あの日の私を見つめてる
中原みのり


   Ⅰ

 ずっと昔にほしかったもの
 ようやく、指先が届きそうだ
 かすめる指の隙間から、失くしたものはなんだろう
 なにをすててきただろう
 なにをあきらめてきただろう
 欲しかったものはすぐそこに
 今手にあるのは、色褪せた夢と、セピアの思い出と
 ああ、せつなくて、泣きたくて
 ごめんね、ごめんね



   Ⅱ

 大人になることが悲しいことだなんて
 知らなかった、知りたくなかった
 かなうならば、目隠しを
 この両手がいっぱいになる日が来ると
 ひまわりを抱き、瞳に星を瞬かせる少女に目隠しを
 あなたがなにも見えないように
 わたしになにも見えないように


自由詩 あの日の私を見つめてる Copyright 中原みのり 2016-09-26 20:45:42
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