
自由詩224/1/13 18:57
メモ[group]散文(批評 ...424/1/11 17:10
ストーブ自由詩123/12/26 14:58
りゅうのなみだ散文(批評 ...223/12/26 11:31
自由詩223/12/8 12:32
綿の部屋散文(批評 ...123/12/1 18:46
くぼみ自由詩323/11/16 21:55
メモ[group]散文(批評 ...523/11/13 21:22

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