『可愛い人』

Busy busy busy
可愛い人が、いそいそとしている
私を二人足しても埋め合わせできない巨体をして尚
こんなに可愛い人は多分
この人を置いてこの世にはいない

 ....
洗面器に顔を近づける要領で
わたしは水面を覗き込んだ
ひんやりした柔らかい手がわたしの頬におかえりと言った
ぷくぷく…彼はそんな言葉でおかえりと言った

久しぶりの感覚だった
あなたの手は ....
あなたが読もうと試みたと言うので
私は言葉を繋ぎ合わせようとしています。
言葉は心とおんなじで上手く私の手の中に収まってはくれません。
あなたへ向かって心は駆けていきます。

だけども、途中 ....
  水面に垂らした絵具みたいに


水面に垂らした絵の具みたいに
ぼくらの想いは留まることなどないのだけれど
異なる2つの色がきれいに混じり合うみたいに
異なるぼくらの手と手が重なりあう内 ....
 僕の言葉からか それとも心からか干上がって
 或いは深い地底に沈み込んで
 もう二度とはほんとに笑ったりおどけたり心から手を伸ばしたりする自分には
 僕の時間が追いつかないとすっかり放念してい ....
人という字に
王冠を描き足して
「えへん」

咳払いさせてみても人はただの人です


偉ぶってみたところで
ぼくはただの文字です



ぼくの好きな人はとても偉い人です
 ....
ぼくの首に人知れずかかっている見えない時計の針は壊れていて
気づけば 四六時中
あなたのいる方角ばかりを示している
昼間の12時の時報でもないのに
延々とあなたの名前を呼び続ける
たぶん だ ....
僕らは全てを持ってたはずだのに
少しのパンと野菜とサカナがあれば
それでお腹いっぱいだったのに
キラキラ光る時間を立て替えて
何をあくせくしてたんだろう
キラキラ光るあなたの笑顔を ....
多くの者が目覚めている素振りで その実眠っており
自らの生きながらの眠りから解き放たれることは少ない
多くの者が意識的に また無意識の内に
背負わされている日々と歴史の車輪の歯車に
無自覚に飲 ....
不恰好な全身の告白でお前と私は
平たく言えば敢えて摩擦を 生じさせているだけ
消費し合っているだけ
歪み合い 奪い合い 小さく
殺し合っている
そうすることで まるで二つが一つに溶け合ってい ....
今も変わらず
お前は其処に 在るのだけれど
私はお前の開き方を忘れてしまった
お前と語らう固有の光のような言葉を話せなくなった

お前は其処に今も 居るのだけれど
「こんなに……!」という ....
きみの投げた小石の波紋は小さい……のかも知れない

ぼくの発したひと声は
きみにとっては不可解……な言葉なのかも知れない

輝ける明日なんか来ない……のかも知れない

きみの涙はたったひ ....
 泉の下にわたしの心があって
 水を通して わたしは息づく世界を感じていた
 風が起こり 日が陰ろうとも
 何年もの間
 いつも涙目のわたし
 ほんとのことなど 知らないままだった

  ....
 消失に見えて 絶えず繰り返しているもの
 見えなくなったと見せかけて
 心には根深く残っている
 が 全く其処になかった……或いはないものとして
 処理されているもの
 そう処理され続けて ....
 君は僕の手のなかで息づき育ち
 あどけない眼差しを世界へ……僕へと向けていた

 余りにもそれが無防備で いたいけで
 愛おしく 慈しんで
 叶うことなら 僕は君を盲目的に
 手のなかに ....
心が千々に千切れて
折れて砕けて どうにもならない
そんな日であっても

ただ偏に それはあなたのため
私は薔薇のように 装い
百合のように 優しい微笑を住まわせよう

喩え それが心 ....
わたしの心に 雨が降る
ひんやりとした それでいて どこか懐かしい
優しい声色を帯びた 翠の滴が
わたしの心をよぎっていく

止むことなき 兵士の流血のように
途切れることもない 恋人たち ....
僕は雨を待っていた
長い間砂漠となっていた心の中で
僕は 『欲しい』と口にしなかった
涙だけを糧に過ごした
黒いインクにそれを混ぜて
別の夢を紙上に起こした
別の夢想を組み立て 陳列した
 ....
私は私を
引き受けてくれ
だなんて言えない
丸ごと飲み込んでくれ
だなんて望めない

 みんなが自分
 で 手一杯だ

ありのまま
って なにさ?
ありのまま
が 私にとって
 ....
住処を追われた小鹿のように
今はなき原生林の幻のように
美しい残像だけを (それは一瞬閃く鱗粉のよう)
空へ 大地へ 漂わせて 去る時間は……私は
何者かによって 締め出されたのか
それとも ....
君の優しい声が鼓膜に響く

諦めよう、と 睫と睫に囲まれた風景 遮断する心づもりでいたんだ 僕は
パシャッパシャッ……乾いたシャッター音響かせて
瞳の向こう側 身を捩る動体
“あちら”は作り ....
 赤いルージュで 待ったをかけた
 絶望 弱音 告白 悲哀
 喉元を通り過ぎそうになった頃
 造花にしてみた 揚羽蝶をピンで止めてみたんだ あたし
 だって生物のままじゃ 凡そ存在し続けること ....
『居なくなる』って自殺みたいだ
其処に並んだ体の良い言葉たちから
『。』を無理矢理剥ぎ取ったような 途端
奇怪さとむず痒さが僕の胸に横たわる
ふてぶてしく
『ほら僕 こんなに……こ〜んなに』 ....
 仮面をした、まま 僕らは二人
 キスした 抱き合った
 仮面越しに 互いの熱、を感じながら
 も 指先の感触一つ
 探り当てることが出来ない 見つけられない
 悲しい程 隔てられた
 叫 ....
 君に好きと告げるのに あたしは言葉しか持ち得なかった
 柔らかい口付けもない 抱擁も出来ない
 体を持たない 文字である あたしには
 素足でタタタッと 駆け抜ける 白い紙上を
 “此処”か ....
 きっと僕ら 互いに
 いつだって 一方通行
 「君の事など構うものか」の、お得意の戦法……手法
 コミュニケーション(?) のような意思疎通で
 身勝手に 互いに相手を カテゴライズ……(臆 ....
 ちっちゃな小人がテクテク
 あたしのココから 彼方君の
 君たちのハートへ向かって歩く
 沢山の形を抱えて 色とりどりの気持ちおぶって 持ち上げて
 息切れしながら 『大好き』を背負う
  ....
 ジリジリと焼かれてみたいんだろ?
 噎(む)せ返るよう 夏の視線に
 押し潰されてみたいんだろ? 粉々に粉砕されて
 ジリジリと焼け爛れた 熱の中に紛れ込みたい……混じり合いたいんだろう? 
 ....
 人知れず泣いてた

ボクには多分 現実感覚なんてワカラナイ……歩けない
いつもボクは 細っこい脚……しかも そう こんな風に風に びっこを引いて
しかも 迷って 前進してゆくから (時に)  ....
(たった) ひとつの恋が終わった
幻のような希望(ゆめ)だった
輪郭のない花のように 靄のかかった
触れても 最早響く筈もない……時代錯誤の旋律のような それは
調律師の手元離れて久しい 幻影 ....
きりえしふみ(55)
タイトル カテゴリ Point 日付
『カード』他自由詩015/6/24 20:16
おかえり自由詩315/6/23 8:39
_自由詩015/6/2 16:31
水面に垂らした絵具みたいに ほか3篇自由詩314/11/15 20:43
遭遇自由詩214/10/26 3:53
前置き自由詩214/9/29 5:24
愛すべき人間自由詩214/9/29 4:43
さようならさようなら自由詩313/9/27 3:20
暗示自由詩211/5/30 16:03
抱擁と接吻自由詩211/5/30 15:50
自由詩411/5/14 17:00
プロローグ自由詩211/5/9 1:38
恋の脅威自由詩410/11/22 23:43
さようならの横顔自由詩4*10/11/22 14:42
神の似姿自由詩2*10/11/22 14:35
私の涙をあなたは知らなくていい自由詩1*10/11/14 11:06
わたしの心に雨が降る自由詩2*10/11/14 10:55
僕は雨を待っていた自由詩3*10/7/9 8:04
ただあるがまま自由詩1*10/7/9 7:52
原型自由詩309/7/14 20:01
君の優しい声が鼓膜に響く自由詩3*09/7/9 14:37
恋愛未満自由詩3*09/4/1 19:01
自由詩5*09/2/22 6:01
愛読者、書自由詩3*08/9/29 5:25
君に好きと告げるのにあたしは文字しか自由詩4*08/9/29 4:51
辿れ輪郭自由詩2*08/9/20 19:48
無数の小人がテクテク歩く自由詩3*08/8/17 6:45
朱夏自由詩3*08/6/17 16:39
臆病自由詩3*08/6/6 3:18
薄明自由詩4*08/6/5 17:32

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