かつてマコンドの村を生み出した老作家が、大きな時計草の中に封じられつつある。一年目の孤独が始まるのだ。それはラテンアメリカがもはや遠い場所ではなく、中国産鰻の蒲焼きがスーパーに並ぶことと同義だ。でも炭 .... 不毛な公会議が終わると午後六時。金曜の夜の十字軍の夜だ。乳と蜜の流れる丸ノ内線の出口付近から、開けドア。涙、流れても溢れ出ても小アジア。もう黄色い犬がドミノ牌を並べ始めているというのに、嗚呼、吾が妹よ .... 朝になればさらさらパウダーシートで確かめる
自分と世界との境界。
(大丈夫、まだどっちもあるよ)
でも鎖骨の窪みから急速に気化していくのは連続熱帯夜の更新情報だけで
臍の奥の奥にある、本当に持 ....
振替輸送で到着した古戦場で、両軍相まみえる。タンクトップに手拭い姿が官軍で、外部から見えない部位に刺青しているのが賊軍だ。どちらも同じように満腹で、同じように一円玉が不足している。だから緒戦はいつも通 .... 朝、は漏れるものなのだ。だからタリーズ珈琲の一番乗りは雀で、病人の君から食物を掠めていくのも厭わない。隣の席のアショーカ王がアイポッドで試聴しているのは「ファッキンよりバーキン」を連呼するヒップホップ .... 気球のごとき巨きな女がチワワを散歩させている。チワワにはスワロフスキー。アンバランスすぎて国民の信託が得られない。コバルトブルーのコバルトをレモンイエローのレモンで磨いたら亀裂が走るのかな。クエン酸回 .... 大学ノートの残り枚数から現実化する七月。缶コーラの飲み口からオレンジ色の液体を滴らせて、校庭から空へと引かれた石灰をコンバースで無造作に踏みにじっていく。もう草むしりをしないから、校庭の隅から雑草があ .... 念動する向こう1週間が始まる。月曜日、あなたはウオツカで傷口を消毒する。火曜日に市場でバラライカを購入する。水曜日に同志が来て、木曜日に同志が帰る。寒い金曜日にあなたはボルシチを煮込み、土曜日は四つ辻 .... 愛と勇気を家庭に置いてきた花粉症する男が、行きの電車で椅子取りゲーム。車内中ほどまで跳ね飛ばされて僕はもう餡の詰まった水死体だ。ナイフとフォークで食べてね。歯茎についた小豆の皮は舌でねぶり取ってね。眠 .... 水が緩む。木が緩む。みんな陽のあたるところから緩むんだ。まだ震えている部位だって多いのにね。櫻の樹の下に埋まっている御遺体にもかまわず、ポーラミュージアムアネックスの受付嬢は指関節を鳴らして勤務時間を .... 腕のいい冷気に薄く削ぎ落とされた耳はアイナメの刺身に似ている。こんなにも寒い日は、カーリングの石になって若い女の手から放たれたい。疑問符だらけの毎日なのに、芸術をどうのこう言う資格なんて。でもユーキャ .... 冬の朝の、真横から射し込む陽の光が好きだ。焦げのあるわかばのたい焼きが大好きだ。氷結した道路を覚束ない足取りで歩く通勤人たちの横で、限定生産のゲバルト棒にコラボブランドのタグを縫いつける。資金源は偽造 .... アビシニアンを飼うことについて想像をしてみる。水を運ぶエチオピア人の踵が、農園のブービートラップに触れる。用水路に落ちた1万円札。それは今朝妻が落としたもので、わが家の家計からは同じだけの損益が発生し .... 明けながら坂道を登っていく。右のポッケにはのどぐろの塩焼き。左のポッケには等身大のロブスター。ポケットを叩くと、天皇杯を掲げた男の声掛け事案がひとつ発生する。交代を告げられたブラジル人は、ロッカールー .... アラジンの石油ストーブを
幾度目かのオーバーホールに出しながら考える
うちらがセックスをしなくなった理由。
笑顔を依頼された
王が
各地を巡って
拮抗する賛成派と反対派の
籤によって定ま ....
自分が自分に戻るために
自分が作った王国を出て行く
そこには真夜中でも
一緒に起きていてくれる駱駝がいて
醜い蛙との生活のことは忘れられる

闊達な老人が
優先席の前で苦虫を潰している
 ....
そうやって家系図の片棒を担ぎながら
鳥貴族の新郎は
ようやくここまで歩いて来た

混迷の小仏トンネルも抜け
惨事の綾瀬バス停付近を横目に
時速4キロで迎えに来たのは
映画スクリーンのある ....
空に突き出た崖の上から
ジョイスの愛さなかった犬たちが
次々と転調する。

スタウトのげっぷが充満する塹壕で
マー油にまみれた銃器を担う不愉快
ケン・ローチのパンフレットが
一枚めくれて ....
膣のないパン屋と
バグだらけの牛乳屋を
定期券片手に往復するだけの日々。

こういう月の見えない夜には
機上の人になりたい。
福引き末等の赤い赤玉を
小枝と一緒に運ぶ小鳥の
白い機上の ....
今年になってやっと
我が家の底冷えのする土間に
ウミガラスが営巣した
すでに蓄えは底をついた
ぎりぎりのタイミング

かつては家族全員
障害者認定だったから
近所の一部マスコミからは
 ....
今年度も予算が余ったので
イトマキエイを舗装することになった
今年度の対象は
大水槽をゆったりと泳ぐ姿が人気の
瑛太くん

脱力系の測量士が
手際よく経緯儀を用いて
瑛太くんを測量 ....
6ヶ月と13日間、待って待って待ち続け
ようやく巡ってきた
太陽を借りる順番。
昼休み、
市の職員から職場に電話がかかってきたとき
黒犬の奴は本当にうれしそうで
その日の午後の得意先回りで ....
夕焼け空の下、
一本道。
見上げると、ひと群れの鳥たちが塒へ帰っていく
解けない最終定理を両手いっぱいに抱えて
夕餉のポテトサラダの匂い

紙をめくるのだけが速くなっていく毎日
でも少な ....
隊列からはぐれてもう一週間
伍長は毎夜、水面に映る星空を眺めている
炸裂した散弾のようなそれは、湖の底から仄かに浮かび上がってくるように見える
頭をかすめるのは去年のポークチョップのこと
半年 ....
カスタードの耕耘機が紫の戦場を掘り起こしていく
哀れな鉄兜に包まれた頭蓋骨を軋ませながら

ガチャ目の夜盗が畝の中から拾い上げるチョコレートは
蝕の下で飲む麦酒よりももっとほろ苦いのに
頭上 ....
 エルロイがひっそりと姿を消してから三ヵ月が経った。最初の二、三日はいつもの気まぐれで家に帰ってこないだけだと思っていた。だからなつきはたっぷりと餌を盛ったお気に入りの皿を、玄関の通用窓の前に置いてお .... 魚のすり身は、あじつみれと名付けられたときから、他の魚のすり身とは一線を画した。
味しみちくわぶと名付けられた魚のすり身は、もはやただのちくわぶとは違うのだった。
もともと静岡で食されていた魚のす ....
数年前、鰤岩石という名のお笑い芸人が
ユーラシア大陸をヒッチハイクで横断した

それを見て、時間と金をもてあました若者たちが
自分たちにも何かができるはずだと
次々と海外に飛び出して行ったが ....
スナフキンと寅さんが
旅先のホテルでダブルブッキン’した
それは旅行代理店の手違いによるものだった

そもそもふたりが一緒になったら
いけない理由なんてなかったけれども
幸いにも空き部屋が ....
もう何万回も木の上を見上げているけれど
マンゴーはまだ落ちる気配を見せない
時代遅れのカリプソなんて聴きながら
シオマネキと王様ゲームをして時間を潰してみる

マンゴーは歴史を溺れさせた人間 ....
シリ・カゲル(81)
タイトル カテゴリ Point 日付
文書グループ
あいうえお詩文書グループ11/11/30
投稿作品
イーストエンド【ツイート詩014】自由詩012/8/24 10:04
金曜の夜の十字軍【ツイート詩013】自由詩012/8/19 11:17
死んでレラ自由詩312/8/14 22:41
緒戦はいつも通り雨【ツイート詩012】自由詩112/8/12 16:33
掠奪雀【ツイート詩011】自由詩112/7/31 21:12
アンバランス【ツイート詩009】自由詩112/7/29 11:09
現実化する七月【ツイート詩008】自由詩012/7/25 22:11
1週間【ツイート詩007】自由詩012/7/23 21:58
電気羊は中吊り広告のアイドルを見て見ぬふりをする【ツイート詩 ...自由詩112/7/22 10:37
緩む【ツイート詩005】自由詩012/7/20 22:16
コインを探す旅【ツイート詩004】自由詩012/7/19 22:10
5人組のパルチザン【ツイート詩003】自由詩112/7/18 20:16
水を運ぶ【ツイート詩002】自由詩012/7/16 8:08
告天使の一月【ツイート詩001】自由詩012/7/15 22:34
王の突起物[group]自由詩111/11/30 23:04
バースデイ・イヴ自由詩211/11/17 22:29
鳥貴族の夜に自由詩111/11/13 22:40
クモ膜下のプルツー自由詩1*11/11/6 22:30
機上の人自由詩111/10/17 22:36
ウミガラス自由詩311/10/16 15:53
イトマキエイの舗装自由詩111/8/10 22:47
太陽を借りた黒犬自由詩3+11/8/2 18:43
オキリクダサイ自由詩211/6/15 22:53
ブリキの金魚自由詩310/4/20 22:13
耕耘機自由詩110/4/13 22:34
Petloss散文(批評 ...109/2/7 12:54
すり身の洗礼自由詩308/12/30 16:56
鰤岩石自由詩008/2/3 23:27
ダブルブッキン’自由詩007/5/2 22:42
マンゴーを待ちながら自由詩107/4/30 22:57

Home 次へ
1 2 3 
0.08sec.