悪魔の詩
中原みのり

 小さな掠り傷だらけの心は
 胸にしまうには息苦しい
 白日へ晒すにはとうてい醜い
 何度もごみ箱に捨てかけた
 なにも感じなくなればいい
 心にいろなどいらない
 その度に悪魔が囁くから
 まだ使えるぞ、
 まだ書けるぞ、
 優しい吐息を耳元で零すから
 私はまんまと悪魔に喰われ
 言われるままに筆を握り
 オンボロな心を正当化する
 いつかの明日を代償にして
 悪魔のうたをうたい続ける


自由詩 悪魔の詩 Copyright 中原みのり 2017-01-09 01:28:36
notebook Home 戻る  過去 未来