病んだ子を抱いて薬師如来の前
割れたスピーカーから朝のラジオ体操
薔薇色の空に抱かれてソーダ水
紫陽花や嘘をつきたるタンブリン
紫陽花の街を横断する戦車
エコバック忘れ何も買わない
縁切り神社に俺の名前を書いた絵馬
食品サンプルを見ながら白米かきこんでいる
紫陽花を抱えて赤いハイヒール
紫陽花とともに濡れたる五重塔
紫陽花やお色直しにたつ新婦
ふたりの距離を測る定規の長さが足りない
指が忘れない電話番号現在使われておりません
花火の上がらぬ街に線香花火ポトリ
六道の辻を行き交う蛍かな
蛍火や松井冬子の描く犬
祖母と母と私と娘蛍の夜
一般病室に引っ越して窓が明るい
忠犬に黒歴史を掘り返されている
毎年エジソンを読んだ感想文
蛍火やGODZILLAの去りしあとの街
蛍の夜無人駅から一時間
光れない蛍飛び交う山の奥
突き返された合鍵が錆びついている
日曜日に会えない男がいて残暑厳しい
真夏の葬列めがけ雨雨雨
陽光に輝く植田水の神
雑草を抜いた植田のにごりかな
宿題のなき休日や植田澄む
ふたり並んで歩く道を守る
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