少し熱を持った雨に阻まれて
 会えなくなったのは、いつからだったでしょうか
 指先に絡むあたたかさが
 離れていくのに耐えられなくなった
 そのときからでしょうか
 雲が明けたら逃げないと
 雲が明けたら逃げないと
 月が身包み溶かしてしまう
 真実の鏡 湖面に揺れて
 降るは清らに微笑みを
 容赦はしない 月明かり
 虎は吼えるほか術もなし
 ....
   嘆き


 恋に気づいてしまった、そのとき、私は死を思うのです。
 恋に落ちてしまったらば、もはや、死ぬしかないのです。

 貴方が好きだと知った瞬間、悲しくて、苦しくて、溺れて ....
風に乗って麦わら帽子が裂いた
天藍とさくら
行ってしまったと少女は泣いた
雲がただよい
秋桜が揺れ
なぐさめるのを知らずに
 本日は晴天です
 雲ひとつない快晴です
 快いほど憎らしい青空です

 本日は晴天です
 空は飛んでゆくところでしょうか
 空は堕ちてゆくところでしょう

 本日は晴天です
 清々 ....
 梅花ははらり、ゆらめいて
 乙女の黒髪染めていく
 鶯は唄を奏で
 陽光は大地を抱き
 春は僕から奪ってゆく
 心ふるわす冬の冷たさと
 微笑んだ彼女を――
 小さな掠り傷だらけの心は
 胸にしまうには息苦しい
 白日へ晒すにはとうてい醜い
 何度もごみ箱に捨てかけた
 なにも感じなくなればいい
 心に{ルビ彩=いろ}などいらない
 その度に悪 ....
色づいた風が
ひゅるり ひゅるり
わたしのまわりを遊んで去った
淋しさだけを残して……
 こころはぜんぶ涙の結晶になって
 ころり、ころりと
 私のものから離れてゆく
 私のもとから離れてゆく
 逃げないで
 置いて行かないで
 私だけのものでいて
 こころを忘れたくないか ....
 ぼくののどにつっかえた
 ぼく自作のあめ玉は
 いつかだ液にとかされて
 ぼくにかえってゆくのだろうか

 しっかりのどにいすわって
 とことんぼくをあえがせて
 おわりなく苦しませる ....
 賑やかな日の夜は、思い出で胸が苦しい。
 あなたと過ごした昼間のきらめきが淋しさを煽る。
 楽しかったと、落ちた滴。
 温かくて、甘すぎた、今日の日。
 私の{ルビ聖母=マリア}は今いづこ
 私の{ルビ聖母=マリア}は今いづこ
 臆病者の{ルビ迷える子羊=ストレイ・シープ}は無意味に泣いた

 細枝の杖
 回り続ける方位磁針
 貴女の腕に ....
   Ⅰ

 ずっと昔にほしかったもの
 ようやく、指先が届きそうだ
 かすめる指の隙間から、失くしたものはなんだろう
 なにをすててきただろう
 なにをあきらめてきただろう
  ....
 
 名残惜しげに太陽が
 舞台のそでにはけたなら
 今日の演目はこれにておしまい
 音響 照明 さようなら
 観客さまも さようなら
 またあしたね、と手をふった
 残る時計は かち  ....
中原みのり(14)
タイトル カテゴリ Point 日付
七夕自由詩117/10/15 20:42
月夜自由詩117/4/23 1:14
嘆き自由詩017/1/16 0:28
秋桜畑の少女自由詩117/1/12 21:09
本日、晴天なり自由詩417/1/11 12:59
三月自由詩317/1/10 1:50
悪魔の詩自由詩317/1/9 1:28
秋風自由詩317/1/6 0:07
こころ自由詩217/1/4 17:16
あめ玉自由詩116/10/8 0:13
夜、ひとり。自由詩016/10/6 1:29
聖母をたずねて六畳一間自由詩016/10/3 23:42
あの日の私を見つめてる自由詩316/9/26 20:45
自由詩016/9/24 23:13

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